どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

『雪の轍』…太い糸で濃密に織りだされたストーリー/観る者を心理の葛藤にひきこむ196分

-No.0681-
★2015年08月03日(月曜日)
★《3.11》フクシマから → 1607日
    (高倉健没から →  266日
★オリンピック東京まで → 1817日

*文空座の俳優、加藤武さんが亡くなった。硬派の、いわゆる〈噛みごたえ〉のある役者さんであった。役者は体が資本といっていた言葉どおり、トレーニングジムで倒れたという、さすがの86歳というべきか。ご冥福を祈りたい*




カンヌ映画祭パルム・ドール大賞の

 大作映画を観た。
 前評判どおり、大いに草臥れさせられたけれど、あとの余韻はわるくなかった。
 けっして入りがいいとはいえない客席だったけれど、一人も途中で席を立つ者がなかった、監督の力量はさすが。

 トルコ、カッパドキアの冬、雪という、舞台設定からして秀逸。
 富める者と貧しき者、イスラム世界とそのほかの世界、男と女、愛と憎しみと赦しと、老いと若気と、エゴとプライドと…さまざまな人生の対峙をとおして描きだされ、うつろってゆく人生模様…というわけだ。
 雪に閉ざされた感情が抑えきれずに曝けだされる、たがいに自我をぶつけあう登場人物たちの葛藤のおかしさ。

 監督は、この映画で、ばかばかしくも憎みきれない、人間というものの滑稽な存在を笑ってほしかったようだが…。
 ぼくの笑いは苦かった、ほかの席からも笑いの伝播はなかった。
 シーン・シーンをつなぐのは、シューベルトピアノソナタ第20番…。

 解説によれば、監督はこの作品で賞獲りをねらった、という。
 なるほど、そうか。
 賞というものも、考えてみると、存外にねらわれやすい(傾向と対策のとれる)もの…かもしれなかった。
 …としても、ねらって獲れるんだから、たいしたものだが。

 『雪の轍〔わだち〕
 この邦題は、雪に隠されぬかるんだ轍の深さに、嵌りこんだら脱け出しがたい人生行路を、託したものか。
 少なくとも、英題の『Winter Sleep』より気がきいている。
 …と思うのは、ひょっとして、ぼくも泥濘の轍に嵌ったか。