どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

吾が<ほうれん草>は…〽ポパイ・ザ・セイラマン

-No.1659
★2018年04月07日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 2585日
★ オリンピックTOKYOまで →  839日





◆「おひたし」の定番

 ぼくは、<ほうれん草>が殊のほか好き。
 定番の「おひたし」でいただく朝ご飯、これがいい。
 亜麻仁油をたらし、カツオの削り節を散らし、醤油をたらして真っ先に箸をつける。
 このスタイルがいまでは、食べすぎを控える食習慣になっている。

 「おひたし」はほかの野菜でもよし、韓国のナムルなんかも好きだけれど、やっぱりその味わいの深さ、<ほうれん草>の佳さにはとてもおよばない。
 かつては冬場、冷涼な季節の葉もの野菜だったのが、いまはいつでも食べられるようになり、季節感はなくなったかわりに、食の満足はおおいに増進した。

 中央アジアの原産だそうで、日本にはシルクロードを通って17世紀頃に入ったといわれ、伊達政宗も食べたそうな。〝独眼竜〟が神妙な顔で<ほうれん草>の「おひたし」に箸をつけている図なんぞは、なんとはなしに微笑ましい。

 日本における<ほうれん草>は、おおきくわけて2種類。
 葉が厚く丸みをおびた「西洋種」と、葉が薄くギザギザに切りこみがあって根元が赤い「東洋種」と。
 〝独眼竜〟が食べたのはいうまでもない、赤い根っこの東洋種だ。

 ただし、「東洋種」は味がよいかわりに、病気や虫に弱いため栽培がむずかしい。
 そこで、手間がかからず多収穫が好まれる現在の勢力図は、圧倒的に「西洋種」系。つまり、スーパーなどに並ぶのはほとんどがコレである。

 わが家では、食材の目利きで、散歩がてら店頭をのぞくのも好きなぼくが、いまは買い物をすることが少なくない。
 そんなときの<ほうれん草>を見る目は、葉っぱよりも先にまず根っこの赤さである。
 それが近ごろは、ますます寂しくなってきているのを痛感する。

 <ほうれん草>の美味しい時期は、秋9月から冬3月(なかでも盛期は11月~2月いっぱい)頃まで。寒さを好む野菜は、わざわざ収穫前、「寒締め」といって冷温にさらすこともあるそうな。
 すると、これは低温ストレスを凌ぐためだそうだが、なんと12~14度と糖度が増し、ビタミンのCやE,βカロチンの濃度も増す。

 懐かしいアメリカ・アニメのヒーロー「ポパイ」がガッバーとばかりに喰っていたのは缶詰め<ほうれん草>だったが、それでもムキムキのマッチョになるほど栄養豊富というわけだった。
 ぼくは、いまでもそれを、ちょくちょく想い出す。

 …で、そろそろ旬の冬場もおしまいに近い、けれど、今年はながいこと寒気がいすわってシーズが伸びたのを幸い、ぼくは美味い<ほうれん草>産地として名高い山形へ、ネット通販に注文を入れた。
 真っ赤な根っこの<ほうれん草>に逢いたくて…。

◆「常夜鍋」にしても旨かった

 山形から届いた「赤根ほうれん草」。
 青森・津軽の、ほっぺの赤い子や娘を「リンゴっこ」と呼んで、チョコッとつついてみたい誘惑にかられるけれど。
 この「赤根っこ」にもそんな風情。

 「赤根ほうれん草」は、「東洋種」系の血をひく日本在来種という。
 さっそくに、まずは定番の「おひたし」で。
 紅をさしたように赤い根っこから、しゃきしゃき歯ごたえを味わう。
 なるほど、甘い、底力がある。
 緑濃い葉っぱを噛むと、こんどは、びっくりするほど軟らかい。アクも少ない。

 栽培農家では、この「赤根っこ」を育てるのに、水やりは最初の1回きり…と聞く。
 あとは「ほうれん草」自身の生命力にゆだねられる、と。
 それでいて、大株・太根に育ち、しなやかに丈夫だから、雪を被っても茎や葉が折れにくいのだ、と。
 ときには、降り積もった雪のなかから掘り出すこともあり、大株・太根の「赤根っこ」の収穫はラクではない。が、やっぱり雪を被ったほうが「あんまい」。
 ハウスでも育つけれども、やっぱ露地もののほうが「あんめぇ」。

 前にも、みかん農家ほかの育成法で、「手間はかかる、けど、甘やかすほどに手出しはしない」ことにふれたが。
 「赤根っこ」また、おなじであった。

 同梱されていた出荷元からの食べ方情報に、向田邦子さんの大好物だったというふれこみの「常夜鍋」が紹介されていたのを試してみる。
 「常夜鍋」のこころは「毎晩のように食べても飽きない」こと。広辞苑にも紹介されている伝統の調理法だ。

 レシピ(3~4人前)は。
 水と純米酒、同分量をあわせ入れた鍋で昆布だしをとり。
 1袋の「ほうれん草」は茎と葉とに切り分け。
 豚肉(500gほど)とともに、サッと「しゃぶしゃぶ」ふうにして、ポン酢でいただく。

 またひとつ、いい味わいを知った。
 これまで「おひたし」の城にばかり籠っていたのを、いたく反省させられた。
 この「常夜鍋」でも、「赤根っこ」の甘さがきわだつ。

 近ごろのスーパーで、とくにこれからの、旬をすぎて端境期ともいうべき頃に、手に入る「ほうれん草」は(西洋種の)小ぶりで根っこの赤さも淡い。
 食べものに対する基本は「地産地消」、それはわかっているのだ、けれども。またときにはこうして、イイもの、スグレものと出逢えることも、また、あぁ佳きかな。

 さて、その「ほうれん草」。
 世界における日本の立ち位置、食料自給率40%たらずの国の事情を調べてみると、産地としてはこれが<なかなかの健闘>ぶり、こころづよい。

 ちなみに世界のトップスリーを見ると。
 ダントツの1位中国は別格として。
 2位は「ポパイ」のアメリカ。
 そして3位には日本がランクインしている。
 鮮度がいのちの緑黄色野菜だけに、ありがたい気がする。