どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

 鮭帰願祭と“ひょうたん島”の灯  −サンガ岩手・手作り工房大槌のこと…など− 







*以下は2012年12月30日東京新聞「あけくれ」に掲載された投稿記事です*


    帰願祭

   あいにくの冷たい雨降りになった岩
  手県大槌町。今月中旬に開かれた復興
  を祈る「大槌鮭祈願祭」を訪れた。
   前日には大槌町の女性たちが作った
  手芸品の販売など被災地支援を続ける
  サンガ岩手の代表吉田律子さんを工房
  に訪ねた。その後、夕闇の浜へ「ひょ
  っこりひょうたん島」のモデルとされ
  る蓬莱島の灯台を見に行った。3・11
  から一年九ヶ月ぶりの点灯。太陽と砂
  時計のイメージで再建された灯台は先
  代より大きくなったが、その灯は復興
  への険しい現実と同様に心細かった。 
   いまだ復旧工事中の寒風吹きすさぶ
  岸壁でカメラを構える女性と出会った。
  写真集「がんばっぺし大槌」の撮影者、
  伊藤陽子さんだった。伊藤さんは白い
  息とともに声を投げてきた。
  「あのときのまま…(まだ)何もかわ
  ってません」
   氷雨の帰願祭は、子どもたちのサケ
  つかみどりに沸き、振る舞われたサケ
  汁の湯気と楽の音に、つかの間、時を
  忘れかけていた…。



《付記》


 大槌町の“大槌鮭帰願祭”は12月15日(土)。
 自民党が圧勝して政権復帰をはたすことになった、衆議院議員選挙の投票日前日のことだった。
 〈鮭つかみどり〉の、子どもたちには素早く泳ぎまわるサケを追いまわすのがやっとで、大人の助っ人がなければ掴み上げられなかったろう。それでも子らのはしゃぎ声は、高齢者の多い観衆にうれしいものだった。
 大槌北小跡の福幸商店街広場。冷たい雨のなかでは、熱い鮭汁の〈お振る舞い〉がありがたい。
 イベントステージのテントには、日本有線大賞と日本レコード大賞の「新人賞」に輝いた臼澤みさき大槌町在住の中学生)さんの、澄んだ高い歌声の響きが健気だった。


 吉田さんが主宰する「サンガ岩手」http://sangaiwate.org/shouhin2.htmlは盛岡でスタートしたが、沿岸部の被災地へは遠かった。
 なにしろ新幹線で東京へ出る方が、まだ時間的には近いくらいなのである。
 福幸商店街がある大槌北小跡の近くに、2012年夏「手作り工房大槌」を開いた。展示即売のスペースに作業コーナー、参加する人たちが集い談笑できるカフェ・カウンターまである。
 冒頭の写真は、90歳になる小国兼太郎さん作の〈刺し子〉だ。