-No.0813-
★2015年12月13日(日曜日)
★《3.11》フクシマから → 1739日
★ オリンピック東京まで → 1685日
◆「のどぐろささ漬」美味魚との再会
それは富山の小料理酒場だった。
はじめてのノドグロ、包丁をつかいながら大将が「ほら、こんなんです」と見せてくれた片身、ホントに喉から腹にかけて漆をかけたように真っ黒だった。
「ね。ですから、腹黒いお客さんにはだせません、嫌味になるでしょ。まぁウチには、そんなお客さんおいでになりませんけど…」
大将の冗談噺にカウンター席が、おおいにわいたことだった。
この夜は、刺身で。のちに塩焼き、干物と、いただくチャンスがあったが、いずれも脂のノリよく味わい極上、なかでも干物の佳さはカサゴに匹敵、あるいはその上をいったかもしれない。
「ノドグロ」と、日本海沿岸では呼ぶけれど、魚体は赤い。
標準和名の「アカムツ(赤鯥)」からもわかるようにムツの仲間(スズキ目)で、「むつ」の語源は「むつっこい(脂こい)」だというから、脂こい魚にちがいない。
それでも「ノドグロ」の名が席巻したのは、漆黒のノドの強烈な印象によるのはマチガイない。
超高級魚。
だが、釣り人を別にすると、関東ではアマリ知られていなかった。
秋から冬にかけてが旬で、越前ガニの季節とかさなる。
ぼくのような魚っ喰いの都会人が、いたく気に入って喧伝、一気に全国区の魚にし、ついでに値もつりあげた、といってよかろう。
そのノドグロ、旬の季節に、また別の趣きで出逢った。
東京の大手鮮魚店の店先に、目ざとく見つけたのは、さすがボクだった。
魚がむこうから呼ぶのダ、「こっちだよぉ」って。
小さな杉の小桶に入って、奥の方にちんまりしていた。
「のどぐろささ漬」。
平仮名ばかりの商品名はけっして読みやすくはないのに、ぱっとノドグロが目にとびこんできた。
はじめてだった。
味わってみない手はない品。
買って帰って、舌に遊ばせたら。
「よせよ、やっぱり美味いじゃないか」
まるで、タイの味。
(えっ…)
◆「小鯛ささ漬」の弟分
小浜(福井県)に、「小鯛ささ漬」の名産があるのを、ご存じの方も多いだろう。
小鯛は、チダイの小型のもの。
体長10センチくらいの3枚におろしたのに、まず塩をふる。
小浜にはむかしから「四十物(あいもの)」といって、鮮魚と塩魚の中間の産物があった。一塩もの、である。
この一塩の鯛、甘酢に漬けたあと、笹の葉を添えて小さな杉桶に詰める。
(中身は90グラムほどのささやかなもの)
かたちは、そっくりそのままの「のどぐろささ漬」。
産地もおなじ、小浜。
つまり、「小鯛ささ漬」の弟分なのであった。
だから似ている…にしても、この味わいはどうだ。
刺身や塩焼き、干物では感じられなかったノドグロの新境地といっていい。
ぼくんちの正月、食卓には「小鯛ささ漬」が定番である。
この年越しにはこれに、新たに「のどぐろささ漬」が加わることにきまった。
といっても、ネットをあたってみたら、発売元ではすでに今年の出荷をおえていた。
みな首都圏や関西圏などの、店舗に買われてしまったものだろう。
賞味7日ほどの品である。
冷凍保存されたものが、正月用の店先に並ぶのを待つしかないか…。
この「のどぐろささ漬」、ご紹介しておこう、小浜物産「丸海」の品である。
のどぐろささ漬 90g|小鯛ささ漬の若狭小浜 丸海 | 若狭小浜の海産物のお取り寄せ