-No.1300-
★2017年04月13日(木曜日)
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★ オリンピック東京まで → 1198日
◆4月9日、日曜日の記事で…
アマミノクロウサギの天敵として、毒蛇ハブのことにちょこっとだけ触れた。
毒がなくてもボクは蛇を好かない、ましてや猛毒で攻撃的な蛇には身の毛がよだつ。
そんな蛇がスキな人がいることはショウチしいるし…それで偏見などしたくないのだけれども…でもやっぱり、ついケイカイしてしまう。
食性が動物食で、小型哺乳類のネズミを主食とするのは、まぁいい(どこが…? 身勝手な!)として、鳥類から爬虫類、両生類から魚類までほとんどなんでもござれ、人畜まで襲い。
咬まれたらすぐに血清をうたないとアブナイ(死にいたることもある)といわれる。
「へび」の名は「はみ(丸呑み)」からきているとかで。
なかでも有毒なのを「はび」と呼んだのが、ハブの語源であろうとする説もある。
動物の生身も喰うが卵も好物で、みずからも卵生。
で、生まれた子は赤ん坊のときからすでに毒をもち。
変温動物で寒いのは苦手なくせに、おとなしく冬眠をすることもない、ときている。
夜行性でありながら、涼しければいいョというのか、森や林の木陰、草陰、石垣の陰、墓場などには昼間からひそみ隠れ、木登りまでして枝で待ち伏せ、水辺や砂浜には日の暮れる頃から涼みにきて、ザワワ…のサトウキビ畑なんかも居心地がいいらしい。
鞭のようにしなる俊敏な攻撃がジマンで、咬みつくとすぐ大きな毒牙を突き立てる。
そのときの襲われる状況描写を、現地の人たちは「ハブに打たれる」と、なんとも適格に表現する。
ぼくが若き日、奄美大島のすぐ手前、吐噶喇〔とから〕列島の宝島にひと夏をすごしたことは前にも書いたが。
その島で、ボクらを震えあがらせたトカラハブというのは小型の近縁種。毒もホンハブにくらべたらまだましといわれた。マシでもイヤなものはイヤだ。
現実に、島のハブ獲り人のなかには何度も「打たれ」たせいで、自身に毒の影響と思われる後遺症があるほか、複数のわが子にも障害が認められる例があって、その評判がいよいよ恐怖心をあおった。
こんなふうに、まったくいけ好かないハブだけれども。
南西諸島に見られる”飛び石状”の分布、というのを知らされたときには、妙に心がさわいだ。
どういうことか……
地図を見ていただくと、よくワカルのだが。
まず北から、上述したトカラ列島に近縁種のトカラハブ、奄美群島と沖縄諸島に(ホン)ハブとヒメハブ、八重山諸島にサキシマハブが棲息するが、宮古諸島には棲息しない。
さらに細かく見ていくと、奄美大島、徳之島(いちばん攻撃的なハブで知られる)、沖縄本島にはハブがいるが、その間の沖永良部島、与論島にはいない。
沖縄本島周辺では、伊江島、伊平屋島には棲息するが、その間の伊是名島には棲息しない。
久米島、渡名喜島にはいるが、粟国島にはいない。
慶良間諸島でも、渡嘉敷島には棲息するが、座間味島には棲息しない……
このように点々と棲息する状況は、(仮説だが)間氷期の海進によるというのである。
この南西諸島には大別して、最高点でも標高100ほどしかない低い島々と、それより高い島々とがあって。
まず、氷河期に陸つづきだった琉球列島にハブが分布。
つぎに、間氷期になって海面が上がると、島々は孤立。
さらなる海水面の上昇で、低い島は水没することになって陸上動物は絶滅。
つづいて海水面が下がると、低い島もふたたび海面上に現れたが、ハブは渡って来られなかった……
というのである。
なんと、むかしならジオラマ、いまどきならバーチャルな仕掛けを見るように、どきどきわくわくにドラマチックではないか!