-No.0183-
★2014年03月23日(日曜日)
★《3.11》フクシマから → 1109日
★オリンピック東京まで → 2315日
◆春分の日の21日は春彼岸の中日
三越の地下鉄口には、桜色の暖簾が揺れていた。
「寒さ暑さも彼岸まで」とはよくいったもので、つよい風がまだ冷たい日。
地下鉄の三越前駅に降りた、きょうの目的は老舗デパートではなく、いまどきトレンドの再開発商業ビルである。
三越のすぐ向かいに、その入口があった。
きのう開店したばかりの、まだソワソワした気分がただよっていた。
◆入ったのは「COREDO室町3」
各フロアには、きどった陳列の店々がコンパクトにレイアウトされて、日本ふうの広くはない空間を、けっして狭くは見せないくふうが随所に見られる。
(ケチに見られたらオシマイよ)というわけか、商品もみな意識的に高価な設定になっている。
六本木界隈はじめ各所に流行りの都市空間表現は、まぁ似ているというかソックリというか…こんな世界ばかり飛び歩いていたら、そのうちにきっと、おめあての店がどこにあったかワカラなくなりそうだ。
けれども、否応なしに(これからの街はこうなっていくのだろう)予感に充ちている。
いったん表に出てみると、通りの造りも(どこかで見たような…)。
(街の再開発というのは、こういうものデス)と、お手本どおりの感がある。
植えられたばかりの桜の若木が、懸命に花をつけながら吹く風にふるえていた。
「日本橋に人気と活気をとりもどそう」と、再開発を手がけたのは大手の三井不動産など。
地下鉄日本橋駅そば、東急百貨店跡地に2004年オープンの「COREDO日本橋」から始まった再開発の、いよいよ中番というところか。
今後には、2020東京オリンピック開催を見すえて、日本橋本町や八重洲地区への再開発進展が予定されている、という。
斜向かいには「COREDO室町2」。
こちらには飲食店が多く、昼時のせいもあって行列の賑わい。
しかし……。
オープン早々の祝賀ムード、休日のせいもあってヤハリというか、来客の顔ぶれをつぶさに見ると高齢者層が目立つ。若い人も、幼児連れのカップルもいるのだが、とりあえずは、多くがウィンドーショッピングを楽しむ風情。さっそく買物に熱心なのは年寄りたちの方だった。
なんだか、これから将来にかけての〈街の縮図〉を見るようでもある。
この新規オープン2店舗に加えて、先行の「COREDO室町」「日本橋三井タワー」もリニューアル・オープン、老舗の三越もまじえて、まずはめでたく春爛漫として。
真価のほどは、もう少し落ち着いて、働きざかりの都会人たちにどう評価されていくかに、かかっているのではないか。
◆神さまだって再開発の波にのる
「COREDO室町2」の裏手に、いかにも“間借り”ふうの遠慮がちな社があった。
福徳神社。
(……そうか、思い出したゾ……たしか、お稲荷さんだったと思ったがな……)
いまのボクは在の方に引っ込んではいるが、これでも先々代の頃はさ。
「江戸っ子だってねぇ」
「日本橋の生まれょ」
魚河岸の方でとれたんだぜ、ピチッとな。
「福徳さん」は、たしか平安時代からあったとかいう由緒つき。
江戸時代。二代将軍・徳川秀忠が参詣の折には、椚〔くぬぎ〕材の鳥居から若芽が吹いて「縁起がいい」というわけで「芽吹稲荷」の別名をもらっている。
その後は繁盛な土地にあった迷惑料で、あちこち移り住むことになりながら「商売繁盛」のご利益を頒けてきた。
それが巡り巡ってこのたび、街の再開発をご縁に復活再生。すぐ向かいの地に社殿を造営、かつてあった鎮守の森も、この秋には復活の運びという。
地下空間が防災備蓄倉庫になる…なんてのも気が利いて、イイじゃねぇか。
こぢんまり今風の社殿に手を合わせ、脇の社務所でお守りをいただく。
「芽吹き守」と、《3.11》巡礼旅の無事を願って「旅守」。
「旅守」は、いうまでもない。
♬お江戸日本橋、七つ発ち…
の心意気か洒落であろう。
*写真、(上)は日本橋三越の地下入口の春暖簾、(中上3枚)は「COREDO室町3」内の店舗、(中下・左)は「COREDO室町2」入口、(中下・右)は「COREDO室町2」店内壁装、(下)は「福徳神社」と御守。