-No.1208-
★2017年01月11日(水曜日)
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◆「ちょこっと暮らし体験」中の新聞記事
11月5日の北海道新聞(道新)。
1面のタイトルは「JR経常赤字235億円」、サブが「単独決算台風被害で過去最悪」「17年3月期予想」とあった。
これによって維持困難な路線の廃止やバス路線転換の課題が、とうぜんのように表だってきた。
(ついにきたか…)が率直なぼくの想いだった。
JR北海道の列車運行に”乗客として不安”がある…と感じたことは、前にもお話したことがある。
その原因に経営基盤の脆弱があることも指摘しておいた。
その遠因はもちろん、旧国鉄が民営化されるときの分割法にあることは言うまでもない。
首都圏に軸足をおく「東日本」、新幹線で優遇される「東海」にくらべると、ほかの、とくに「北海道」「四国」「九州」はあまりにも分がわるい。
なかでも冬期の厳寒というキビシイ条件をかかえるJR北海道は、とても、おなじJR仲間とは思えない不遇の位置におかれている。
たとえ似かよった環境の山間地といえども、”北の大地”の雪氷は別世界と認識する必要がある。
おなじ道新の2面には、「全線区15年度も赤字」「JR収支営業係数、改善せず」のタイトルで、克明な数値(営業損益・営業係数)と図示があり、それを見ると暗然とならざるをえない。
全線区赤字は14年度と同様。営業係数(100円の売上を得るのにかかる費用)が500円以上の線区は12にものぼる。
営業係数で最悪の留萌線、留萌-増毛間(営業係数2538円)は、すでに12月4日で運行を終えた。
もうひとつ注目されるのが、北海道の「へそ」地帯の3路線。
JR北海道の方針は。
①根室線・富良野-新得間(営業係数1854円、全線区中ワースト4)は、路線を廃止してバス転換。この間には、テレビドラマ『北の国から』の舞台になった布部駅、高倉健主演の映画『鉄道員〔ぽっぽや〕』の舞台になった幾寅駅(映画のなかでは幌舞駅)がある。
②根室線・滝川-富良野間(営業係数1010円)
③富良野線・富良野-旭川間(営業係数363円)
この2区間は「JR単独では維持困難」として、鉄道設備を地元自治体に所有してもらう「上下分離方式」を採用。
これが現実になると、道央方面から十勝・道東方面への鉄道動脈のひとつが失われる…だけではない。
いずれ将来は、道北・道東地域の鉄路切り捨てにつながること明らかで。
つまり、北海道の鉄道で生きのこるのは、新幹線ルート沿いの道南函館地域から大都市札幌地域だけになってしまうことになる。
「1億総活躍社会の実現」などと景気がいいのは口先ばかりで、中央(富裕層)偏重、地方切り捨て路線を曲げない安倍政権、国の責任ももちろん。
JR九州の超豪華列車導入のような、思いきった打開の手をうてなかったJR北海道の不甲斐なさも指摘されなければならない…けれど。
ぼくは、ここで、地元(沿線および関係自治体)住民の意識改革も不可欠なことを言っておきたい。
ふだんの生活では、小まわりがきいて便利な自家用車の利用にかたむくばかりで。
いざ、廃止とかの話がもちあがると猛然と反対する態度というのは、どういうことか。
それほどに大切(いまでも地域のバックボーンとされる)な鉄道(じつはこれホントのこと)なら、どうして日頃からこころがけて鉄道を使い、生活に生かす智慧をはたらかせないのか。
いまどき、国にせよ、自治体にせよ、アナタマカセでいていいことなど、ひとつもないのは、いい加減わかっているはずじゃぁないか。
鉄道ファンなど、他所からの客に期待しすぎるのも、すじがチガウ。
不便きわまりないダイヤの、がら空きの列車や電車に、スキ好んで乗る酔狂な乗客なぞ知れている。
痛手は貨物にもある。
北海道の「へそ」富良野は、生産にもその風景にも恵まれた農業地帯だ。
農産物の輸送に、トラック便にくらべて安価な鉄道は重要な手段だ。
旅客のための鉄路は同時に、貨物のための鉄路でもある。
このさい道民こぞって、しっかり考え、かっちりとした手をうっておかないと。
このさき、新幹線および札幌周辺をのぞく”北の大地”は、不毛への道を歩むことになるだろう。
もうひとつ。
JR北海道、極度に不振の影響で、道内社会人野球、唯一の企業チームだった「JR北海道野球部」の今季かぎりでの休部もきまった。
これなども、北海道離れを加速させる一因にちがいないのダ。
空の便とあとは(車があればいいや)という考えは、ぜんぜん甘い……