-No.0407-
★2014年11月02日(日曜日)
★《3.11》フクシマから → 1333日
★オリンピック東京まで → 2091日
はじめに、だれかが、ポロン…と〈想い醸す〉ふうに弦をはじいた。
楽器はちょうど、天使がもつような小さな竪琴(ハープ)だったような。
印象ふかい、みじかい曲だった。
すぐに、ほかの誰かの、ハッと目覚めた声がした。
「くりかえして、さぁ、お願いよ、誰でも…つづけてちょうだい」
また別の誰かが、その曲にならった。
あとを追う楽の音が、つぎつぎにおこった。
その音色には、やがて笛がまじり。
太鼓がまじり。
スキャットもくわわった。
気がついて見ると、最初にポロン…と鳴ったところは、谷とも呼べないほどに大地がひっかかれた程度の、ひとつの水源とおぼしきあたり。
雷鳥の水飲み場とでもいう感じの、ささやかな石ころのテラスになっていた。
密やかな楽音はそこから。
一方は、リズミカルに自在に強弱をとりまぜて、吹きあげる風にのって尾根を越えて行った。
もう一方は、底の小砂利や水辺の草っ葉を軽く弾く、細い流れになって里山をめぐり、野っ原へと下りていった。
☆ ☆ ☆
それは、『ビルマの竪琴』を観た夜、ぼくの枕辺に訪れた……。