-No.0221-
★2014年04月30日(水曜日)
★《3.11》フクシマから → 1147日
★オリンピック東京まで → 2277日
「放射線像」展を観た(昨日29日の記事)同じ日のことだった……。
◆整理しすぎない自然な「いのち」の循環
目黒(港区白金台)の自然教育園。
園内を歩みはじめたときは、(荒れかけた)とはいわないまでも、(手入れのゆきとどかない)感じがした。草は伸び放題のようだし、樹木は幹や枝が折れたままに放置されていた。
近ごろの整然と美しく造られた植物園を見なれた目には、ほとんど(放ったらかし)のようにも見え、(人手がたりない)のは確かなようでもあったけれど、案内標示や掲示板はしっかりしている。
そうか(自然には手を入れすぎないこと)か…と気がついた。
実際、乱雑なようでも、仄暗い木陰などには自然の底力を秘めつつ、緑の森の散策は気もちがよかった。
下草の葎から大木の高い枝先まで、「いのち」の循環が、生態系の成り立ちが、実感された。
国立科学博物館付属の自然教育園は、中世豪族の館跡に始まる江戸の里山を保存、武蔵野の四季の自然を観察できる都会のオアシスは天然記念物、史跡でもある。
棕櫚という植物がある。温暖な気候を好む強健なこのヤシ科植物が、地球温暖化のせいか近ごろ急速に勢力を増しており、自然教育園でも生態系維持のため伐採・整理しなければならなかったほどだ…ということも、園路の解説掲示で知った。
ラン科のエビネも繁殖が盛ん、都会地で近ごろ元気がいいらしい。
いまの時季はヤマブキソウ、チョウジソウなど、四季折々の草花もよく、イチリンソウもニリンソウも可憐な花をつけていた。
(帰宅したらその夜のニュースに、皇居でフキアゲニリンソウという新種が発見されたとのことだった…大都会にも自然の営みが絶えることはない)
けれでも、この自然教育園でなんといっても存在感きわだつのは樹木群。なかでも松の大木のみごとさは、枝ぶり、竜を想わせる樹幹の肌あい、ともに特筆に値する。
路傍にたくさん散らかっていた種子が木漏れ日に光るのを拾い、後で研究員の方に尋ねると「ケンポナシですね」と教えてくださる。サスガ。
図鑑を見せてもらうと、秋に果実と共に根元の枝が梨のように甘く熟し、「二日酔いに効く」という。オモシロそうだから持ち帰って、鉢に植えてみることにした。
売店にも“種のおみやげ”。
風に舞って旅をする種子があることを、知ってはいても目にするチャンスは少ない。
ならば模型を飛ばして生態を学んでもらおう…と研究員が考案、試作をかさねた「種の模型キット」に人気があるそうな。ロケットラワンやニワウルシなど4種類の飛び方が楽しめていい。
実物の種もあって、なかでもグライダー発想のもとになったといわれる“フライング・シード”、アルソミトラ・マクロカルパには、大人も興味をそそられる。
*写真、(上左)は竜の鱗肌を想わせる「物語の松」、(上中)は都会地で元気に殖えるエビネ、(上右)は陽に透けて美しいイロハカエデの新緑、(下左)は和みの水生植物園、(下右)は鮮やかに咲くヤマブキソウ*