-No.1177-
★2016年12月11日(日曜日)
★《3.11》フクシマから → 2103日
★ オリンピック東京まで → 1321日
*《11.3.11》2016夏の巡礼の報告を終え、明後日から、北海道・十勝圏・上士幌町「ちょこっと暮らし体験」の報告はじめます。帰宅から1ヶ月あまり、体験したあれこれの印象もほどよく熟成をはじめたようです。〈ぼくたちの場合〉〈ぼくたちが感じたこと〉のありのままを、リポートします*
◆虚を衝かれる…ということ
〈機敏〉な性質〔たち〕の人がいる。
気ばたらきがすばやく、動作がみごとにすばしこい。
そのタチというのは、子どもの頃にとくにきわだち。
おとなの手にもおえない。
リスやオコジョを思わせるが、ほとんどの場合、そんな可愛げはなくて。
ぼくは、(自己評価ながら)グズではなかったが、けして機敏ではないのが口惜しかった。
機敏な子の特徴がチビだったのにくらべると、ぼくのがたいはデカいほうだった。
うっかり、機敏なチビの挑発にのせられてしまうと、スルリと手腕をすり抜けられ、背中を突つかれた。
おとなになると、〈気づき〉と〈さりげない対処〉が、世わたり人づきあいを左右する。
ぼくは、(これも自己評価ながら)ひとなみに器用だし、しごとは早いほうだったが、生き方は不器用きわまりなかった。
〈機敏〉におよばないのは、まぁ、やむをえない、として。
じぶんでもイヤになるのは、〈臨機応変〉にできないことだった。
機に臨み変に応じての、素早い対処ができない、グッとつまってしまう。
それは胸臆ふかくトゲを刺し、後悔と自己嫌悪がいつまでも蟠る。
〈虚を衝かれる〉ということがある。
無防備でいたわけでも不用意でもないのだ、けれども、あまりの意外さにグッとつまってしまい。
声もなく……
後になって無念、不本意の〈臍を噛む〉ことになる、あまりに非情。
グッとつまったときに、たとえば〈黙る〉手もある。
ぶざまに間の抜けた返答に窮するくらいなら、いっそ黙ってしまえ。
といっても、やはり……
〈臨機応変〉に賢く黙るのと、〈虚を突かれ〉て黙りこくるのとでは、えらいちがいだ。
◆すんだことを蒸し返す無神経
経産省が仕切る福島第一問題処理の委員会が、廃炉や損害賠償、除染にかかる費用の試算(およそ21・5兆円)を、5年余を経てようやく正式に示した。
それは、まぁ、それとして。
その費用の負担を〈ひとしく〉、〈電気料金に上乗せするかたちで〉国民にもとめるという。
〈ひとしく〉というのが曲者で、東電や大手電力会社との契約者にかぎらず、これからは新電力の契約者にも〈ひとしく〉負担をもとめる、と。
いわく「過去の原発費用はほんとうはもっと高かったのだ、から、過去分を負担してもらいたい」と。
(あれほどまでにしつこく、原発の電力は安い、と言いつづけてきたことをお忘れか…)
経産省や電事連関係者にすれば〈臨機応変〉のつもりだろうが、われら国民にしてみればまさに〈虚を衝かれた〉。
とくに、原発をもたない新電力との契約に望みを託した人々には、背後からいきなり刃で切りかかられたようなもの。
後になって「前にいただいておくべきだった分のお支払いをいま」というのは、商いの倫理にもとる。
それはナイだろう……が。
そういうことなら。
ぼくもまた、〈臨機応変〉の術を身につけなくちゃ、な。