どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

 あっけらかん…オホーツクの憂鬱  −凍てつく氷原…荒れる北洋の面影いずこ−





◆8月11日 石北峠からオホーツクへと下る


 快走「ひゃっほー!」北見国道(39号)。
 ドライブ記事タイトルふうにいえば、そんな感じ。
 北見への途中、木工の町、留辺蘂〔るべしべ〕はかんかん照りの暑さだった。
 ふと臍を曲げて“寄り道”してみたくなったりするのは、たいていこんな(顔をプルンとひと撫で)気分のときだ。
 針路を東から北、サロマ湖へ。
 オホーツク国道238号に抜け、湖畔をめぐってワッカ原生花園
 わが国で最大の汽水湖サロマとオホーツク海を分かつ、細長い砂嘴〔さし〕にある花園はすでに季節をすぎていた。
 オホーツクが、ちっとも(らしくない…)穏やかな表情を見せ、水の色もきれいで、とりとめもなくだだっ広い。

 
 ……だが、待てよ。きょうが珍しい好日なわけでもない。
 ぼくのオホーツク海は、いつだってこんな感じだったではないか。イメージをはぐらかされてばかりいる。
 されば、そのイメージとはどのようなものか。
 鈍色〔にびいろ〕に重く雲垂れこめて荒れる海。
 なんのことはない、いつどうしてそうなったか知らぬ間に固着、観念化していた“冬の北洋”凍てつく海波の情景だった。
 旅人、余所者の勝手な想像世界でしかないのだろうが…。
 なんといわれようと、沁みついてしまったものは消すに消せない。


 「思ったよりずっと穏やかで、夏はとくに風が気もちよくて、凌ぎやすくて、暮らしやすいところですよ」
 土地の人は皆、そういう。
 知床のほうの標津〔しべつ〕とか別海〔べっかい〕なんかでも、住む人は笑顔でそういうのだった。
 たしかに夏は…な。ぼくは、ちょっとだけ譲歩してみる。


 しかしながら、冬だって…やっぱりイメージとはかなり違うんじゃないか。
 流氷のオホーツクを見にきたとき、誰だかがいっていた。
 「どこまでが雪(陸)で、どっからが流氷(海)なんだか、わかんねぇや」  
 まったくそのとおりで、しばれる(凍える)寒気と風に涙と鼻水でグシャグシャになりながら…風景はどこまでも白く、だだっ広いばかりだった。
 別海のパイロットファームを訪ねたとき…これは秋だったが…ここらあたりと見当をつけ、とある農場の人にたしかめると、
 「それなら、すぐ隣りだ」という。
 その〈すぐ隣り〉が、ざっと5キロほども離れていた。
 当時はまだ〈国鉄〉が頑張ってる頃で、釧網本線標茶〔しべちゃ〕駅と根室本線厚床〔あっとこ〕駅の間、オホーツク海側を結んで標津線というのが通っていた。
 その標津線の別海駅からタクシーを頼み、農場取材の後は鮭の採卵場へもまわってもらったのだが…まぁオモシロイようにメーターがくるくる回ったのを覚えている。
 ……というように……
 とりとめもなくだだっ広い、ぼくにとってのオホーツクは、つまり“大陸的な海”なのだった。
 もしかすると、ぼくのイメージとのギャップはあるいは(相性がよくないから、かも知れない)とも思う。

 
 ともあれ、このたびの東日本大震災から半年後の夏の巡礼、すませたら…


◆北海道に渡って網走まで行ってみよう


 …ことにしていた。
 〈連想〉でそうなったことなので、ドウシテといわれてもこまる。
 「ここがいい、他所〔よそ〕には行きたくない」
 ひとつには東北の被災地の人たちの多くが、現住地につよいこだわりをもっていたことがあったろう。
 どうにもやり場のないある種の想いに、コトバもなかった。
 ぼくは、北海道にはまだ新天地の余裕があると思っている。
 外資の買い漁りに喰い荒されるままにするくらいなら、国は国土防衛の必要からもこの際、国費をもって“被災地代替”の策を講じたらよかろう。
 福島第一原発の事故も含めてこのたびのコトは、それくらい巨大な国家的揺動だったのだ。以前のままに納まりきるとは到底、考えられない。
 痛みは痛みとして受けとめ、受け容れ、深く思いやったうえでの決断を、国は責任を持ってするべきだ。


 道南から道央・道北・道東と走ってくると、いまさらにズンとその想いをつよくする。
 実現可能か否かは未知数かも知れない…が、真剣に検討してみる価値はあるだろう。


 カーリングの町、常呂〔ところ〕
 “蛸壺”みたいな形の海跡湖で、真っ赤なアッケシ草(サンゴ草)の群落で知られる能取湖
 そして網走湖畔の宿(網走湖http://www.abashirikoso.com/はもてなし心えた良宿)に着く頃には、網走監獄も、北方民族博物館やオホーツク流氷館のある天都山への観光意欲も、今回はもうなくなっていた。
 番外地の「健さん、ご免なすって…」