-No.0417-
★2014年11月12日(水曜日)
★《3.11》フクシマから → 1343日
(高倉健没から → 2日)
★オリンピック東京まで → 2081日
◆「焼きリンゴ」は「紅玉」にかぎる
信州、志賀高原からリンゴが送られてきた。
野生のお猿さん専用露天風呂で知られる地獄谷温泉の一軒宿、後楽館の大女将から、
「産直市場で見つけましたョ、焼きりんごにしてみてネ」
とのメッセージ付き。
ありがたい、うれしい。
志賀高原の麓、信州中野のあたりはリンゴの一大産地だから、前に、なにかの折りにボクが「焼きりんご」の話をしたのだろう、それを忘れずにいてくださった。
段ボールの箱に「紅玉〔こうぎょく〕」が、真っ紅なほっぺをほころばせて並んでいた。
かわゆい。
「私はまっかなリンゴです、お国は寒い北の国」ではじまる童謡『リンゴのひとりごと』のリンゴ。「赤いリンゴにくちびる寄せて」「リンゴ可愛いや、可愛やリンゴ」…『リンゴの唄』のリンゴ。三橋美智也『リンゴ村から』のリンゴも、美空ひばり『リンゴ追分』のリンゴも、み~んな、ぼくにはすべて「紅玉」リンゴなのである。
「紅玉」は鮮やかな紅色の小ぶりのリンゴで、酸味が強いけれど(そこがまたよくて)、果汁には瑞々しい芳香があり、なんともいえない爽やかな風味。
原産はアメリカ。かつては「国光〔こっこう〕」と並び称されるリンゴの主要品種だったが、1970年頃から次々に登場する新品種、「むつ」「ふじ」「デリシャス」など、甘い果肉の蜜入りリンゴたちに主役の座をうばわれ、生産量は減少の一途。
だけどさぁ……。
カプッと丸ごとかぶりつく生の活きの好さもさることながら、ジャムやジュース、アップルパイなどの加工品にも絶妙の味わいをみせ、ことにも「焼きリンゴ」はゼッタイ「紅玉」にかぎるのダ。
専門家のお話しだと、ペクチンや酸の多いことでゼリー化力に優れるからだという。
「焼きリンゴ」はいまも人気のスウィーツらしく、レシピもあれこれ数多いようだが、せっかくの材料指南に「リンゴは紅玉」の画竜点睛が欠けている。
さらに付け加えれば、芯を刳り抜いただけの丸ごと「焼きリンゴ」にかぎるのダ。
戦後すぐの乏しい食糧事情のなか、苦心して母がこしらえてくれた「焼きリンゴ」の甘い香ばしさをボクは忘れない。
材料でも道具でもなんでも有りの、いまとはまるで勝手がちがう。
そんな深い想い出が支えるボクの「紅玉」支援だ、半端なわけがない。
リンゴ園を訪れる機会があればかならず、「紅玉、作ってくださいね」とお願いしている。
このたび、ありがたく頂戴した「紅玉」も、もちろん「焼きリンゴ」。
大女将直伝のレシピで、かみさんがレンジで焼きあげてくれた。
*写真は、携帯フォトのため再現力不足ながら…「紅玉の焼きリンゴ」デス*