-No.0954-
★2016年05月02日(月曜日)
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◆助けがあっても、自分の足で歩ける
「手すりに頼らないで階段を上がれますか」という、体力自己診断の設問がある。
(ばかにしなさんな)いまはそう言えるが、足腰の不安は身に沁みる。
足腰の衰えから老化がすすみ、外出が億劫になり、立ち居が難しくなって、寝こむことが多くなってくれば、やがて寝たきり、人生おしまい。
エレベーターやエスカレーターに頼らず、階段を手すりに触れずに、上り下りを心がけるようになった。
ときに腰が重いことがあったりすると、へこたれた気分に脅かされる。
狭い島国ニッポン、国中いたるところ坂道みたいなものだけれど。
代表的な”坂の街(歴史的には…町)”といえば、長崎。
この街に、路の階段の上り下りを補助する「電動手すり」が登場。
近隣の高齢者たちから、好感度の高い評価を得ている、という。
人情を形にしたイイ話し、ひさしぶりだ。
電動手すりが設置されたのは、高さ約7m、傾斜角約21度の石段とか。
(距離は短いが、この坂けっこうキツイ)
階段脇から伸びる腕木のようなパイプを握ると…分速3.8mとやらがどの程度か測りかねるけれども…〈ゆっくり〉なのであろう動きだして、手を離せば停まってくれる。
買い物の手提げ袋を掛けて運び上げてもらうこともできる、親切設計がウレシイ。
20代の頃、汗を光らせ歩きまわったことが若さの証明になった長崎の坂道。
それが、70になった去年おとずれたときには、同じ坂道と思しきあたりに立って、(こんなにキツかったのか…)憮然として見上げたことを想いだす。
歳をとって足腰に自信がなくなり、平らなところへ引っ越した人が多い、という話しなど聞けば他人ごとではなかった。
それに……かといってイキナリ、いす式の電動昇降機に座ることにっちゃ情けない。
助けがあっても、自分の足で歩けるのはありがたい、人間らしさをたもてる。
電動手すりに助け上げられるカワイイ婆ちゃんなら、絵にもなりそうな。
これを手がけたのは、長崎大学と市内の移送機器メーカー、産学連携事業だそうな。
同じ産学連携といっても、兵器開発のように無粋でないところがステキだ。
いたるところ坂だらけの国土ではあっても、長崎に「電動手すり」はさすが。
長い歴史に耐えた”坂の街”の文化というべきだろう。
エレベーターのようなものだと、1機を設置するのに数千万円以上の費用がかかり、広いスペースもなければならないけれど。
「電動手すり」なら大工事にはならずに、およそ300万円ほどですむ、ステキだ。
長崎市では、これから「電動手すり」の設置をすすめていく方針という、イイ話しだ。
ほかの”坂のある街(町)”でも、歴史をのりこえて採用してほしいと願う。