-No.1425-
★2017年08月16日(水曜日)
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◆生命の疲労を癒すホルモン
きょうは、ぼくの誕生日、72回めの……
この日くらい、喜怒哀楽なしの〝安静〟なときをすごしたい。
詳しいことはまったくのところワカラないのだ、けれども。
ホルモン、というのがある。
生体内の器官で合成・分泌され、血液や体液にのって体内を循環、さまざまな体細胞にはたらきかける生理活性物質、という。
よくワカラナイながら〝ホルモン・バランス〟というのがたいせつなことにはナットクがいく。
古代ギリシャ語由来とされる「ホルモン」の名には「刺激する」の意がこめられているそうだが、それは想像するに、複雑・緻密に構成された生命体をソツなく運営していくための、ごく根源的な〝刺激〟であるらしく。
重要な役割を演じていることは確かなのだけれども、作用やそのメカニズムなど詳しいことはまだワカッテいない。
そんなホルモンのひとつに「オキシトシン」がある。
中枢神経に作用する神経伝達物質。
これを知ったのは、つい昨年、かみさんのすぐ上の姉さんが亡くなる前、癌治療の苦痛を和らげるものとして、だった。
「痛み」は「ストレス」だから、これを緩和してやることで癒される、効果はみじかいかも知れないが恐怖心を抑え、シアワセな気分をもたらしてくれる。
やさしく手をあてるだけのマッサージにさえ、オキシトシンを分泌する効果が認められる、とのこと。
医療では、出産や授乳にまつわる場面で投与されてきている、というから生命にかかわることマチガイなく。
しかも、このホルモン、なにげない日常の営みで分泌・放出されている、という。
愛撫や抱擁など肌と肌のふれあいや、セックスによる子宮頸部への刺激よるらしく。
それで「抱擁ホルモン」とも呼ばれるオキシトシン、良好な対人関係にあると分泌され。
しかも、このシアワセを周囲に伝え、協調を誘う、ポジティブな性格をもつともいわれる。
札幌の入院さきを見舞ったおり、かみさんにこのスキンシップ療法をすすめた。
恋人同士の「ハグ」は、つよく「抱きしめ」るわけだが。
この場合の「ハグ」は、やさしく「抱きよせ」、手を添えて「撫で」る。
姉と妹は、ベッドに腰かけた状態でたがいに抱きあい、しばらくの時をすごした。
ざんねんながら、これができたのは一度きりだった。
東京と札幌との遠距離では、見舞いもなかなか思うにまかせず、次に訪れたときには姉さんは寝たきりになっており、かみさんはその肩を抱けただけ、そうしてまもなく別れのときがきた。
だから、オキシトシンがどの程度、かみさんの姉さんに分泌されたかは、知れないのだ、けれども……
それからというもの、ぼくたちは、このスキンシップ・ハグの抱擁を心がけるようになった。
ナニかというと抱きあう、そんな習慣のないことに戸惑いながら……
寒い冬にはほんのり身体の温もりを感じ、酷暑の夏は抱擁した方が涼しいくらいのこともある。
「グルーミング行為」とも呼ばれるスキンシップ・ハグ、これはつまり、動物たちに見られる毛づくろい行為とおなじことになる。
いまはお手軽に、「オキシトシン・スプレー」なる商品もあるらしい。
スキンシップ・ハグもままならない、現代のちぐはぐに孤独な人の世を想う……