-No.1298-
★2017年04月11日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 2224日
★ オリンピック東京まで → 1200日
◆3月15日(水)、春よ来い
「弥生山」は春の山、春の季語。
山の木々が芽吹いて生気あふれる頃をいう。
おなじ弥生でも「弥生尽」になると、春のおわり。
「三寒四温」は冬の季語、でも春の産声も遠くない。
なにしろ、むずかしい季節。
この日は「三寒」の巡りあわせで、雲の低い、ぐずついた空模様。
小網代の森に、早春賦を訪ねる予定だったのを、やむをえずキャンセル。
かわりに三浦半島の突端、城ケ島の海を見に行ったのだけれど、そこにも寒風が吼えるばかり、そぞろ歩きもそこそこに退散させられた。
……………
つまずいたら、とりかえす。
ひさしぶりに、剣崎に近い江奈湾へ、松輪の浜へ。
松輪といえば、脂ののりよく丸々と「黄金のさば」の別名もある地域ブランド「松輪さば」で有名だが。浜の、漁協直営の地魚料理「松輪」では、いつでも、その日その日の海の幸が供される。
ここでお昼をいただくと、いうまでもなく体重がふえる。
けれども自制するのがもったいない、そういうお店。
秋からが旬の「松輪さば」は、いまは季節が逆で。
ぼくは、本日おすすめの魚を書きだした黒板、いちばん上にある「メヌケ刺身」を、かみさんは同じ黒板リストから「キンメのみぞれ鍋」を注文。
車を転がす身ゆえ、刺身で一杯というわけにもいかない、かわりに定食にしてもらう、「ご飯を半分に」してもらっても無駄な抵抗は知れている。
この季節に「松輪」に寄るのは5年ぶりくらいだろうか、その折にもたしかメヌケの刺身を食べたことを思い出す。
メヌケという魚は、魚好きなら誰もが「おいしい」とみとめる魚。刺身のほか、煮ても焼いても、粕や味噌に漬けてもいける。
スズキ目メバル科の底魚で、深い海からあがってくると水圧で目がとびだすところから、この名があるのだった。
このたびのメヌケも、ぼくの舌をとろけさせ、よろこばせた。
その、だいご味、本マグロのおおとろの脂を上品に、ややおさえ気味に…とでも言おうか。
かみさんの「キンメみぞれ鍋」もいい味がでており、ぼくらはたいがい、こうして食べたい二品を分けあっていただく。
窓ガラスの向こう、浦賀水道をいく船の舳先が大きく波しぶきをあげており……
満腹して階下に降りると、「Pride Fish」の幟に目を惹かれる。
「あなたは、まだ、本当の魚の旨さを知らない」と。
全国漁業協同組合連合会のアピールであった。