どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.109~ 現代はじめに耀いたスターたち          ⑥スティーブ・マックィーン

-No.2422
★2020年05月09日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 3348日
★延期…オリンピック東京まで → 441日
★旧暦4月17日、居待月
(月齢16.0、月出20:44、月没05:58)





★アンチ・ヒーローなアクション俳優★

 1980年。
 スティーブ・マックィーンが、胸膜中気腫からの転移による末期肝臓癌で死亡、との報があったとき。
 ぼくは、その行年50歳に、まず驚き。

 それから、
 逆算すると生まれた年が1930年になり、つまり、ボクより15歳も年上だったことに、なぜか新鮮な驚きがあった。

 スティーブ・マックィーン(1930~1980)は、どこか、あっけらかんとしたそんな俳優…じゃない、やっぱりスターだ!

 しかも、だけど…
 だって、それなら、これまでにとりあげた60~80年代のスターたち
  マーロン・ブランド(1924~2004)
  ポール・ニューマン(1925~2008)
  マリリン・モンロー(1926~1962)
  ジェームズ・ディーン(1931~1955)
 彼らと同じ時代に生きていたわけで…ありながら、ぼくのなかではなぜか、彼らとは〝無縁〟に存在しつづけた。
 同じ映画界にいながら、別世界にいた感があるのだった。

 それほどに〈年齢不詳の風姿〉というのは、なるほど、映画スターにうってつけのキャラクターともいえるわけだ、けれども。

 ちなみに
 ぼくは、スティーブ・マックィーンの出演した映画、そのほとんどすべてを劇場公開で観ている、最初で最後のスターになりそうだ。挙げてみようか…
 『荒野の七人』(1960)
 大脱走(1963)
 『砲艦サンパブロ』(1967)
 華麗なる賭け(1968)
 『ブリット』(1968)
 『栄光のル・マン(1971)
 ゲッタウェイ(1972)
 パピヨン(1973)
 タワーリング・インフェルノ(1974)

 ぼくは、ここで、先の4人とマックィーンの世界のチガイ(もちろんボクにとってのだが…)に、ガテンがいく。

 ぼくは、映画(という名の〝映像芸術〟)の真価を「記録映画」におく者だ、けれども、いっぽうで「映画はあくまでも娯楽」とする者でもある。
 したがって、「舞台芸術の芝居」とは一線を画する(芝居はナゼか恥ずかしい)色が濃い。

 この辺までは、マックィーンを別世界にする謂れはないわけだ…が。

 ぼくは、アクション映画に魅力を覚えず(けしてアクションがキライなわけでは毛頭ない)、しかし〝アンチ・ヒーロー〟には格別な魅力を覚える者だった。

 だから彼は、ぼくの棲む世界とは、ちょっと〈位相のズレ〉た世界の存在でありつづけた、というわけだ。

◆〝受賞〟には縁遠かった男

 
 スティーブ・マックィーンの映画は、そのほとんどが、アクションものであったけれど、それをも感じさせなかったのは、ひたすら彼が〝醒めた男〟だったことによる。観る者を夢中にさせておいて、もう自分はすでにそこを脱して、ぜんぜん涼しい顔をしてござる。

 したがって彼の映画では、ほかの役者さんたちのように、監督が誰某〔だれそれ〕なぞと詮索する必要がない。
 (上記の作品名に、いつもの監督名がないのはそのためである)

 彼は〝醒めた男〟であり、いつも〝独自の男〟だったから、そのせいで惜しむらくは、監督たちからオファーのあった、せっかくの別な役柄に出演するチャンスさえ逃すことが多かった。

 彼は、アクション・スターであるより〈本質カー・レイサー〉であったから。そんな彼には、ほかの役柄で新境地をひらく必要もなかっただけなのだろう、が。

 そういうわけで、ぼくは彼の映画ほど純粋に娯楽させてもらったものはなく、そのせいで映画の内容など、ほとんどのこってはいない。

 上記作品のなかで、克明に場面を想い出せる映画は、わずかに大脱走ヒルツ大尉=脱走屋ヒルツ役)とタワーリング・インフェルノ(オハラハン消防隊長役)くらいのものである。

 〝受賞〟には縁遠かった男でもあり。
 『砲艦サンパブロ』でノミネートされたアカデミー主演男優賞も、ついにオスカーには手が届かなかったし。

 わずかに、『大脱走』でモスクワ国際映画祭で主演男優賞に輝いたのみだった。
 それでも1974年、「世界一の高給スター」になれたのはファンの人気あったればこそ。
 スティーブ・マックィーンには、それで充分だったのだろう。

  ……………

 先日。
 唯一、劇場公開を見逃していたスティーブ・マックィーンの遺作『ハンター』(1980)を、BS番組の録画で観た。

 あらすじ、そのほか、述べるまでもない。
 ただ、老いて病み衰えた一代の〝アンチ・ヒーロー〟。
 本人は意識しなかったろう〝窶れ〟に、〈男の引き際〉のむずかしさを想った……