-No.0456-
★2014年12月21日(日曜日)
★《3.11》フクシマから → 1382日
(高倉健没から → 41日)
★オリンピック東京まで → 2042日
◆沼津港から新種の干物が届いた
「銀目鯛」
エッと思われる方が多かろう。
ボクだって初耳だった。
先月末、富士山西麓から焼津への旅の帰途、ぼくは沼津港に立ち寄った(11月27・30日記事)。
それより少し前に、「光る味わい」の新しい干物魚が登場した、というのを聞いていたからだった。
しかも名前が、銀目鯛。
先輩の金目鯛とセットで、金と銀。
いいじゃないですか、「金さん銀さん」がご存命だったら、きっと長寿祝いに贈られたにちがいない。
もともとキンメダイ(金目鯛)というのが深海の魚。
底引網で漁獲されるギンメダイ(銀目鯛)も、別種ながらやはり深い海の底の方の魚。
(揃ってどちらも、名前だけの“ニセ鯛”ながら…)
鮮魚としては価値の低い魚だけれど、干せば旨くなるそうな。
もともと底深い駿河湾岸は、深海魚の開発でも先進だった。
また伊豆半島は、なんといっても全国〈干物〉産地のなかでも横綱格の地位にあり、もうずいぶん以前に、高級魚の鯛(マダイ)を干物に変身させた実績もある。
脂の、のり方がつよすぎるといわれる養殖ものの真鯛を、干物にすることで脂抜きに成功。いまや高級干物の定番になっている。
そんな静岡県、水産技術研究所(焼津市)と沼津市の水産加工会社が協力して開発した“新商品”が、銀目鯛の干物というわけだ。
美食ではないが“旨食”、刺身を筆頭になにしろ“魚好き”のぼくは、こういうニュースに出逢うのがなによりウレシイわけで…。
なにはともあれ、さっそくに訪れてみた港近くの橘水産http://www.t-suisan.com/。
しかし、ザンネンながら「脂がのってくる時期にはまだちょっと早い」とのこと、「じゃ、獲れたら送って」とお願いして、その日はキンメとホッケの干物を買って帰ったのだった。
家で炙って味わってみると、なるほど、どちらもイイ味に仕上がっていた。
干物といっても、ただ干せばいいというものではない。
魚の下ごしらえに使う水(ここでは富士山の湧水)や塩から、自然発酵の漬け醤油、自然農法のゴマにいたるまで、気づかいされてできている。
がぜん「銀目鯛」への期待がたかまる。
それから半月ほどして、送られてきた干物。
荷をほどくと、なるほど銀白色に光る皮目がよく、キンメと並べると配色もきわだって見えた。
ただし身は小ぶりで、宿の朝食にでてくるアジの干物くらい。もう少し大きければ、なおいい。
たしかに脂がのっていて、そう…風味は“えぼ鯛”の干物に似ている。
脂にあるクセが、火に炙ることで独特の風味にかわる。
同梱の説明書には、①塩焼、②バター焼、③照り焼と3種の調理法が紹介されており、すべて試してみたところ、みなそれぞれに良かったが、味わいでは「照り焼」が最上。
課題は鱗の処置で、細かくて硬いウロコが舌にまつわりついて、味わいをさまたげる。
その鱗が、魚体の銀白色を美しく魅せてもいるわけで、むずかしいところだろうけれど、これを解決してもらえれば…。
「金銀コンビ」の見栄えもよく、味わいでも見劣りのしない品になるだろう。
2020年のオリンピックに向けての、愉しみにもなる。