-No.1293-
★2017年04月06日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 2219日
★ オリンピック東京まで → 1205日
◆春分の日の3月22日
…は、春彼岸の中日。
桜の開花も、いよいよ間近か、あるいはすでに開花か、といった美妙な頃。
ことし、東京の開花は21日だったけれども、ぼくの住む町田は冷たい雨模様だったので「えっ」という感じ。
家の脇にある緑道の、桜もまだ蕾が固かったし……
油断していたら、近くの小山の陽ざしのいい斜面の桜はもう開いていて、いたずらっぽい少女に「くすっ」と笑われた気がした。
ま、桜の季節は毎年こんなふうで、でも、こころは軽い。
春彼岸の中日には都心の菩提寺へ墓参り、その後、桜花を訪ね歩くのが、これも習慣になり。
まだ若く盛んなじぶん、花見といえば上野の山だったけれども、こっちはいつの間にか浅草、墨堤の桜のほうにシフトした。
なにしろ上野の山はチャップイ(寒い)、ビールやお酒がすぐにおしっこ。
ついでにこの頃の上野のお山は、世の中をなめきった若造ども、酒の楽しみかたも知らない狼藉者連中、あげくのはてにみっともなくもゲロゲロやって、花見どころの騒ぎじゃない。
墨堤の風も冷たいが、空が開けるせいか底冷え感はなかった。
そういうわけで、この春も浅草。
墨堤を、吾妻橋を東へ渡って墨田区へ、墨堤通りの親水テラスを眼下に北へ歩いて、こんどは言問橋を西へ、台東区へと渡り返して浅草寺に詣でた。
ことしの”めっけもん”は、墨田区役所に近い墨堤の「雅〔みやび〕」、早咲きの桜でプリンセス雅子にちなむ名をいただいており、その命の華やぎに頬を染めた風情は、むしろ愛子さまにお似あいかも知れなかった。
桜よりひとあし早いハクモクレンの花。
コブシの花とのちがいについては前にもふれたが、花が上向きに、ユリかチューリップに似て咲くモクレンには山の手の風情。いっぽう、ちょっとはしゃいで横向きに、大きく開くコブシの花には下町か山家の風情。
そうしてボクの好みをいえば、花弁ぽってりと装いも上品なモクレンより、やっぱりお陽さまや風と遊ぶのが好きでやんちゃなコブシ…となる。
墨堤には”桜祭り”の屋台も準備が整い、花見の酔客たちがそぞろ歩く日を待っていた。
休日の橋上には女学生たちの自転車が、スカートに風をはらんで颯爽と駆け抜け。
ふり仰ぎ、眺めまわせば、スカイツリーにゆきあう。
浅草寺は、境内の多国籍の賑わいあいかわらず。
香炉からたちのぼる煙りを身体じゅうにこすりつけ、娘たちは”ジャパニーズ・キモノ”着付けサービスの”馬子にも衣装”が、ときとともにフシギと板についてきているのがオカシかった。
仲見世を雷門へと歩くと、どういうわけかいつものことで、このまま帰ってしまうのが惜しくなるのは、どういうことだろう。
ぼくたちは、雷門前の梅林堂で落花生の素煎りを買いもとめ、浅草一丁目オレンジ通りの炉端居酒屋「銀鯱」で、「宮島つくね」など肴に一杯やってから、やっと家路についた。