-No.2133-
★2018年07月25日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 3059日
★ オリンピックTOKYOまで → 365日
★旧暦6月23日、下弦の月
(月齢22.7、月出23:54、月没12:00)
◆「ドップラー効果」
…というのを学んだのは、あれは高校の物理の時間だったろうか。
どうも、いまひとつ(スッキリとノミコメルものではなかった)記憶がある。
リクツはワカル…のだが、実感に手間どる、というやつ。
それが、「おひさしぶりぃ」とばかりに、向こうから近づいてきた。
「ドップラーライダー」と呼ばれるシステムが、航空機の負担を軽くする、という。
……………
飛行機の離着陸や飛行ルートが、風におおきく影響される…のはわかる。
〈抵抗からのがれる〉か、〈抵抗を利用する〉か。
離着陸なら、翼は、揚力(上向きの力)をえられやすい方向(南風なら南向き)に伸びる滑走路を使う方が有利だし。いっぽう、
飛行中の上空では、追い風に乗った方が燃料が節約でき、燃費も少なく、おまけに飛行時間も短縮できる…わけだ。
地球の上空には「偏西風(西からの風)」の別名もある「ジェット気流」というのがある。
この影響をうけて、同じ路線でも、西へ向かう便より東へ向かう便の方が飛行時間の短縮になる。
ならば、風の抵抗を押しのけて飛ぼうと、より多くの燃料を積む…と、こんどはその重量がわざわいして燃費がわるくなる…という、悪循環をまねくことにもなる。
いま、世界の空では、1日に約10万便が飛んでおり。
もし、その燃料を1%節約できればスゴイ効果。つまり、年間に365万トンも節減できる。
それだけじゃない。
地球の未来に重いテーマ、〈温室効果ガス〉の排出抑制にもなるのだ。
……………
地球は生きている。
生きて活動する天体で生きるヒトには、〈つきあい方〉を学ぶ智慧が要求される。
なんとかならんか。というので
2017年に開かれた「宇宙ビジネスのコンテスト」(内閣府などが主催)に、個人で提案、みごと大賞に輝いたのが、「人工衛星で風の向きや強さを観測、それによって、燃料効率のいい飛行ルートを決定する」というアイディア。
考案したのはANAホールディングスの女性社員、松本紋子(35)さん。
新聞記事に載ったのは、5月中旬のことだった。
この、夢の実現にむけ。
始まったプロジェクトは、全日空グループと宇宙航空研究開発機構(JAXA)とが、「衛星の活用や実証研究などにあたる」契約をむすび。
共同研究には慶応大学なども参加して、事業性を判断することになる、という。
燃料効率を良くする工夫は以前から試行されてきて、その効果も確認されてきたそうだ、が。
相手が空、しかも、地上のように固定観測点が置けない洋上となると、えられるデータにはかぎりがあったし。一定しない環境のもとでの、リアルタイムのデータ更新にも無理があって、その反映にも誤差が避けられなかった。
こうした状況、弱点の克服に、目をむけれらたのが〈人工衛星〉というわけだ。
衛星には、〈レーザー光を大気中に発射〉して〈微小粒子の動きを測定〉し〈風向や風速を観測〉する装置を搭載。
これを、「ドップラーライダー」システムという、らしい。
……………
「ドップラー効果」については、冒頭にも申しあげたとおり、ぼくにはうまく説明できない。
たしか……
波(音波や電磁波など)の発生源(音源・光源など)と観測者との相対的な位置関係によって、波の周波数が異なって観測される、というような現象のことだった。
Wikipediaの解説によれば……
「発生源が近づくとき、波の振動は詰まって周波数が高くなり、逆に遠ざかるときは、振動が伸びて周波数が低くなる。たとえば救急車が通りすぎる場合、近づくときにはサイレンの音が高く聞こえ、遠ざかるときには低く聞こえる」
ライダー(LIDAR)というのは、「光の検出と測距」ないし「レーザー画像の検出と測距」のことで、光を用いたリモートセンシング技術の一つ。パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析するものだ。
このシステムによる観測データの読みとりと分析にしたがって、より効率的な飛行ルートの構築が可能になるだろう…というわけで。
〈遠い宇宙とのコンタクト〉とばかり思われていた「JAXA」の存在が、身近に急接近してきた感がある。
……………
それにしても、想わざるをえない
〈人の智慧〉というのが、いつも、〈利益と利便〉をむさぼることに熱中することからはじまり、それから後になってやっと、遅ればせながら〈反省と見直し〉が追いかける、そんな構図でありつづけることだ。
これも〈かぎりある生命〉の宿命だろうか。
ぼくは、少なくとも人は……
地球という〈奇跡の天体〉に生をうけた、知性をもつ人類の役目として、太陽系の滅亡までは、その生命をつないで見とどけなけらばならない、と思う者だ。
つまり、その前に、みずからの〈愚かさとあやまち〉によって、勝手に滅亡するのは罪であろう…と。