-No.0914-
★2016年03月23日(水曜日)
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★ オリンピック東京まで → 1584日
◆3月9日、越前三国、雲厚し…
丹後半島・若狭湾沿いの〝鉄道僻地〟を、ほぼ1日がかりで抜けた日(昨日の記事)。
敦賀から北陸路に入って、休暇村越前三国に旅装をといたのは、冬の日の暮れかかる頃だった。
いま〈休暇村〉と呼ぶ宿泊多目的保養施設の、はじまりは1961(昭和36)年。
一般財団法人休暇村協会は、旧厚生省のきもいり。
国立公園や国定公園のすぐれた自然景観と環境、これまではかぎられた富裕層の高級リゾートとされたところに、だれもが親しめるリーズナブルな施設を、というふれこみだったのを、ぼくは発足の当初から知っている。
ただ、はじめは〈国民休暇村〉と称して、ややもすると堅くるしい運営ぶりが気づまりだったから、「”国民”をとったほうがいい」とアドバイスした覚えがある。
それが奏功したのか、どうかは知らないけれど。
いまではすっかり民営サービスも板について、バリアフリー設備の導入などでは他の手本にさえなっており。
”高級”か”安直”か、二極化がすすむ宿泊施設のなかで、ほどよい”上の中庸”レベルが気もちよく。
いまある全国37施設、旅程にかなえば心して利用するようになっていた。
休暇村越前三国を訪れるのは、4回目くらいになるだろうか。
奇勝東尋坊にほど近い日本海の、すっきりとした海景が気に入っており。
温泉の大きな湯舟に手足をのばすと、昨年末来の世渡り疲れが、きれいにほぐれてとけさるようだった。
ここでも、冬シーズンの”ウリ”は、もちろん越前ガニである。
皇室献上品質という最高級の「極〔きわみ〕」、ダブルタグの姿茹でが付くコースでいくと、1泊2食お一人さま税別40、940円(予約は2名単位)。
いちど味わっておきたい気もするが、いまだに果たせていない。
この日も、すでに蟹は前の晩、香住でたっぷり堪能した後でもあり……
一人が「若狭ふぐ」のコース、一人はスタンダードの「四季の三国膳」で、半々食べくらべ。
爺っちゃ婆っちゃには、これでも充分すぎるくらい。
ちなみに「若狭ふぐ」コースの品書き。
・前菜(ふぐ皮、煮こごり、など)
・ひれ酒(または吸い物)
・ふぐ刺し
・ふぐちり鍋
・ふぐ唐揚げ
・ふぐ茶碗蒸し
・ふぐ雑炊(鍋の仕上げ)
若狭のトラフグは北限の産地ということだったけれど、下関あたりのフグにくらべると涼やかな味わい、なかなかに佳く。
福井(永平寺町)の地酒「黒龍」の純米大吟醸、めったに味わえない銘醸酒との相性もまた佳し。
ただ、茶碗蒸しだけは三国膳の方の「福井ポークのあんかけ茶碗蒸し」に軍配が上がった。
翌朝。
ここのバイキングの朝食にも、ぼくらには愉しみがあって。
それは、土地のお母さんがその場で、手ずから握ってくれるホカホカのお握り。
リズミカルに腰を揺する姿に惚れ惚れさせらたものだった…が。
この日は、その姿が見られない。
「お休みなのかも…」
気になって尋ねたら、そのお母さんがここをヤメてからは、後継者がないらしい。
(これぞ休暇村ならではの親身なサービス)と讃えていたのに、惜しまれる。
ボクは復活をお願いして、チェックアウトしてきた。