-No.0133-
★2014年02月01日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1059日
★オリンピック東京まで → 2365日
この写真は「靴の整理棚」。
ぼくが講師をしているカルチャースクール「よみうりカルチャー荻窪」http://www.ync.ne.jp/ogikubo/の「木工教室」に参加くださっている方(女性)の作品。ご主人へのクリスマス・プレゼントです。
3回くらいかけて、去年12月教室で完成。今年はじめての1月教室で実用例を報告してくださった写真(ご本人の携帯フォト)です。
じつは…こういう写真がなかなか、ぼくには撮れません。
製作中は指導に忙しいし、完成すればウレシイ作品はすぐお持ち帰り。「じぶんが欲しいもの、じぶんだけのもの」を作ろうという教室ですから、実用品ですから、作者のプライバシーもありますから…講師に許されるのは完成までの付き合いでしかないのデス。
いい…でしょ。
木のぬくもり、手作りのぬくもり。
現実は「カルチャー教室なんか流行らない」近ごろ、なかでも木工みたいな天然系・手間暇系はぜんぜんマイナー。
ぼくは『ピノッキオ』のジュゼッペ爺さんみたいなもんですけどネ。
◆一枚の木の板っきれがエスカレーター事故の犯人
…なんてことが、アルんですねぇ。
ぼくは知る由もなかったんですが…。
去年の4月、JR秋葉原駅のエスカレーターで、手すりに手を挟まれた男女9人が負傷、うち5人は骨折などの重傷。
その原因は一枚の木材。長さ90センチ、幅25センチ(厚さは記事になかった…記者には木材がいまいちわかっていなかったようだ)。
これを手にしていた人の、木材の両端がなにかのはずみで、エスカレーターのステップと手すり下のレールに挟まり、レールが長さ約50センチにわたって捲れ上がった、という。
どうもこのあたり、記事の詳細がのみこめないけれど…。
結果、後ろに乗っていた老若男女が手を巻き込まれ、9人が負傷、うち5人が重傷。
…というのに、この事故の結末が、一面とても今っぽい。
まず木材を持っていた張本人が、事故原因が自分にあったとはまるで気づかなかったばかりか、怪我をした被害者たちからも処罰を求める声がなかったことから、この件は書類送検のみの不起訴になったというのだ。
ぼくは、ポッカーンだ。
なぜか…木という素材の性質がまるで知られていない。
木は“つよい”。とくにタテ方向の強さは強靭だから、あたり方しだいではエスカレーターの手すり構造ぐらい容易に破壊・変形できるのだ。
それを知らないから、こういう事故がおき、こういう信じられない顛末を招いた。
こんどの事故にしても、原因の材がプラスチック板だったら、違った展開、結果になっていただろうと思われる。
日本はすでに“木の国”ではなかった。
木という素材は、腐食に弱いとされ、たしかになんの配慮もなく放置されれば朽ち果てるけれども、工夫と手入れ次第では法隆寺などの古建築でもあきらかなように、1000年の時にも耐える。
いっぽう、土木・建築近代化を象徴するコンクリート材はどうか。
その強固さは半永久的とさえ思われてきたのが、そのじつ耐用は50年ほどで、高度成長期に生み出されたダムなど数多の構築物がいま崩壊の危機を迎えている、というのに。
ぼくはいま、ズキンと鋭い痛みを胸におぼえつつ。
ともあれまずは、みずから木工教室に運び込む木材で事故をひきおこすことのないように、気をつけなければならない立場にあるのだった…。