-No.1874-
★2018年11月08日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 2800日
★ オリンピックTOKYOまで → 624日
★生(活け)の味を知ることがセンケツです!★
ぼくの<刺身愛>については、いまさら語るまでもない。
お魚の味わい、魚種によってさまざま、調理法による引き立て方もさまざま…なのは、いうまでもない。
とくに最近は、「刺身にまさる干物」の味わい深さが盛んにいわれる、けれど。
ここでの主題は別にあるから、詳しくはまたの機会にゆずる、として。
これだけは敢えて言っておきたい。
「魚の滋味、奥ゆきを知りたかったら、なによりもまず、生(活け)の身肉の底力を知ること」
★皮も身肉も真っ赤なハチビキ★
ハチビキという魚がいる。スズキの仲間だ。
海底のあたりに遊泳する底生魚だそうで、けれども図鑑で見ると、細長い紡錘形の魚体はなるほどスズキさんに似て、尾鰭の発達ぶりから見ても泳ぎの得意な、筋肉質の魚にちがいなく思われた。
そうなのだ! 魚のマコトの味わいは、その<姿・形>を知ってこそなのだ、けれども。
ざんねんながら、ボクはまだこの「ハチビキ」、丸のまま<尾頭つき>の魚体を見ていない、つまり「さく」の状態で魚屋から買ってくる。
でも、二度食べて、二度とも満足だった。
特徴的なのは全身が赤色につつまれ、背は黒みがかった濃い赤、尾は鮮やかな赤で、愛嬌のある受け口をしている。
どちらかというと暖海性の大型魚とか。
店では「アカサバ(赤鯖)」の名で売っていて、値は高くなかった。
外見だけじゃない。
身肉も血のように濃い赤(血合いは紫色をおびる)で、「ちびき」の名は「血引き」からきているらしい。
きっと、釣りをする人ならご存知の魚、けれども一般の人にはほとんど知られていない。
市場をとおすほどの漁獲量はないからだろう。
むかしの本『和漢三才図会』には、「味は美くない」「血の色を悪んで食べる人は少ない」とあるそうだが…なんの、いまどきボクらの舌には「なかなかの美味」。
クロマグロのような<血の味わい>はなくて、色に似あわないさっぱり味をして、歯ごたえもよい。
魚くささがないうえに、鮮度落ちも少ないようだった。
ソテー(バター焼き)にしても旨いそうだし、沼津(静岡県)では干物を売っているそうだが、ぼくは二度とも鮮度のよいところを刺身でいただいた。
「口福」だった。
おいしいよ! 見かけたら食べてみて!!
★秋空の気もち晴れ晴れ歯ごたえコショウダイ★
「ハチビキ(赤鯖)」を食したのは、春さきであった。
(冬から夏にかけてが旬…の魚といわれている)
さて、秋になってぱったり出逢ったのが、ボクにとってはこれも初もの(どこぞの水族館で見たことはあったかな…程度)の「コショウダイ」。
やっぱり、釣り人はご存知だけど派の魚らしく、魚屋の店頭で馴染めるものではない。
それでも「ハチビキ」よりは流通するものと見え、「知っていたら通人級」とネットの『市場魚類図鑑』には紹介されていた。
ちなみに「ハチビキ」の方は、ワン・ランク上の「達人級」であった。
魚屋店頭の表示を見たときは 一瞬 手が引っ込みかかった。
「コショウくさいのは…いかがなものか?」と思ったからだ。
<食べ幸人>たちのウケを考えても、けだし命名(名づけ)は重要である。
さて、「コショウダイ」という海水魚は、マットな銀の体表の、背鰭あたりから尾鰭にかけて黒胡椒を散らしたような斑点がある…のが特徴と知れた。スズキ目イサキ科。
平たい<鯛型>からしても磯魚の仲間で、60cmくらいに成長するらしい。
身肉は半透明に近い白身だし、血合いのきれいな赤の色つやもいい。
刺身にひいて食べてみると、秋晴れの空を想わせるシャッキリ歯ごたえのよさに、微かに磯の香りがした。
美味い! これもまた「口福」!!
旬は春から夏とされる、けれども、魚屋は「産卵後すぐを除けばいつでもいい、味がおちることはない」と断言する。鮮度落ちも少ないようだ。
思いのほか値段も安かったから、このさき知られてくれば人気がでてきそうな気がする。
鮨ににぎって、レモン汁をたらしても冴えそうな……