-No.1994-
★2018年03月08日(金曜日)
★11.3.11フクシマから → 2920日
★ オリンピックTOKYOまで → 504日
★旧暦2月2日
(月齢1.8、月出07:03、月没19:04)
◆やっぱり日本のマラソンはキビシい
3月3日「雛祭り」の東京マラソン2019は、ざんねんながら、当日の天候と同様のキビシい結果だった。
ぼくは、ことしも沿道に出張ってレースを確認。その結果
要因のひとつ、ふたつは、ハッキリ見えた気がした、それをお伝えしたいと思う。
◆天候が予報よりはるかに酷かった、国内選手に油断はなかったか!?
当日3日朝。
起きるとすでに、道は冷たい氷雨に濡れていた。
これは(キビシいレースになりそう)な予感に、ぼく自身、いちどは出かけるのを躊躇〔ためら〕ったほどだった。
(動物はみな、冷たい雨にうたれつづけることを好まない)
前日の天気予報は「クモリのちアメ」、雨が降りだすのは、少なくともエリート・ランナー(東京マラソンには市民ランナーたちも参加する)のゴール後あたりになりそうな感じだった。
外国の招待選手は別、として。
(ニッポンの選手が外国の試合に行けば、トウゼン天候もふくめたすべての条件に注意をむけるはずだ)
国内の招待選手や、ここ一番をねらっていた選手たちに、国内大会ということで、よもや油断はなかったか…ぼくが思ったのはそのことだった。
ことし新年早々の箱根駅伝、往路でも、3連覇をねらっていた青学大がまさかの「低体温症」によるアクシデントに見舞われ、痛恨のブレーキに泣いた。
あれと同じ事態がおこるかも知れない…危惧があった。
「地震予知」も、そうだが。
「天気予報」も、(ざんねんながら)生きものとして信じきれる、ほどのものではない。
<予報>は、結局<予想>の域でしかない。
自然のなかで競技する選手は、そのことを、あらためて<肝に銘じて>おいてほしい。
◆それでもボクは出かけた…35km地点の泉岳寺交差点へ
しかし、ぼくも(まだ)アマかった。
降りだしが早かったのだから、雲のうごきは早い、このぶんならレース中にはやむかも知れない…なんぞと思ったりしたのだから。
ことしは、レース後半、港区高輪の折り返しに近く。
34.2kmの「札ノ辻」交差点から1km弱、高輪寄りの泉岳寺交差点で選手を待ち構えることに。
10時前に都営浅草線「泉岳寺」駅に着いて、コース・ボランティアの男性とトイレで顔をあわせる。
「冷えますね」
「えぇ…たまりませんネ」
「気温は…どれくらいですか」
「スタート時点で5.7度だったそうです、選手たちがシンパイです」
第一京浜国道のコース上では、女性ボランティアが寒さをこらえて、しきりに〝足踏みの暖〟をとっていた。
まだ1時間ほど早い。
泉岳寺の「義士の墓」に手を合わせ、冷たい雨にうたれる「主税〔ちから〕の梅」を観て。
(あんときゃ雪…だったもんな)討ち入りの日の寒さを想う…それほどに冷えた。
コースにもどって足場を決め、スマホの中継に目をやると、「大迫(傑)選手が(29km付近で)コースを外れました」との速報。
(日本記録の更新もあるか…の)期待の星、あえなし。
後で、彼は身体を震えさせていたことを知った。(やっぱり……)
それでも
レースは着々と進んで、車いす選手たちが行き。
やがて、タイム掲示の車両(下掲写真、1段目左)につづいて男子選手たち。
トップのビルハヌ・レゲセ(エチオピア=下掲写真、1段目右)が、アフリカ勢独特の力感あふれるリズミカルな走法を見せつけ。
間隔をおいて、以下4位までがアフリカ勢。
(悪天候にもかかわらず、いつものマラソン・レース風景だった)
やっと5番目に、日本勢トップで中大4年、これが初マラソンの堀尾謙介くん。
ことしの箱根駅伝2区で快走、注目された大型ランナーとはいえ、あくまでも新人の部類で。
彼にはワルイが、ぼくには意外。
おかげであやうくカメラの構えを崩しかけてしまった……(下掲写真、2段目右端)
女子も、上位にはアフリカ勢が並んで、日本勢のトップは7位の一山麻緒(ワコール=下掲写真、3段目右端)。
世界の壁は、まだまだ高く、大きかった。
【結果を整理しておくと…】
