-No.1022-
★2016年07月09日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1948日
★ オリンピック東京まで → 1476日
◆北緯24度3分33秒
……ちなみに新宿にある東京都庁は北緯35度41分22秒……
東経123度46分57秒
周囲(海岸線長)14.8km
面積12.73㎢
最高点標高59.5m
所在海域 太平洋
所属諸島 八重山諸島(日本最南端の有人島)
所属国・地域・所在 日本国沖縄県八重山郡竹富町波照間(〒907-1751)
人口 542人(2009年3月末現在の住民基本台帳による)
……民間人が日常的に訪問できる日本最南端の地……
あらためて、そういわれると身がひきしまるようで、こんな存在証明からはじめる気分になった。
西表島大原港から、また”素っ飛び”高速船に揺られ、波頭に突き上げられながら波照間港に着いたとき、
「きょうはラッキーでした、こんなに静かな海はめずらしい」
ターミナルに出迎えたガイドさんが、まんざら冗談でもない口ぶりだった。
向こうで船長が、笑顔で親指を突きたてている。
なんの変哲もないコンクリートの防波堤(とはいえ他所より一段と高くは感じられる)が、親しげに頼もしく見え。
そのとき、ぼくの脳裡には〈島流し〉という気分がただよった。
しかし……それにしても明かるすぎる碧空、底抜けに明るい〈果て〉だった……
さっき西表島で遭ったスコールのあと、島の人は「梅雨が明けたかもな、これで」と言っていたけれど。
「まぁだ蒸してる、気温は同じようでもサ、この湿気がとれてカラッとならないと、やっぱ夏じゃなぃ」
ガイドさんの笑顔が灼けていた。
まず、なにはともあれ、すっかり遅くなった昼食をとりに、島の中心部へ。
この穀粒ひとつ浮かべたみたいな小島には一周道路があり、道筋に人家の集まっているところがセントラル・ハテルマ。
夜は酒場になるらしい食堂で、沖縄そばに、コボシメとも呼ぶモンゴウイカの刺身がついた。
透きとおった身の厚さが南の海をしのばせる。
腹ごなしに集落を歩く。
隆起珊瑚礁の島、赤い沖縄瓦の民家は、サンゴ礁を積んだ風よけの石垣に囲まれている。
波照間郵便局は、とうぜん「日本最南端」であり、ここで投函した郵便物にはそのスタンプが捺される。
狭い土の道に静々とあらわれたパトカー(もちろん島に一台)が、観光カメラに見送られる。
ハイビスカスは、もう、めずらしくもない。
パパイヤの実が、大きくなりかけていた。
月桃の花の季節もそろそろおわる。
小さな花弁が、なぜか180度にしかつかない「草ソベラ」が厚い葉で陽ざしをよけている。
集落を出外れると、一面のサトウキビ畑。
きょうは吹く風もおだやかに、「ざわわ」より「さらさら」流れて聞こえる。
波照間の主力産業は製糖。
この島のサトウキビ栽培には、他所より人手がかけられているぶん質がよく、管理もゆきとどく生産量、それで”沖縄一”の評判をえている。
ヤギがおとなしく草を食んでいる。
波照間のヤギの数は、野生化したものもくわえると軽く人口を上まわる、という。
そういえば、この島にはハブが棲息しないから、それで空気まで長閑なのだろうか。
農作業のトラクターと出逢った辻に、「コート盛」と呼ぶ石で築かれた塚があった。
むかしは、この塚の上で焚く狼煙が通信の役を担っていたそうな。
いい風がとおって、とろりと眠気をさそわれる……