-No.1890-
★2018年11月24日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 2816日
★ オリンピックTOKYOまで → 608日
★季節としても無縁のいまどき…ではありますが★
気になることにリクツはありません。
たとえば「蛙の面に水」(〝小便〟とも言いましたが…それは無茶です非道すぎる)という表現。
あれはけっして「どんな仕打ちにあっても平気」なのではなく、「意味のない無駄なこと」の意味であるべき…でしょう?…ですよね!
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カエルにも、いろいろありますが。
ぼくは、やっぱり、アマガエル(雨蛙)とかアオガエル(青蛙)とか、しっとりと濡れた緑色のカエルのほうが風情だと想う。
梅雨どきにピッタリの…「役者やのぅ」ってやつです。
「古池や 蛙飛びこむ 水の音」
人口に膾炙した芭蕉の句だって、アオ(緑)いカエルじゃないと絵にならないし。
褐色の風てい地味なカジカガエルは、すてきな〝声優〟ではありますけれども。
つかまえてみたい気には、なりません。
アオガエル仲間の、なかでも気になる存在に
日本の固有種でありながら、「シュレーゲルアオガエル」と名付けられた印象的なカエルがあります。
そう、名前からするとゲコゲコ大物ふうですが、どこにでもいる(あるいは…いた)、ありふれたアオガエル。
モリアオガエルに近縁の、小型の、目の虹彩が黄色い、なかなかに「かわゆい」カエルで。
日本語の音韻で、「シュレーゲル」なんて固すぎて、てんで似合わないから記憶にのこった、ともいえます。
おもに、その色・形・姿など、視覚的な特徴が決め手になることが多い、名付け。
もちろん発見者や、研究者の功績を讃える命名もあることは知っていますが……
それにしても「シュレーゲル」は突飛にすぎる、と思うのです。
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ひとつには
シュレーゲルというと、ぼく。
なぜか「フリードリヒ・シュレーゲル」が脳裡に泛んでしまう。
そう、19世紀ドイツ初期ロマン派の思想家にして文芸家。
いうまでもなく蛙の名とは無縁の、ぼくも若いときにナニかの本で出逢った程度、作品名にもいまはまったく覚えがない…けれども、その名前だけはしっかり覚えてしまっている。
人間の脳には、そんな不可思議なところが、いくらもあります。
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「シュレーゲルアオガエル」のシュレーゲルは「ヘルマン・シュレーゲル」。
ドイツの動物・鳥類学者で、オランダのライデン王立自然史博物館長時代に、『日本動物誌』を執筆(共著)した人。
…といっても、やはり19世紀、シーボルトが活躍した古い時代のこと。
両生類研究の第一人者というわけでもありません。
その方面の専門ではないボクに、詳しい事情はワカリませんけれども、東洋・日本に親近感を抱いていた彼の、業績を記念する命名だったのでしょう。
……………
ぼくら子どもの頃の童謡に『銀の笛』というのがありました。
月夜の たんぼで コロロ コロロ
コロロ コロコロ なる笛は
あれはね あれはね
あれは 蛙の 銀の笛
ささ 銀の笛
もとはスコットランド伝統の曲だそうですが。
ぼくは、この唄の「コロロ コロコロ」鳴る笛のヌシは、シュレーゲルアオガエルだと思っているのです。
でもね、ぜんぜん<らしく>ないじゃないですか。
アマガエルの鳴く笛の方がダンゼン風情だと思うので、なんともフクザツな心境なんです。