-No.1305-
★2017年04月18日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 2231日
★ オリンピック東京まで → 1193日
◆4月3日二~三分咲き、6日六~七分咲き
ぼくが住む町田にも、いくつか花見の名所があって。
近いところでは恩田川沿いの桜並木。
都心では花見頃、桜満開のところもあるとの報らせに誘われ、散策にでかけた。
前日のぽかぽか陽気に期待したわけだが…。
蕾はふっくら、紅をさしていても、開花は二分か三分咲きといったところ。
気のはやい花見客たちに混じって歩いてみたけれど、やっぱりどうも、いまひとつ興がのらなかった。
水辺に降りたコサギの、黄色い指先がまだいかにも冷たそうだった。
ヒヨドリにも気のはやいのがいて、開いた桜花に嘴を寄せ蜜を吸っていた。
羽色の地味な野鳥だが、波うつように飛ぶ姿がかわいい。
三日後の6日、あらためて、こんどは国際版画美術館のある芹ヶ谷公園へ。
この日は、花見弁当や敷物持参の家族連などが三々五々集って。
桜も六~七分まで開くと、風にそよぐ風情もこよないものになる。
「満開」といわれると、人は”花に嵐”を想って心せかれてしまうわけだが。
気象予報官の見たてる満開は、じつは八分咲きくらい。だから、あわてなくてもまだ、風にはらはら散ることもない。
版画美術館のある公園への道には、ハナモモが濃いめのピンクに頬を染め、菜の花が斜面を黄色く染めていた。
なるほど花見は桜だが、ほかにもある春の花、野の春のきざしをあれこれ感じながらの散策も、なかなかにいい。
スケッチブックを広げた絵画グループは、真っ赤なシャクナゲの花に惹きつけられ。
幼な児は花ニラの園に戯れ、水の流れに遊び。
山かげには、ヤシャブシだろうかハンノキだろうか、花のあとの緑の簾を垂れていた。
それにしても……
気のせいか、このごろの桜花に、命あふれ萌えいずる勢いがもうひとつ感じられない、色も年々薄くなる気がする。
この花の色の衰えについては、見る眼の加齢によるせいだ…といわれるが、どうもそればかりではないようだ。
日本の桜樹が、総じて歳をとってきていることもあるのだろう。
都市部の桜には、生育環境の悪化、病虫害の影響もあって樹勢が衰えてきている、とする指摘もある。
桜樹を食害するクビアカツヤカミキリという外来の昆虫が、2012年以降、各地で発見捕獲されており、この虫はバラ科(桜・梅・桃など)を好み、しかも食欲きわめて旺盛、繁殖力もつよいという。
早急に対策をとらないと、将来、花見ができなくなる怖れもあると、専門家は警鐘を鳴らしている。
ぼくの見た限りでは、食害の証拠となる木屑や糞は見られなかったけれど。
かつてのマツクイムシの被害と同様、食害された桜樹は伐採しないといけない、という。
ことしは、東京の桜がいち早く満開になったいっぽうで、暖地鹿児島の開花が遅れ、それは気候の温暖化によるものだという。
つまり、夏から秋冬の寒冷期を経てこそ実感できる春の訪れ、四季のめりはりといったものが薄らいできている所為だと。