-No.0414-
★2014年11月08日(日曜日)
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◆「もんじゅ」に「智恵」なし、生体反応もない
今年の春4月末、3段20行たらずの新聞記事。
『もんじゅ推進「自信ない」』
というタイトルに、ぼくは思わず笑ってしまい。
それから一瞬後には、「奴阿呆」と吐き捨てていた。
この「奴阿呆」、感情を正確に翻訳すれば「怒阿呆」であり、正直な音声表現に直せば「ダァホ!」となる。
一般には(ひょっとすると地元福井県や敦賀市の人たちにだって)ほとんど忘れられている存在の、高速増殖原型炉「もんじゅ」。
(…と、これだけでも60字近い文字の無駄遣い)
これを運営する日本原子力研究開発機構が、みずからの全職員を対象(もんじゅ現場で働く人を除く)にした〈意識調査〉の結果、「もんじゅプロジェクトを今より進める自信がない」と考えた人が多数を占めることがわかった、という。
つまり、もし配属されても成果をあげる自信はない、ということ。
なんで、そんな調査を、いまさら、しなければならなかったのか。
それは…恥ずかしながら、1994年の初臨界以来ナトリウム漏れなどのトラブルつづき、不祥事だらけで、稼働実績ほとんどなし、の前科による。
これまでの経緯から引っ込みがつかないまま懸命に延命策を図る政府、および原子力規制委員会からの組織改革勧告を受けたから。
その一環として…だから、ほんとは嫌々であったろう。
そもそもが、こういう特殊専門性の強い分野ほど、鼻もちならないエリート臭ふんぷん、「あんたなんかに分かりっこないから、分からなくていい」式なので、人を見くびるにもほど(限度)がある…なんて考えてみたこともなかったに違いない。
結果(そうか、やっぱり)というところか。
仕方なく機構としては、「直接の担当者に自信がないわけではないけれども、職員全員で支えようという意識は残念ながら低い」とコメント。
ダメですね、こりゃぜんぜん。
〈失敗〉とか、〈不注意〉とか以前の、〈基礎がない〉デタラメ問題である。
骨もなければ、血管もない、神経もない、消化器どころか呼吸器さえもない…みたいな、「もんじゅ」じゃなくて「なんじゃもんじゃ」じゃ。
ぼくは、先行した新型転換炉「ふげん」(1978年春運転開始、2003年春運転終了・現在は廃炉手続中)と、この「もんじゅ」(1991年春運転開始)と揃えて「夢の原子炉」と持ち上げられたときから、「仏法を踏み躙る無知蒙昧」と述べてきた。
いうまでもない、と思うが。
「文殊・普賢」は、釈迦如来の両脇侍をつとめる諸菩薩の上首、いわばトップだ。
「文殊」は「智恵」の菩薩で、獅子に乗る左脇侍。
「普賢」は「慈悲」の菩薩で、白象に乗る右脇侍。
そんな至高の仏さまの名を、こともあろうに、人間の飽くなき欲望の権化にいただいてしまおうなんぞは、まさに「天に唾する愚者のふるまい」と知るべし。
現実の、その後の動きが、イヤでもそれを実証している。
8月末。経済産業省は、2015年度予算の概算要求で、「もんじゅ」関連の研究委託費を増額。
昨年春、大規模な点検漏れの発覚があって、原子力規制委員会から運転再開禁止を命じられた原子炉に対してダ。
ついでに言えば、「原発への依存度を可能な限り引き下げていく」とした、政府のエネルギー基本計画に反してまでもダ。
9月。その「問題を問題と認識していないのは関係機関トップだけ」といわれる原子力機構「もんじゅ」に、またまた保安規定違反の事実が発覚。
冷却材漏れを監視するカメラの3分の1が壊れているのを放置、これらの配置を確認する図面もなかったというのダ。
これなどは初歩中の初歩ミスというより怠慢で、他の原発施設では「放置はありえない」断言ものなのダ。
これを受けて機構は、9月末を目指していた「もんじゅ集中改革期間」を急遽延期、来年3月までにしたと…もう、てんでグジャグジャ。
実際には、政府も、規制庁も、このテイタラクには苦り切っていることだろう。
「ダメ」とわかったら、サッとひきあげて、出直す。
天に唾のダァホ「もんじゅ」には、もう、それしか道はない。