-No.1172-
★2016年12月06日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 2098日
★ オリンピック東京まで → 1326日
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◆9月7日、大間原発
大湊湾岸のむつ市街から、海峡沿い道に戻ってくると。
お帰り、待ってたよ、と言わんばかりの絶好天。
沖縄のサンゴ礁の海ともちがう、北明とでもいうしかない碧のグラデーションが、ひたすら眩しかった。
古くは「大畑道」と呼ばれた国道279号、愛称の「むつはまなすライン」をこれまで実感したことのなかったボクに(忘れないでおくれよ)とでも言っているようだった。
大間の町は、一年のいまがいちばんいい季節…に、とろりと居眠っているかの静けさだった。
近ごろは「マグロの大間」で時間をかせいでいるものの、じつは「原発の大間」への準備中でもある。
けれど……
《11.3.11》巡礼の途次、その成り行きが気にかかって寄り道をする大間原発は、工事の中断が繰り返されるばかりで、この5年ばかり、ごくわずかにしか進展を見せていない。
もし万が一の不思議があって、現状の中途半端のまま地上から消え失せてしまっても、誰も気がつかなかったりするのではないか…と思えるほどに浮き世ばなれした感があるのだった。
いま注目のMOX燃料、低濃縮ウラン燃料で発電することになっている「改良型沸騰水型軽水炉」は、1号機が建設中のまま。
2008年春の着工以来、はじめは2012年春にも予定されていた運転開始時期も、延期延期を繰り返すばかり。
建設主体の電源開発は、原子力規制委員会に新規制基準適合性審査を申請しているが、いっぽうでは「海峡文化圏」の同志でもある対岸の函館市から建設差し止めの訴訟を起こされ、審理中でもある。
何度も通った奥戸の漁港からは、高く伸びたクレーンの首が所在なげに重たく見え、見上げる空はあくまでも青く。
午後の港には、声をかけたい漁師の姿もなかった……
◆9月7日、大間港
午後のフェリー便までにはまだ間があったけれど。
港に行って、乗船手続きをすませ、待機する。
港の空き地では、港湾関係専門の建設会社であろう、大馬力のクレーンが唸って、消波ブロックづくりに余念がなかった。
おなじ建設でも、こちらには、なんの隠しだても遮蔽もなく、あっけらかんとおおらかであった。