-No.2238-
★2019年11月07日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 3164日
★ オリンピックTOKYOまで → 260日
★旧暦10月11日
(月齢10.3、月出14:19、月没00:47)
これまでの通説は、もっぱら。
「肉食獣(捕食者)の獲物になるのを避けるため、個体を識別しにくくしている」
…とされていた、シマウマの縞々。
子どもの頃からボクには、この説明が、スッキリ呑みこめなかった。
それで、本で調べたら、もっと詳しい解説に出逢った。いわく
「哺乳類(霊長類をのぞく)は色を識別する能力が低い」から、「シマウマの縞模様もサバンナの草原の模様に紛れて判別しにくい」のだ、と。
そう言われて、見れば見るほど、なるほど、シマウマの縞々はよくデキており。
たとえば胴と脚とか…身体の部位ごとに縞の向きが変わる、芸の細かさは、群れをなせば個体それぞれの縞模様が混じりあってしまう……
しかし。
本には、この通説に対する反論も紹介されており。
「天敵の大型肉食獣には、ヒトほど縞の認識ができてはいないので、迷彩といっても天敵を混乱させるほど効果的とは思われない」という。
ぼくには、この反論の方が説得力があった。
結局は。
「群れている方がトータルで被害が少なく、しかも、天敵と仲間の別も見分けやすい」からではないか。
そう思って、すごしてきた。
そこへ、また、米欧の研究チームから新説の登場。
「吸血して睡眠病を媒介するツェツェバエやアブなど、うるさい害虫から身を守るため、縞模様は進化したと思われる」と。
ぼくは(あ…)と思った。
「迷彩、見せかけ」説には、人間の勝手な思い込み感があったけれど、この「害虫除け」説には、動物の生理に寄り添った感がつよかったからダ。
研究チームに「これだけが精査に耐えうる」自信がある、というのも頷ける気がした。
研究の成果を要約すれば。
「シマウマの縞には、害虫を体表にとまりにくくする効果がある」
つまり。
縞模様が(捕獲者のではなく)虫の目を晦ませることで、体表にうまく着地させないようにする。肌にとまれなければ、血も吸われずにすむ。
実験は、シマウマとふつう(単色)の馬との比較。
それと、もうひとつ念を入れて。
単色の馬に、単色の布をかけた場合と、縞模様の布をかけた場合とで比較。
その結果。
いずれの場合にも、縞模様の体表にとまる虫は数が少なく、ツェツェバエが単色の面を好むことも明らかになった。
さらにオモシロかったのは、虫は縞模様の体表に近づくと、うまく減速できずに、通りすぎてしまったり、体表にぶつかったりした…という。
シマウマは、体毛が極端に短いので、じつは血を吸われやすいのだ、という。
にもかかわらず、ツェツェバエの体内からはシマウマの血液がほとんど検出されない…このあたりが「虫除け説」の突破口になったらしい。
……………
なお、ちなみに。
シマウマも、ウマ科だが、近縁なのはロバ系。
体色は、黒地の毛に白の縞模様で。大きな耳、先が房状になった尾、鳴き声など、ロバとよく似ている。
そのせいか、性格もロバ系で。加齢とともに気性が荒く(誰かさんも同じ?)なって、人間になつくこと無く、しがって家畜化はきわめて困難。
家畜化を、こころみては失敗をくりかえしているうちに、世の中の方がその必要性を無くしてしまった…そんな経緯〔いきさつ〕が過去に知られている。
シマウマが家畜化をまぬがれたことは、「生命の自由」の観点からして、ぼくはヨカッタと思うのだが、どうだろう。