-No.1302-
★2017年04月15日(土曜日)
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「奄美群島国立公園」が誕生したのは3月7日、関連記事の投稿は4月9日だった。
(http://blog.hatena.ne.jp/sashimi-fish1/draft-scat.hatenablog.com/edit?entry=10328749687232012317)
その前、昨16年9月15日には沖縄本島北部「やんばる国立公園」の指定があった。
その謳い文句は、沖縄県国頭〔くにがみ〕村、大宜味〔おおぎみ〕村、東村にまたがる面積(陸・海域を含む)1万7000ヘクタール。亜熱帯照葉樹林の「やんばるの森」にはヤンバルクイナやノグチゲラなどが棲息、海岸にはマングローブ林や石灰岩の崖といった景観が広がる、という。
のだ…けれど。
なにしろ”オキナワ”のいまは、あのとおり「辺野古」のことがあり、さらには「やんばるの森」ヘリパッドのことがあって、それどころじゃないはずなのに国は、臆面もなく、いや、あてつけがましくも、問題の地に国立公園をおしつけた。
これで帳消しにしたい、のであろう。やることがイチイチ姑息だ。
だからボクは、そのときはてんで、とりあげる気にもなれなかった。
……のは、国立公園指定区域を示す地図というのが呆れたことに、米軍北部訓練場をすっぽり抱えこんでおり、つまり、緑のパズルの一片が空白に抜け落ちているのだ。しかもそのワンピースというのがドデカいときているから、傷は深い。
それだけでも「えぇ~っ」事態なのにもかかわらず。
問題だと思うのは。
奄美群島(奄美大島・徳之島ほか)とこの「やんばるの森」を含む沖縄本島北部と西表島が、「奄美・琉球」というくくりで世界自然遺産登録を目指すという。
「そんなのって有りかョ、マジで?」
いまの若者コトバでいったら、そうなる。
軍事訓練場を抱えこむ地域がでアル、自然遺産登録を申し出るようなことが許されるとしたら。
「国際平和」と「人類の福祉」を目指すユネスコも、ずいぶんナメられたことにならないか。
地元には観光振興にかける期待がある。
それはわかるが、いっぽう、登録の障害になることを懸念する声があるのも、とうぜんだろう。
「北部訓練場の部分返還」をもってヨシとするのは、それは日本政府の身勝手にすぎず「ヒドすぎる」と、他国から指摘されても仕方がないし。ましてやユネスコの理念からすれば「呆れた所業」でしかない。
万々が一「近い将来の自然回復を期待」して登録というようなことがあったとしても、世界的に稀有なイエローカードもののケースとして長く記憶されることになるのではないか。
「やんばる」はもともとが「山原」であって、けして「やばい原」ではなかったのだから。
……………
つい最近、その「やんばる」の自然ドキュメントがNHK・BSで放送された。
(もちろん訓練場やヘリパッドがらみの映像は含まれない)
まず、そこは、ヤンバルクイナ(国の天然記念物、環境省のレッドリスト絶滅危惧種)とノグチゲラ(国の特別天然記念物、環境省のレッドリスト絶滅危惧種)の天国と紹介される。
ヤンバルクイナは、飛べない、けれども木のぼりはできて。夜、樹上でやすむのはハブに襲われないための用心。ハブも木にのぼるけれども、ヤンバルクイナはもっと高い樹上の枝にいる。
ノグチゲラの方は、キツツキ(の仲間)でありながら、地面に下り、地面を突ついて堀り、なかの虫を喰う。
それは、天敵らしいものが見あたらないからだと、紹介される。
大型哺乳類がいない「やんばるの森」で、生態系の頂点に立つのは大型ヘビの、ハブとアカマタ。
ハブは毒牙を武器にする乱暴者、アカマタもまた無毒ではあるが、その気性きわめて荒く。
夜行性のヘビどもは森を出、浜に下りて砂に潜り、ウミガメを餌にする。卵も喰えば、卵から孵ったばかりの仔も喰らう。
赤外線カメラがとらえた映像で、ヘビどもが欠伸でもするように口を大きく開く態〔さま〕が紹介され、それにナレーションがかさなる。
「これは鱈腹食べたあと口顎の筋の具合をたしかめているのです」と。
ボクは、砂の中のデキゴトを想ってマユを曇らせつつも、自然〔じねん〕の妙とその豊かさに舌を巻く。
この「やんばるの森」が、どっこい生き抜いて人の世に警鐘を鳴らせるか、はたまた”やばい原”になり果ててしまうのか。
ボクは、まだ見ぬヤンバルクイナやノグチゲラ、乱暴者でキライではあるがヘビどもに、心の底からのエールをおくる……