〇男子マラソン
1位、ビルハヌ・レゲセ(エチオピア、24歳)2時間4分48秒
※前半1時間2分2秒、雨・冷えとも増した後半1時間2分46秒のほぼイー
ブンでまとめ。レース後の本人談は「条件が良ければ3分台で走れた」と。
5位、堀尾謙介(中大、22歳)2時間10分21秒
※レゲセとのタイム差は、5分33秒。
☆この大会でのMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権獲得者
5位、堀尾謙介
6位、今井正人(トヨタ自動車九州)2時間10分30秒
7位、藤川拓也(中国電力)2時間10分35秒
8位、神野大地(セルソース)2時間11分05秒
※これまでのMGC出場権獲得者は計28名
〇女子マラソン
1位、ルティ・アガ(エチオピア、25歳)2時間20分40秒
※「自分が思っていたタイムは18分30秒」とは、彼女のレース後談。
7位、一山麻緒(ワコール、21歳)2時間24分33秒
※MGC出場権獲得には惜しくも33秒およばず。
☆これまでのMGC出場権獲得者は計9名(男子にくらべて少なすぎる)
◆日本は力がたりない、まだ地力の差は大きい!
レース後の報道には、いろいろな見方があった(これも、いつものことだが)。
たとえば「ペースメーカーのスピードが早すぎた」との声あり。
この大会のレース・コディネーターの指示は、「大迫選手の日本記録を超えられる」設定になっていた。
それはイイのだが、この日の天候を見れば「設定タイム変更」があってもよかったのではないか、と。
しかも、ペースメーカーのスピードはさらにその指示よりも早かった…あまりに早すぎたのではないか、と。
しかし
ペースメーカーも人、同じアスリート仲間だ、感情も思惑もある(のがふつうと思わなきゃ)。
ペースメーカーへの対処は、個々人の選手にまかされてあるのダ(アマったれちゃいけない)。
どのレースにもあること、言えること。
選手それぞれの、、コンディション・気分・バイオリズムなどなどでの、成績の良しあし凸凹はいつもあるわけだ、けれども。
たしかな傾向としての、国や地域ごとの特徴はやっぱり厳としてある。
ことしの(オリンピック前年というだいじなときの)東京マラソンでも、それはクッキリきわだっていた。
サイアク…といっていい天候条件のなかでも、しかし、世界のトップレベルにある(主にアフリカ勢の)選手たちはシッカリ走って、キチンとした結果を出しているのダ。
日本陸連のマラソン強化戦略プロジェクトリーダー、瀬古利彦さんの言が、いま現在のニッポン・マラソンの状況をただしく伝えている。
「日本選手はまだまだ力がたりない。地力の差がある」
つけくわえれば<キビシさがたりない>、<まだまだアマい>。
ぼくも、これまでずっと、その見方できていた。
しかし、だから「期待するな」というのは、そりゃ無理なはなしで。
設楽悠太くんがに日本記録を久方ぶりに更新、つづいて大迫傑くんがこれをさらに更新、とつづくと、つい気が緩んで「メダルもありか」となったわけだ…が。
(オマエもまだアマかったな)
せめてもの救いは、若手の中大4年、堀尾くんが気を吐いてくれたことだ、けれども。
彼にしたって、来年のオリンピックですぐに結果を期待するのは、コクだろう。
新旧の箱根駅伝<山の神>今井正人くんと、神野大地くんがやっとMGC出場のキップをつかみとってくれたが、さて、その先まではどうか。
すでにMGCキップを手にしている大迫傑くんと、佐藤悠基くん(日清食品グループ)とが、世界に通用するスピードに挑んだ姿勢は評価したいが、結果はご覧のとおりだった。
女子については……いまは、コトバもない。
あと、MGC出場資格をとれる国内大会は、どちらも明後日3月10日(日)の
〇男子「びわ湖毎日マラソン」
〇女子「名古屋ウィメンズマラソン」
この2大会だけ。
そうして、いよいよ秋9月15日(日)には
〇マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)レース
このレースで、オリンピック・マラソン代表の2枠が決まる。
泣いても笑っても……(あと半年)