どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

岩手から北太平洋海流めぐり沖縄まで /     漁業用コンテナ9年半の長旅

-No.2559-
★2020年09月23日(水曜日)
★11.3.11フクシマから → 3485日
★延期…オリンピック東京まで → 304日
★旧暦8月7日(月齢5.7)





◆忘れてませんか《11.3.11》東日本大震災を…

 …とでも言うように。
 「新コロ」感染予防にもイイかげん飽きて、あれこれ規制も緩んできて、いかにも(危ねぇ)感じになりつつある世の中に、まるで、この時を待っていたかのような報せが、南の方からとびこんできた。

 発信は沖縄から。
 まず、石垣島の浜には宮古からの漂流物。
 つづいて本島北部「沖縄美ら海水族館」の沖に浮かぶ伊江島には釜石から。
 いずれも、漁港から流失したと思われる、水揚げ用などのプラスチック・コンテナ。タテ50cm×ヨコ76cm×高さ26cmの、伊江島に流れ着いたのには「釜石東部」、タテ・ヨコとも1mくらいと大きめの石垣島のには「宮古漁業協同組合」の名が入っていた…という。

 長い……………あれから9年半の歳月。
 大きな破損もなく漂着したのは、丈夫で軽いのが幸いして、波まかせの旅に耐えられたからであろう、けれど。
 そてにしても、どう流れた? (地理人間の連想は必然、そこへいく)

 すると、これはもう、黒潮親潮のぶつかる辺りから、時計まわりの北太平洋海流をほぼ1周した…のにチガイあるまい。
 1周といっても
 自然な海の〝流れ〟には、別な流れとの〈合流〉や〈分流〉、ほかにもさまざまな〈反流〉や〈沿岸流〉など出入りが多くて、つまり、数知れない誘惑の手をすりぬけて来るのは、それだけで一大事なのだ。

 しかも相手は南・北両極間に、赤道をまたいで広がる世界最大の海洋、全地表の約3分の1、全海洋の半分ちかくを占める太平洋である。
 その北半分とはいえ、名高い「太平洋ゴミベルト」(東日本大震災の大津波で流出した漂流物がたくさん集まっているはずの…)に誘いこまれることもなく、回遊を果たしたことは、アッパレ祝福されていい。

 何年か前に、この北太平洋海流からアラスカ海流へと乗り換えたものだろう、カナダの海岸に漂着した小型船があったことを、ぼくはいま懐かしく想い出す。
 あれからの日月を追想すれば、このたびの回遊・回帰もナットクがいく。

 いっぽう、ボクがこれまでに経験した船路・海路をふりかえれば、その範囲、やっと日本領海の範囲までがやっと…で、あらためてナンとケチなものかと思うけれど。
 このたび北太平洋海流を乗りきって回帰した漂流物の航跡に付け加えれば、ちょうど1周達成くらいに相当する…と知れば、満更でもない。

  ……………


◆ときめきの…漂流瓶/ボトルメール

 海辺で、遥かな海路に想いを馳せ、ボンヤリするのがスキ。
 …なボクは、浜辺で、いずこからとも知れず流れ着いた漂流物に、旅路の〈よすが〉をもとめて瞑想することが多い。

 島崎藤村作詞の歌曲『椰子の実』と同じ椰子の実の殼なら、舞台も同じ伊良湖岬の浜で出逢って以来、北は九十九里浜から南は日本最南端の波照間島まで、案外なことに意外なほど多くの場所で邂逅、そのたびに、なぜかホッとしてきたし。

 北海の海辺では、磨き尽くされ潮に晒されて白い流木のほかには、漂着物の極めて少ないことに、驚く吾と首肯する吾とが同居したし。
 また、日本海の汀では、多すぎるくらいに雑多な漂着物のなかに、すぐ向こうに隣り合う大陸縁辺部との、複雑多岐な交渉を思わないわけにはいかなかった…。

 これで意外にセンチメンタル情緒なところもあるボクは、みずからに海の流れ行く先をなっとくさせたくて、漂流瓶(または海流瓶、標識瓶とも呼ばれる)を仕立てて流したこともある。
 海流調査など学術目的のためには目立つ大きさの瓶がイイようだ(補足すれば、風の影響をうけにくくするために適当な錘を垂らしておくと、なおイイ)けれど、ぼくの場合はあくまでも私用(試用?)であり、また、ときには胸ときめく〈秘用〉でもあったから、極くスマートな小型瓶に連絡待ちの紙片を封入して流した。
 結果は…いうまでもなかろう、ひとつとして返信がきたことはなかったけれども…

 この〈漂流瓶/ボトルメール〉遊びは、かつてアナログな青春時代には、流した経験をもつヒトが少なくなかった…と思うのだが。
 いまは、どうなっているんだろう?

 稀にはいまも、海辺の観光地の、みやげもの売り場の棚の隅っこに、マスコット小物ふうの品を見かけることがあり。

 告白すれば、じつはボク、いまだに「漂流瓶」に良さそうな細身の小瓶を見つけると、ふと秘かな〈こころのそよぎ〉を覚えたりする。

 ステキな瓶コレクションを趣味にする人も少なくないようだけれど、〈漂流瓶/ボトルメール〉にふさわしい小瓶となると、これが存外に、むずかしい資格と品格とを、主張し要求もするものなのであった……