どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

イスカという鳥は…<逆万力>のくちばしで松ぼっくりをこじ開け、なかの種子を喰うのダ

-No.0018-
★2013年10月09日(水曜日)
★《3.11》フクシマから →  944日
★オリンピック東京まで → 2480日




◆「イスカ」と呼ばれる鳥がいる

 ぼくは野外でも動物園でもお目にかかった覚えがなく、ただ図鑑と事典で知っていた。
 履歴書を見るとこうだ。

 スズメ目アトリ科。
 すずめよりずっと大きく、体長18センチくらい。
 体色はオスは暗紅色、メスは緑黄色。新旧両大陸の針葉樹林帯に分布。
 ここまでは極くふつうだが…。

 事典類にはかならず図版が載っているほどの、じつに不可解な姿に説明がついて、いわく。
 「マツ・モミなど針葉樹の球果を割って種実を食べる」
 ところが図版に見るイスカの嘴はなんと、上下が湾曲して交差、とんでもなく深く喰い違ってしまっているではないか。
 球果でもなんでもいいが、こんな嘴でどうやってモノが喰えるのか、サッパリわからない。
 てんで見当がつかなかった。

 「マツカサのなかの種子をついばむ」
 別の図鑑にはこう説明されており、しかし、それでもナットクがいかない。
 図版も解説も(たぶんいま一歩、あるいは説明者のひとり合点か)不親切で説明になっていない、とんと状況が知れない。
 「いすか」漢字で「交喙」。「喙」は「嘴」と同義だから、あくまでも注目はその一点にあるのだけれども…

 ともあれ、こうして「イスカ」は不可解な鳥としてボクの記憶に刻まれた。
 いろんな人に訊ねてみたけれども、だれも疑問を解いてはくれなかった。

 そのうちに、成長とともにボクはさまざまな世の中の不可解と遭遇することになり、そのせいで古い不可解は記憶の底へと押し退けられ、永いことそのままに放置されていた。

 ケーブルデジタル(CATV)750チャンネルに「アニマルプラネット」という、ボクのお気に入りがある。地球の自然と生物のドキュメント専門。

 ある日の番組に、アラスカのタイガ(針葉樹林)が紹介されていくうちに、ボクの眼は画面にクローズアップされていった。
 カメラのレンズでもクローズアップされたから、ズーム効果は倍増だ。

 その焦点にイスカがいた、マツの実をついばんでいた。その口元で、あの湾曲交差して面倒そうな嘴が、なんともみごとに松ぼっくり(マツカサ)に喰い入り押し広げ、内懐の種実をものにしていた。
 そうかアレは<逆万力>だったか、「こじあける」道具であったのか!
 ムービーが凄いと思うのは、こういうとき。動きのなかに真実を明かす。
 (イスカのやつ、長年の不可解をケロッと氷解して見せやがったな)
 
 イスカも幼鳥の頃はふつうの嘴で、成長するにつれて曲がってくるそうな。
 わかる気がする。

 マツの種実を食べることに嘴を特化させたのは、それが栄養価に富んだ食餌だったからだろうが、他の果実や新芽、昆虫を捕食することもあるという。
 さぞや、喰いづらいことだろう。

 「いすか継ぎ」という木工の技法がある。
 縦に「継ぎ」、横に「接ぎ」、あわせて「継ぎ接ぎ」。
 ぼくは木工を嗜むので、それがどういうものかを知っているが、図なしの説明で分かってもらえる自信はないので、ヤメておく。
 
 「いすかの嘴」という諺がある。「ものごとが喰い違って思うようにならないこと」だが。
 これを言った人も、じつはイスカの嘴の真実には気づいていなかったことになる。

 そういう意想外の真実が、いまもナニかドコかに隠されているのかもしれないと思うと、ゾクゾクする。

*写真は、Webサイトのフリー百科事典「ウィキペディア」から転載させていただいた。なお、イスカの名の由来もぼくはまだ知り得ていない*