-No.0976-
★2016年05月24日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 1902日
★ オリンピック東京まで → 1522日
◆〈若冲〉は了解できた
…と、ぼくは思っていました。
それまでは画集のなかでしかなかった伊藤若冲という絵師の、実作と邂逅できたのが。
これも《11.3.11》東日本大震災の大津波が縁で、巡礼の旅の途次の福島(市)で…でした。
福島県立美術館で2013年8月に開かれた展覧会のタイトルが。
『若冲が来てくれました』
ユニークにもどんぴしゃの、被災地を励ますメッセージになっていました。
そのときの感動をお伝えしたのが。
2013年09月30日記事、「来てくれました」逢ってきました-福島の美術館で若冲に-
d.hatena.ne.jp
このたび、旧稿を読みなおして、書きあらためるか追記することがあれば…と考えましたけれども、自分でいうのもなんですが、そのままをお見せする方がいいようでしたので。
さて、その伊藤若冲(1716~1800)なる江戸時代の絵師。
画業のすばらしさにかわりはない、にもかかわらず、現在の〈おぼつかない時代〉がスポットを浴びせたように、ここへきて俄かに人気炎上。
4月中旬から上野公園の東京都美術館で始まった、生誕300年記念『若冲展』に人々が殺到する騒ぎになりました。
ま…。
初期から晩年までの代表作80点を集結、なかでも目玉は『釈迦三尊像』3幅に、若冲珠玉ともいうべき『動植物綵絵』30幅、あわせて33幅を一挙公開という東京初の大回顧展のふれこみ、内容も流石ではありましたし。
NHKが得意の、文化財取材力を発揮し尽した映像紹介もみごと、というほかなかった。
それでも、ぼくは(いまようやく若冲に追い風…か)と、余裕の笑みでした、はじめのうちは。
ところが、5月24日までの会期が迫ってくると、落ち着かなくなりました。
やっぱり、もういちど観ておきたく…というより、若冲人気沸騰の熱気のまっただなかに身を置いてみたくなったわけです。
…で。
初夏の陽気がくずれ、つめたい雨になった5月16日の月曜日に、上野の山へ。
混雑状況など確かめもせずに……
だって、もういいだろう(熱もさめたろう)と思ったからです。
ところが、どっこい、とんでもない。
昼前に、傘から雨滴したたらせ、水溜りになった道を行ったそこには、なんと、動物園の門前を通り越してとぐろを巻いた長蛇の列。
ところどころに館員が、整理のプラカードを掲げており、その周りに事情を尋ねる人だかり。
そのやりとりするところを漏れ聞けば、(この長蛇の列はもう)朝からの人たちでいまは2~3時間待ちの状況、夕方の閉館近くなればなんとか入館できるでしょうが…ということらしい。
その言わんとするところは、
「ここは、おひきとりいただいたほうが、よろしいかと」
いうまでもない。
ぼくは、あきらめて帰ってきました。
こんどは、若冲のふるさと京都に、その本質を探りに行くつもり…です。