どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ヒット美術展覧会「ビュールレ・コレクション展」のこと

-No.1673
★2018年04月21日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 2599日
★ オリンピックTOKYOまで →  825日

 おはようございます、おげんきよう、<なっつまん>です。

*14日で熊本地震からはや2年…いまも4万人ちかくの人が仮設暮らし…ほど遠からぬ耶馬溪大分県)ではまた大規模な土砂崩れ…災害列島やすむ間もありません…*

◆喫茶店チェーンはなぜか「ルノワール

 六本木の国立新美術館へ、『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』を桜花のさかり3月に、観に行ってきた。
 中高時代の友人N君を誘ったのは…どう言ったらいいだろう…その頃の、たとえば美術の教科書的な、青春前期の匂いをフと嗅ぐような気分になったからだった。

 「ビュールレ・コレクション」は、スイス、チューリヒ湖の畔にある印象派の美術館。武器商人として財を成したビュールレ氏の個人コレクションである。

 こんどの展覧会では、ルノアールの『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)』と、セザンヌの『赤いチョッキの少年』とに、徹底して広報のマトがしぼられたこともあり、その初々しさに誘われてヒット。
 2月に始まった展覧会は、3月に入るとすでに来館者が10万人を突破、その1ヶ月後にには20万人を記録した。

 この展覧会は火曜が休み。ぼくらが訪れたのが休み明けの水曜日。
 春休みにも入っていたから学生の姿もめだって、観客のかずは予想どおり多かった。

 ただ……
 どういうものか、人だかりがしてゆっくりとは観ていられない作品は、いずれも世に知られた名作ばかり。いわば、画集などでもすでにお馴染み。
 まぁ、だからこそ人気があるのだった、けれども印象として、どうしても〝教科書〟的な感がぬぐえない。
 ほかにも、いい作品があるのに……

 たとえば、ゴッホの『日没を背に種まく人』あり、カナールの『カナル・グランデヴェネツィア』あり、モネもマティスドラクロワも、ロートレックシスレーゴーギャンドガピカソもあったのに!

 セザンヌにだってほかに『庭師ヴァリエ(老庭師)』があり、ルノワールにだってほかに『泉』もあって、マネの『ワシミミズク』とか、ブラックの『ヴァイオリニスト』なんかも佳かったのに……

 そうしていま、ボクにも印象派の真味がわかってきたところなのに!
 どうしてだろう、展覧会の人気とは裏腹に、トータルな〝印象〟に感動的なものは稀薄に思われたのだった。
 (個人の趣味世界に没頭したい…コレクターの気分もワカル気がする…)

 モネの『睡蓮の池、緑の反映』。
 なぜか〝撮影許可〟になっていた大作を最後に会場を出ると、窓外にはしきりに桜の花吹雪がながれて、ぼくは、ふしぎにアンニュイになっていた。

 「なんかね、やっぱり美術の教科書みたいな…」
 ぼくが、気になっていた〝印象〟の告白をしたら、N君もうなずいていた。

 ついでにボクの脳裡には、鑑賞の途中から、ひとつの雑念がちゃっかり居坐ってしまい、気になってしようがない。
 それは、喫茶店チェーン「ルノアール」のことだった。

 もう、ひとむかしも前…になるのだろうか。
 ぼくらの青春時代は、コーヒー一杯で音楽を愉しみ、あるいはだべって時間をつぶし、また恋をささやきあったり…という喫茶店文化というものがあった。
 そう、喫茶店もそれぞれに趣味・趣向をこらして、かずもかなり多かった。

 時代が変わって、くつろぎの喫茶店は流行らないことになり、スマホ片手にひと息入れるだけのコーヒー屋にとってかわられた、いま。
 チェーン店としてのこるゆったり喫茶室といえば「ルノアール」くらい。東京では、一部知識人・マスコミ関係者などにファンの多かった「談話室滝沢」があったが、これもすでに撤退している。

 喫茶室「ルノアール」の、もとは煎餅屋さん。
 創業当時は日本茶に煎餅のセットというメニューもあったとか、聞いたことがある、が。店名については由来を知らなかったことに、いまになって気がついた。
 それくらい、喫茶室「ルノアール」はなんの不思議もなくそのまま、はじめから「ルノアール」でありつづけた。

 (なんで!?)を放っておけないボクのことは、前にもお話したとおり。
 …で、あとで調べてみたら。
 なんでも創業者(小宮山正九郎)の親友のひとりが、「ゴッホ」「ドガ」など候補のなかから選んだのだ、と。

 なんとも愛想のないことだったが、つまり、それほどに〝印象派〟がお好きだったということだろう。
 それに、だいいち〝印象派〟の方々のお名前というのが、「ゴッホ」「ドガ」にかぎらず、「モネ」「マネ」「シスレー」「セザンヌ」…と、とんと喫茶店名にふさわしい愛らしさがない。

 すると「ルノアール」は、ごく自然のなりゆきだったことになる。
 ぼくは、また、ふとアンニュイだった。

 N君とは、桜吹雪のミッドタウンでお茶を飲み、六本木にふるくからある蕎麦屋でざる蕎麦を啜って別れた。
 ぼくは帰途、新宿まわりで小田急ロマンスカー、ひとりビールを飲みながらアンニュイに身をまかせた。

 チューリヒにあった「ビュールレ・コレクション」は、2008年に武装強盗団に襲われ、『赤いチョッキの少年』をはじめとする4枚の絵を強奪され、その価値額はおよそ175億円とか。
 さいわい作品はすべて発見、回収されたが、その影響によって閉館、20年にはチューリヒ美術館に移管される。

 ……………
 
 その前に、コレクションの全体像を紹介する最後の機会として実現した、このたびの「ビュールレ・コレクション展」は、5月7日(月)まで。