-No.1312-
★2017年04月25日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 2238日
★ オリンピック東京まで → 1186日
◆春爛漫の4月10日
新しい国立競技場の建築現場を見た(22日記事)後、ふと、むかしを想う気分に誘われて内藤新宿へと歩いた。
外苑西通りを、首都高新宿線とJR中央線の線路下を潜っていけば、すぐ右手が新宿御苑の内藤町。かつてはこちらに御苑の正門があったが、現在ふだんは閉鎖になっている。
交番脇の案内板に「伝 沖田総司逝去の地」とあって、一気に”時代もの”の世界へ。
内藤家屋敷(現在の御苑)に沿って流れていた旧玉川上水の余水吐〔よすいばき〕(渋谷川)に近く、新選組隊士、沖田総司の最期を看とった植木屋平五郎の家があった、とされる。総司は晩年、肺結核を患っていた。
川筋の跡と思しき窪地に、名も知らぬ紫の野の花が、無心に群れ咲いているかに思われた。
少し先、ひとつ内側の路地に、内藤家(信濃高遠藩)の家祖、藤原鎌足を祀った多武峯内藤神社がある。
境内の「駿馬塚」というのに、伝えのこされている逸話が気宇壮大でいい。
江戸入府後に徳川家康が家臣の内藤清成を呼び、現在の新宿御苑一帯を指し示して、こう言ったという。
「馬でひと息に回れるだけの土地を与える」
すると清成の乗った駿馬は、南は大久保、西は代々木、東は四谷まで走って倒れて死んだ。
その駿馬の功をたたえてできたのが、この駿馬塚だという。
似たような外国(ロシアだったか…)の話しを子どもの頃に、聞くか本で読んだかした覚えがあるけれど、こっちの話しの方がスカッと気もちがよくて、いい。
新宿通りに出ると、右が四谷。
左側の新宿1丁目から2丁目、いまの新宿3丁目にかけてが、かつての内藤新宿。現在の新宿駅前繁華街より東の方に寄っていた。
日本橋を起点に整備された街道の最初の宿場、東海道の品川宿、中山道の板橋宿、奥州(日光)街道の千住宿と並ぶ江戸四宿のひとつで、その賑わいは品川宿に次いだ、が。
途中一度は宿場廃止の憂き目にもあっている理由が、岡場所(色町)の繁盛しすぎ、つまり風紀の問題によるともいわれるのだから、その新宿魂いまも健在といっていい。
甲州街道(現在の国道20号)を御苑トンネルに見送って、すぐに大木戸跡。
内藤新宿、正確にはこの四谷大木戸から西へ、新宿追分(現在の新宿3丁目交差点)あたりまでおよそ1キロほど間で、最盛期の旅籠屋の数は50軒を超え、追分からは青梅街道が岐れていた。
新宿御苑には、大木戸門から入る。
1週間ほど前に御苑に遊んだ知人の話しだと、「入口から大勢の外国人をまじえた長蛇の列にウンザリ」とのことだったが。
この日はさいわい、さほどのこともなく、しかし、苑内でのアルコール禁止ということで、持ち物チェックが花見客には艶消しのかぎり。
苑内の桜は、ちょうど満開、花見ごろ。
ことしの桜花は、開きはじめてから寒い日がつづいたぶん、花もちがよかった。
それにしても、知人の証言にもあったとおりの外人観光客ラッシュ。
この日もたいへんな数で、うっかりすると日本人の高齢者グループをしのぐほど。
芝生に腰をおろして、ぼくはしばし考えてしまった。
いま欧米では、難民・移民排除の嵐が吹き荒れ、いっぽうで日本は、もともとが難民・移民の受け入れに消極的だと指摘されつづけてきた。
ぼく自身は、どうか。
日本語以外の言語での会話ができないところが難だが、ボディーランゲージで凌ぐくらいのことはできるし、必要に迫られれば受け入れる気もある、が。
もうしわけない、けれど、誰でもオーケーというわけには、ヤッパリいかない。
現在の訪日外人客のありようを見て、正直な想いをいえば……
概して、西洋人と、東洋人でも東南アジア系なら不安はすくないけれど、お隣りの韓国人、それよりも中国人のもつ民族性には、正直、辟易とするところがある。
そうして、しかし、こうも思うのだ……
日本人もかつては、欧米の国々で「エコノミックアニマル」と呼ばれ、皆一様にメガネをかけカメラを首からぶらさげて…というので、ずいぶん顰蹙をかったことがある。
その日本人から見て、第二次世界大戦の相手民族は(戦中事情を考慮するとしても)「鬼畜米英」であったな、と……
「他山の石」か。
「人のふり見て我がふり直せ」か。
(ことしはこれで花見もしまいじゃ…)
ぼくは、桜の花そろそろと散りかかるなか、新宿門から御苑をあとにした。
新宿駅南口まで歩いてバスタの先、府中方面へとゆるく下っていく甲州街道を目にすると、1964年オリンピック東京大会のマラソン、
アベベ・ビキラ選手(エチオピア)の独走ひとり旅が、髣髴とよみがえってきた。
……………
ことしの桜、町田ではけっきょく16日の日曜日までだった。
その1週間ほど前には、和歌山県紀伊半島南部の山から、「クマノザクラ」と呼ばれるヤマザクラの1種かと思われていたものが、じつは新種の桜かも知れないという、うれしい便りがあった。
新種発見となれば、国内10種めの野生の桜、100年ぶりのことになるそうで、「花もきれいで鑑賞用にも期待できる」という。
ぜひ「ちょっといいはなし」であってほしい。