どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

2020東京オリンピック・イヤー幕開け① / 「箱根駅伝」(第96回東京箱根間往復大学駅伝)

-No.2315-
★2020年01月23日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 3241日
★ オリンピックTOKYOまで →  183日
★旧暦12月29日
(月齢27.09、月出05:24、月没15:19)













◆〝祝福〟の箱根路

 正月2日。
 箱根駅伝・往路の朝は、穏やかに、こころもちよい晴天で明けました。
 気温は東京郊外で10度(最高気温12度)、湿気も空気にほどよい含みしかなく、風もあるかなきかの微風。
 まず、申し分のない「駅伝日和」といってよく、往路ゴールの箱根・芦ノ湖畔に通うようになって6年のシーンなかでも、これまでに、これほどの好天はなかった…といっていいほど。

 例によって、芦ノ湖畔へは小田急ロマンスカーから箱根登山鉄道バスを乗り継いで行き、箱根神社(元箱根)への初詣付きという、同好の人たちも少なくないプランです。
 ロマンスカー乗車中に大手町をスタートした1区は、箱根湯本でのバス待ち中に2区(鶴見)へ。
 
 1区では、創価大の米満怜(4年)くんが区間賞。
 1時間1分13秒の記録は、佐藤悠基東海大、07年)くんの区間最高記録にわずか3秒およばなかったものの、大健闘の走り。
 この日の好天もあって高速レースを予感させ、ついでに2位につけた國學院大などと共に、新興校が伝統校にとってかわる勢いをヒシヒシと実感させてくれました。
 1区で大誤算は、東洋大の14位。東海大は4位、青山学院大は7位と、まずまず。
 ぼくが個人的に注目した、古豪復活の筑波大は11位。

 芦ノ湖畔で2区(鶴見)から3区(戸塚)へ。元箱根までのバス乗客は、大半が駅伝ファンか出場各大学の関係者やサポーターたち。
 2区では、東洋大の相沢晃(4年)くんが前評判どおりの快走で、モグス山梨学院大、09年)くんの区間最高記録を塗り替える1時間5分52秒。7位に浮上。
 相沢くんはレース後、東京オリンピックのマラソン代表をねらって3月の東京マラソンにチャレンジすることを表明。
 これに次ぐ走りを見せたのは東京国際大・伊藤達彦(4年)くんで、チームを13位から8位へ。
 手堅かったのは、青山学院大・岸本大紀(1年)くん。ルーキーらしからぬ落ち着いた走りで、原監督ねらいどおりのトップに立って見せました。
 東海大は4位から3位へ。

 箱根神社への初詣をすませたところで、3区(戸塚)から4区(平塚)へ。
 (ことしは気もちにゆとりがあったせいで、境内末社の曽我神社にもお参り、駅伝コ-スにもなっている国道1号沿いの五輪塔、曽我兄弟の墓は有名ですが、箱根神社に祀られた曽我神社のことを知る人はいまは少ないようです)
 その箱根神社参拝の道々も、駅伝ファンは折々に立ちどまっては、スマホ画面でレース模様のチェックおこたりなく、たがいに情報交換する姿も毎年のこと。

 3区での見せ場、演出して魅せたのは青山学院大の鈴木塁人(4年・主将)くん。途中で東京国際大・ヴィンセント(1年)くんに抜かれて2位に後退しましたが、その際、(キミが速いのは了解)とでも言うようにドウゾ…とばかりに余裕(?)の笑顔で、自分の走りのペースは乱されず。

 こうした細かい勝負のアヤは、ざんねんながら、テレビ中継の画面(ぼくは帰宅後にダイジェスト放送で確認)を見とどけていないと、つかみきれません。
 結果、この3区での新記録ラッシュが、今大会のスピード駅伝を強烈に印象づけることになりました。
 区間1位=東京国際大・ヴィンセント(1年)59分25秒、2位=帝京大・遠藤大地(2年)1時間1分23秒、3位駒沢大・田沢廉(1年)1時間1分25秒。
 これまでの区間最高記録は、青山学院大・森田歩希の1時間1分26秒(なんと昨19年につくられたばかり)。 

