-No.0896-
★2016年03月05日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1822日
★ オリンピック東京まで → 1602日
◆北極圏の王者が見せた哺乳類の特性
まだ〈三寒四温〉の余地をのこしながらも、ここ2~3日の陽ざしの温もりには、くすぐったいような春の香りがする。
伊豆の河津桜はもう見ごろだし。
そろそろ…。
冬の話し、雪や氷にまつわる話題は、オシマイにしておかないとアブナイ。
この冬。
北極圏の動物ドキュメントに、こんな一編があった。
ところはカナダ、ハドソン湾岸の町。
季節は秋。
人里離れた岬の外れで、そり犬の血統を守って飼育する男が、たまたま目撃した。
(男の話しに映像がかぶさる)
あきらかに空腹を抱え、飢えたと見られるホッキョクグマがあらわれ。
白い巨体を揺すって、鎖につながれた一匹のそり犬に近づいてきた。
ぼくは、(あっ)と声を呑んだ。
これは「殺られる」、ひとたまりもなく喰いちぎられると思った。
あきらかにクマは、犬を襲う気でいたのだ。
が…。
次の瞬間、場面は信じ難い展開を見せた。
この危機一髪の状況で、なんと犬が見せたのは、信じがたい〈じゃれる〉仕草。
すると、さらに信じがたいことには、クマの態度もコロッとかわって。
〈じゃれる〉犬と戯れ遊び、ダンスでもするように跳ねまわりはじめたのダ。
〈襲撃モード〉にあったスウィッチが〈社交モード〉に切り替わった。
「信じられない光景でした」
犬の飼い主が興奮気味に話す。
くわえて、その後日談。
このホッキョクグマは、冬になると氷原へもどっていったものの、夏になるとまた犬たちのところへ現われ、仲良く遊んだ、という。
動物心理学者によれば…。
珍しいけれども、けっして稀有なことでもない、そうな。
〈じゃれる〉という社交性は哺乳類に特有のもので、賢い動物ほどよく遊ぶ、と。
なんでも、クマがカササギと仲良しになった例もあるとか。
「生きものは隣人同士なかよく生きなければならない」
なんだかキナ臭いばかりの、いまの時世、人間たちに聞かせたい話し。
さよう、現代の寓話じゃね。