-No.0376-
★2014年10月02日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 1302日
★オリンピック東京まで → 2122日
◆「ない」ものアレコレ…でも、さっぱり気もちいい
まず、部屋に入ってスリッパがなかった。
靴を脱いだら、室内は靴下(もしくは裸足)で歩く。バリアフリーで靴脱ぎの段差がないぶん、ちょっと戸惑う。
ボクは、かさねた年輪にさらに輪をかけて、相当に旅慣れているつもりだったが、それでも。
こういう宿は初めて。
興を覚えて、ひととおり備品をチェックしてみたところ。
〈ないもの〉
歯ブラシ・セット、カミソリ、寝間着、湯沸かし
*部屋に飲食用の熱源はない、かわりにラウンジに電子レンジの用意がある。
〈常備品〉
タオル、シャンプー&リンス、ヘア・ドライヤー、テレビ、小型冷蔵庫、エアコン、ネット接続
*テーブル、鏡、置き台もあって、部屋の使い勝手はよい。
つまり「アミューズメントは省かせていただきました、ご自身の車にご用意を」ということ。
それで…べつに不都合もなく、最初はあった軽い失望感が、持ち込みの夕食をとり、翌朝を迎える頃には、気軽なやすらぎ感になっていた。
朝食には、ラウンジにコーヒーなどの飲み物と、パンの軽食が供される。
その日の宿泊客は、気ままな旅人ふうと、ビジネス・工事関係が半々といったところか。
ファミリー・ロッジ「旅籠屋」。
仙台亘理店は、阿武隈川の河口に近い国道6号沿い。
交通の便、申し分なく、めいっぱい旅人の自由が確保されている。
このチェーン・ホテルのコンセプトは…。
MOTアメリカのMOTELを手本に、マイカー旅行者が気軽に利用できる宿。日本で初めての素泊まりミニホテル、と自己紹介している。
近い形態というなら、ビジネスホテルだろうが、たとえば大手の「ルート・イン」などにしても、わが国のそれはあまりにコンパクトすぎて、身も心も縮むようではないか。
そのてん「旅籠屋」にはゆとりがある。
ぼくらがこんど利用させてもらったのは、バス・トイレを含め25平方メートルほどの広さの部屋に、大きめ(幅150センチ)のベッドが二つ。
部屋代は室料制になっていて、レギュラーシーズンで1室1万500円(1人なら5350円)、利用人数によって料金がかわる。
ちなみに、支払いはチェックイン時に現金、クレジットカードは使えない。
「いい」と思う、ボクは☆☆☆を付ける。
こういう宿が、これからのニッポンには、もっともっとあってほしい。
2020年のオリンピックイヤーに向けての気の利いた「おもてなし」にも、ぜひダ。
これまでのボクは、ずっと主に日本旅館を贔屓にする道を歩んで、励ましつづけてきた。
その後、車での旅が多くなるにつれて、布団よりベッド派になり。
いまは旅の自由度の高さから、1泊朝食付きのホテル・タイプか、さもなければ思いきってキャンプ派である。
こまかい〈宿泊論〉は、また別の機会にゆずるとして。
こういう旅人の自由度を確保するタイプの宿が、もっともっとあってほしい。
日本の宿は「旅がまだ珍しい時代のまま」に留まってしまっている。
贅沢と限定で売る特別気分の宿や、中途半端なサービスを〈もてなし〉とこころえている多々宿泊施設も含めて、ニッポンの宿はこれから、もっともっと二極化すべきだと思う。
どういう層の、どういった人々を、自分の宿は主な客筋にしたいのか、で。
とくにも、たせつにされたいのが旅人の自由度。
これがニッポンの宿には決定的にたりない。