 4区(平塚)から5区(小田原)へと中継の頃には、ぼくたちは、いつもの成川美術館で、ティータイムを愉しみながら待機の態勢。電源の残量を気づかいながらのスマホ観戦。
 4区では、青山学院大・吉田祐也(4年)くんが区間新記録、1時間00分30秒(従来の記録は、これまたやっぱり昨19年、東洋大相沢晃の1時間00分54秒)の奮走で、東京国際大(2位)から首位を奪回。
 以下、3位國學院大、4位東海大、5位帝京大、6位駒沢大。出遅れの響いた東洋大は14位と低迷。

 いよいよ5区、小田原から箱根山中への〝山登り〟。
 高台にある美術館から湖畔に下ると、応援団の太鼓の音に迎えられ、チアリーダーたちの脚を凍えさせる寒気が、ことしはない。
 ぼくの気も軽い。6年間の熟〔な〕れもあることを感じます。スポーツにおける熟れは、心強い味方ではあるけれども、ときに陥穽(落とし穴)を仕掛けもする。
 そんな、もがき苦しむ姿は正直、見たくない…想いを察したような好天の碧空を、取材のヘリの爆音が近づいて選手たちの接近を知らせます。

 トップの青山学院が来る…走る足どり軽く、伴走車に見える原監督の表情も明るい。
 以下、オープン参加の関東学生連合を加えた21チームの選手の顔・顔・顔…は、置かれた状況や順位、期待度などを反映して苦しそうな表情もまじる、とはいえ、好天下の往路ゴールを〝祝福〟するムードはおさえようがない…そんな感じでした。
 (順位は、写真を見て確認ください)

 結局、この区間でも新記録ラッシュはとまらず。
 区間1位の東洋大・宮下隼人(4年)くん1時間10分25秒、2位青山学院大・飯田貴之(2年)くん1時間10分40秒、3位の國學院大・浦野雄平(4年)くんも、昨年みずからがつくった区間最高記録を9秒更新して見せ。
 往路記録も上位4チームまでが、区間新記録でした。
 1位・青山学院大5時間21分16秒、2位・國學院大5時間22分49秒、3位・東京国際大5時間24分33秒、4位・東海大5時間24分38秒。

 ご覧のとおり、新興校の躍進、目を瞠るばかり。とくに2位、出雲駅伝優勝の國學院大は、なんとか往路優勝の歴史を刻んでおきたかったところでしょう。惜しかった!
 いっぽう対照的に苦戦を強いられたのは伝統校。駒沢大8位、早稲田大9位はまだしも、往路3連覇が懸っていた東洋大の11位は、最後の5区〝山登り〟での挽回がなければ、あまりにも苦しすぎました。
 古豪復活の筑波大、1区での健闘も、終わって見ればドン尻の20位は、これも好天下、高速レースの波に呑まれてしまいました…
 















※(写真=上段左→右)1位/青学大、2位/国学院、3位/東国大、(写真=中段左→右)4位/東海大、5位/明大・6位/帝京大・7位創価大、8位/駒沢大、(写真=下段左→右)9位/早大、10位/拓大、11位/東洋大・12位/中央学大

◆〝復路〟にも波乱なし

 往路の結果。
 トップの青山学院大と4位東海大とのタイム差(順位差より、だいじなのはタイム差)は、3分22秒。自分たちの記録も〝往路新〟であったことを想えば、その差はタイム以上に重いはず。
 駅伝ファンは、総合2連覇を目指す東海大の復路逆転もあるか…に望みをつなぎたいところでしょう、けれど。
 往路の結果をを見ても明らかなように、実力どおりの走りはできていても、ここ一番の〝爆発力〟には欠けていました。このチーム、高校時代から注目されつづける選手の多い、いわば〝優等生〟軍団ですが、そのぶん、どうしても泥臭いまでに踏ん張る力はたりない気がするのです。

