-No.0799-
★2015年11月29日(日曜日)
★《3.11》フクシマから → 1725日
★ オリンピック東京まで → 1699日
◆すべての元凶”植民地主義”という”差蔑”
フランスのパリで、多数の市民をまきこむ同時テロがあって。
今年早々にあった、諷刺週刊誌「シャルリエブド」襲撃事件が、”発端”にすぎなかったことを、世界は思い知らされました。
同時に、あのアメリカ・ニューヨーク同時多発テロのとき。
航空機と超高層ビルという大掛かりな舞台設定にくらべても、こんどの、ふだんの街中でのできごとには、腹の底から虫酸のわきあがる不気味さを覚えさせられました。
テロという行為が、理由はどうあっても許されがたいもの、ということをまずカクニンしたうえで、ひとつ、指摘しておきたいことがあります。
この事件で、妻(で一人息子の母でもあった女性)を喪った夫のジャーナリストが、facebookに寄せたメッセージが欧米社会を中心に広い共感を呼んでいる、という報道がありました。
その内容は、彼がひとりの人間として(またのこされた幼いわが子の父親として)、妻の命を奪ったテロリストたちに、しかし、あえて「きみたちに憎しみはあたえない」というものでした。
誇り高いヨーロッパ文明国フランスの、理知的な職業にたずさわる人物の、惨劇に遭遇させられた当事者としての立場からなしうる、おそらくもっとも抑制のとれて、みずからを見うしなうことのない対応であった、でしょう。
「テロリストたちの思惑にはけっしてのらない、憎しみの連鎖にもはまることなく、いつもどおりに生きていく」ということですから。
これほど崇高な精神はない…かも知れませんが。
同時に、それこそが、欧米先進文明圏以外の、発展途上圏や後進圏にある地域の人々を蔑〔さげす〕む心根になっていました。それは、つまり…
「きみたちはまだ気づかずにいる、知らずにいるんだからやむをえない、それを先に知っているわれわれが我慢するか、いまは許すしかないだろう」という態度、″上から目線”にほかならないからです。
なるほど欧米は”文明圏”にちがいないけれども、世界の”文化圏”は多種多様、そこには優劣もない。
にもかかわらず、文明圏の価値観でしかものを見ようとせずに、文明圏の価値観をおしつけようとしている…。
そこに気づかないかぎり、民族間の融和もありえない。
あたりまえ、ですよね。
ヨーロッパ民族が誇る”正義”の十字軍は、所詮、ほかの諸民族にとっては”侵略軍”でしかなかった。
それ以来、さまざまに形をかえながらつづいた”植民地主義”が、この世界を歪ませてきたのも事実なんですから。
さらにいえばニッポンも、その欧米(とくにアメリカにべったり)文明圏のいまは一郭を占めているんですから。
このように、さまざまな重い課題をかかえる事態は、そう簡単には解決しないかと思われますけれど。
文明国家圏のいちばんの反省点は”植民地主義”にあるといえます。
難民問題にしても、これだって形をかえた”人的植民地主義のあらわれ”といってもいい、のではないでしょうか。
また、日本という国家の、沖縄県に対する処遇のありかたを、目をそむけることなく正面から見すえるならば、これもまた”植民地主義”といわなければならないことは、すでに繰り返し指摘してきたとおりです。
11月16日、南極観測船「しらせ」が出航して行きました。
そういえば、この地球上でただひとつ、国家間紛争のない国際協調の舞台は南極だけ。
このことを肝に銘じて、かぎりある命を生きていきたい、ものです。
〈参考〉
①-No.0484-01月18日記事『あれは「諷刺」じゃなくて「差蔑』でしょ/フランスの諷刺週刊紙「シャルリエブド」』
http://blog.hatena.ne.jp/sashimi-fish1/draft-scat.hatenablog.com/edit?entry=8454420450079144514
②-No.0779-11月09日記事『イージス艦は南沙諸島、原子力空母は朝鮮半島へ留守/それでも…にぎやか多彩なYOKOSUKA軍港めぐり』
http://blog.hatena.ne.jp/sashimi-fish1/draft-scat.hatenablog.com/edit?entry=6653458415126748507