-No.1893-
★2018年11月27日(火曜日)
★11.3.11フクシマから → 2819日
★ オリンピックTOKYOまで → 605日
★春さわやかな魚が秋にはトロリと成長…★
先日…立冬の前でしたか。
鮮魚部門の充実したデパ地下((町田小田急)で、「トロさわら」というのを見つけて買ってきました。
ぼくには初もの。
「サワラ」は馴染みでしたけれども「トロ」がつくと「?…」だったんですが。
皮目〔かわめ=皮のついている側〕の焦げた〝炙り〟というのが、いたく食欲をそそりました。
買って帰ったサクを刺身にして、食べてみたら<こっくり>ふくよかな脂のりよく、とても、これがサワラの身肉とは思われませんでした。
ぼくは、引き縄(トローリング)でサワラを釣る場面を見たことがあります。
南の離島に渡る船の、船員さんが外洋に出るとすぐに、ワイヤーの釣糸の先、頑丈な針にイワシを餌につけて流し「おたのしみ」、ニヤッと笑って。
その日の、陽が落ちないうちにヒットして船はいったん停止、みごとなサワラを釣り上げました。
大きいものになると体長1m、10kgを超えるそうですが、このときのサワラもデカかった。
「狭腹」(若いときはサゴシ=狭腰)の名にふさわしい、南の魚らしからぬ扁平な細身で、背の方は青みをおびた灰色、腹側は銀白色で、口にはコワそな鋭い歯が並んでいました。
「泳の早いこいつには鰾〔うきぶくろ〕がないのさ」
さっき釣糸を仕掛けた船員さんが、こんどは豪快にガハハと笑いとばしました。
その日の船客の晩飯にも、もちろんサワラの刺身がついて。
獲れたてプリップリのサワラの身肉は、「白身」とも「赤身」ともつかない美妙な彩りに虹がかかって見えました。
島の漁師だという褐色肌のオジサンが、一升瓶の焼酎をドボドボ注いでくれながら、星空のサワラ談義。
春になれば沿岸へ産卵にやってくる鰆〔さわら〕は、たしかに春告げ魚だけれど、脂がのって美味くなるのは秋から冬、とくに「寒鰆」はとびっきりダ、と教えてくれましたっけ。
……けれど、それっきり、ぼくは「寒鰆」にお目にかかることなく。
岡山の「ばら寿司」(ちらし寿司の一種の祝い寿司)を飾った鰆に、膝を叩いて感動したことがあったくらいのものでしたが……
このたびの「トロさわら」で、「なるほどコレが寒鰆かぃ!」一挙にスッキリ解決でした。
太平洋側のサワラは、瀬戸内が産卵場だそうですが。
「トロさわら」のブランド化をはたしたのは、鳥羽(三重県)の磯部漁協。
答志島と菅島で水揚げされる鰆のうち、脂のりが基準をクリアしたものだけが「トロさわら」として取り引きされるそうです。
なお、ちなみに、この「トロさわら」の炙り。
ぼくは皮目もそのままにいただきました、が。
あとで気がついて、焦げ目のついた皮をはいだら、さらに美味さがキワだちましたね。
チャンスがあったら、ぜひにも、おためしあれ!
来年1月半ば頃まで楽しめるそうですョ。