-No.0391-
★2014年10月17日(金曜日)
★《3.11》フクシマから → 1317日
★オリンピック東京まで → 2107日
*政治に関する定期的なアンケートで、とても気になることがある。たとえば、政権をになう首相を「支持するか」「しないか」の設問に続いて、「指示する理由」というのがでてくる。その筆頭にでてくる選択項目が「ほかよりもよさそう」だからというのだ。オカシイと思いませんか。「ほか」って誰なの。比較する相手もはっきりしない「ほか」であれば、漠然とした印象のよしあしで、「嫌いじゃない」だけ、みたいなもんでしょう。人気みたいにアヤフヤで、評価ともいえない。はっきりいえば「どちらともいえない」のと大して違わない。一国の首相を評価するアンケートには、まったくふさわしくない選択肢。「その程度の首相」だというのなら、本人に対してたいへん失礼なことだし、アンケートされる側にとっても「人をバカにするにもほどがある」、蹴飛ばしてやりたくなるような選択肢ではないだろうか。どうでしょう、ちがいますかネ…*
◆三陸の被災地沿岸を離れた
釜石から花巻までの長い距離、遠野を走りすごしながら。
沿岸部の将来、“地方消滅”が現実味をおびてくるなかで、いくつの町村が復興をなしとげ生きのこることができるのか…を想う。
沿岸部と内陸部をつなぐ位置にある遠野市は、政府が構想する「地方中枢拠点都市」としての役を果たしていけるのだろうか…。
東北道に入ってアクセルを踏み込み、不安な想念を振り払う。
空が、陽が、雲が、緑が、田畑の風景が、秋が間近なことを知らせていた。
黒石インターを出て、田舎館村へ、「田んぼアート」へ。
はじめて訪れたときの、大笑いシーンを想いだす。
道に迷って、助手席から土地人に尋ねてもらった。それが…。
「田んぼあと、どこですか」と、かみさん。
(後でたしかめたら彼女、〈田んぼアート〉を〈田んぼ跡〉かと思ったのだという)
聞かれた方は一瞬ハテという顔をされたが、すぐに「あぁ、田んぼアートね」と心得て破顔一笑、親切に村自慢の展示場所を教えてくれたのだった。
この日は9月7日、日曜日。
田舎館村役場の、城型の展望台には見物客があふれていた。
たしか去年の夏も日曜日にあたって、エレベーター待ちの列に並んだ覚えがある。
たいした盛況ぶり、いまではすっかり津軽の風物詩になっていた。
今年で記念の20回目になる「田んぼアート」。
ぼくらは《3.11》の翌年、2012年の田植後からここを訪れるようになった。
被災地の傷痕、まだまだ生々しくのこる沿岸部から逃れて、正直、ひと息つけるところがほしくかったのである。
梅雨時の水田は、「田んぼアート」のデッサンをおえたばかり。ハイテク技術、駆使して計算された絵柄を表現すべく、瑞々しい稲の苗が見せる素描の線描きに圧倒された。
展望台に立つと、絵の仕上がりが思い描ける。
「田んぼアート」に使われる稲は、全部で9種類9色。
遠近法を用いて、展望台から観たときにちょうどいい構図になる絵柄は、真上からではサマにならないという。
稲の穂が出そろう夏に再訪して、その精緻な表現力に脱帽した。
その年の絵柄が、「悲母観音と不動明王」。
ほかに、道の駅「弥生の里」展望所にも第2アートが見られて、こちらは「七福神」。
翌2013年は、第1アートが「花魁〔おいらん〕とハリウッドスター」、第2アートが「ウルトラマン」。
そうして今年2014年が、第1アート「羽衣伝説と富士山」、第2アート「サザエさん」。
ただ、ボクには今年の絵柄がいまひとつ(くすんだような)印象で、観客整理の係の人に尋ねると「時期が少し遅いので…もうじき稲刈りですから」とのこと。
なるほど、なっとく、秋の空。
“米づくりの里”をアピールしようと、「稲作体験ツアー」から始まったこのイベント、全国的にもしっかり定着してからは、毎年10万~20万人もの見物客を集めるにいたって、ほかの稲作地にも影響をあたえ、しかし卓越した技量で他の追従をゆるさない。
しかし……。
これだけのインパクトのある動きが見られる田舎館村も、若年女性人口変化率は、-(減少)55.5%、このままいくと2040年の総人口が5000人余りにまで減ると予測され、「消滅可能性が高い」とされているのダ。
傍目には、これだけ頑張っていてのこの数値、驚くばかり。
ただ、「地方中枢拠点都市圏」構想からすれば弘前市が核となろう。
津軽野の他の市町村とともに工夫をこらせば、好結果をもたらせる素地はあると思える。
たとえばの話し、被災沿岸各地とは条件が段違い、ではなかろうか…。
*写真=上段、(上)は道の駅「弥生の里」展望所から眺める岩木山と弘南鉄道のある風景、(中)は2014年第1アートの「羽衣伝説と富士山」そして咲きのこりのアサガオ、(下左)は第2アートの「サザエさん」、(下右)は弘南鉄道の「田んぼアート駅」の乗降客たち*
*写真=下段、(上)は2012年の第1アート「悲母観音と不動明王」左端は6月素描の頃の風景、(下)は2013年第1アートの「花魁とハリウッドスター」*