-No.0138-
★2014年02月06日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 1064日
★オリンピック東京まで → 2360日
兵庫県豊岡市、城崎温泉に近い竹野海岸。
いまの時期、松葉ガニ賑わい一色のはずの浜に、“幻の深海魚”騒ぎだという。
漂着したのはリュウグウノツカイ。
蛇のように細長い魚体は4.2メートル、頭の近くから赤い背鰭がこれまた長く伸びる。
「地震の前触れ」とも噂される漂着の話題は時折あって、「あぁそういえば…」と想いだす方も少なくないだろう。
ただし、これまではほとんどが死魚、腐れかかった状態だったのが…。
こんどは生きたままのを、地元の小学生が見つけた。
さらに、ふつうなら、しかるべき研究機関に引き取られるところが…。
さいわいに引き取り手なく、味見のチャンスが与えられた。
そこで、味噌汁などにして食べてみたところ。
「臭みもクセもなく、食感は鶏の卵白のよう」
「心臓のバターしょう油炒めいちばんの美味」
「肝も“カニみそ”みたいだった」
という。
調理した人がそれを、写真に感想も添えてツイッター投稿したところ、反響がすごくて1万リツイートを超えたそうだ。
なるほどネ……と感じながらボクは同時に……。
海や海辺が景が、まるで大潮どきの汐が引くように遠退いていくのを感じた。
魚食そのものはなんとか維持されつつも、“ふるさと”の海は日本人の心から遠ざかっていくばかり。
《3.11》の大津波が多くの人を畏怖させ、海に背をむけさせた。
追い打ちをかけた“フクシマ”の原発事故惨事が、その目に見えない汚染への嫌悪感から、知らず知らずのうちに人々の心象風景から海を遠ざけた。
国の中央政府や、地方でも中央都市の、日ごろ海を身近に感じていない人(役人)たちの机上の知恵が、復興計画から“海”を、さらにさらに遠くしようとしている。
(まずいな)と、ずっとボクは思っているのだ、けれど…。
この盆暗アタマからは、うまい方策が見い出せない。
ふと気づくと、そういうボク自体がじつはいま、“海”から一歩も二歩も身を引いていはしないか、心配になってきた。
それはこの冬の寒さゆえ…ならばいい。
この春の《3.11》巡礼では、もう一度“ふるさとの海”に還ってみようと思う。