  ……………

 その復路3日は、これまた予定どおり、雑煮を祝いながらのテレビ観戦。
 この日も、2日の往路を上まわる好天、風もない絶好の条件下では、ざんねんながら大きな波瀾…の起きそうな予感すらもなく。

 淡々と進んだレースを振り返れば。
 まず、6区(箱根-小田原)〝山下り〟で東海大・館沢享次(4年、主将)くんが区間新記録の57分17秒(これまでの区間最高記録は昨19年、青山学院大・小野田勇次の57分57秒)で意地を見せて3位に上がりましたが。
 逃げる青山学院大の谷野航平くんとの差は、わずか1分しか縮まらず(2分強の差は大きい)、この時点で、青山学院大に総合Vの可能性が大きくフクラミました。
 なお、往路11位に沈んだ実力校・東洋大は、今西俊介(4年)くんが、この区間2位(区間新)の57分34秒で駆け下ってチームを7位へ押し上げ、ようやく総合10位以内の〝シード権〟争いに絡んできました。

 7区(小田原-平塚)では、明治大・阿部弘輝(4年)くんが区間新の1時間1分40秒(これまでの区間最高は18年、青山学院大・林圭介の1時間2分16秒)。東海大が2位浮上。

 8区(平塚-戸塚)では、東海大の切り札の1枚、小松陽平(4年)くん区間賞の走りを見せるも、昨年、自身のうちたてた最高記録には35秒およばず、青山学院大との差も1秒しか詰められず…この時点で青学の総合Vはほぼ〝当確〟に。

 その後も、青山学院大の安定感は揺るがず。こうなると、これまでかずかずの〝優勝経験〟が重圧にはならずに、自信を生みだしますからコワいモノなし。9区(戸塚-鶴見)では、神林勇太(3年)くんが区間賞の走り。区間8位に沈んだ東海大を尻目にVを引き寄せ。

 10区(鶴見-大手町)でも、アンカー湯原慶吾(2年)くんが堅実に、区間4位の記録で走った青山学院大が、往路の4区以降いちどもトップをゆずることなくゴール・テープをきって、総合大会新記録の10時間45分23秒。
 以下、3分2秒差の2位には、復路新・総合新記録の東海大。3位の國學院大も立派でした。
 4位・帝京大は吉野貴大(4年)くんが区間新の1時間8分43秒。5位・東京国際大、6位・明治大、7位・早稲田大、8位・駒沢大。

 ビックリ記録は9位・創価大、嶋津雄大(2年)くんの1時間8分40秒で、これは帝京・吉野くんの記録を3秒上まわる区間最高。1区と10区の区間賞を攫うという快挙で好印象をのこしました。嶋津くんはチームの襷を待つ間から、心中(やってやるゾ)の意気込みが伝わってくるほどの強く緊〔ひきしま〕った表情が、とても佳くて。
 惜しむらくは、2位の東海大にこれくらいの意気込みを見せてもらいたかった、ところです。

 シード圏入りのギリギリ10位に、アンカーも区間19位という低調に苦しんだ東洋大。これはイイ経験…といっておきましょう。

 最後に、ぼくが注目した筑波大、復路も浮上できないままに20位で終了。でも、その記録(総合)11時間16分13秒はけっしてワルクくない。
 古豪復活の舞台には、高速レースの敷居は高すぎました。〝捲土重来〟を期せ!…デス。

  ……………

 こうして
 終わって見れば青山学院大の強さが際だった今年の箱根駅伝でしたが…。
 ぼくには、青学・原監督の内心はハラハラものだったろうと思えます。たとえ信頼絶大なエース選手がいても、ナニかコトあれば足もとを掬われる戦国駅伝。ことしの戦力、これまでの勢いからすれば、心配はつきまとって離れなかったはず。その胸中…好天・高速レースに1人として乗り遅れる者がなかった選手たちに、ホッと安堵の溜息だったのではないでしょうか。

 そうして、もうひとつ。
 往復10区間を走る選手たちの足もとで、目立ちすぎるほど鮮やかだったのは彩りも派手やかな、ナイキの〈厚底シューズ〉。すでに、マラソンランナーに愛用者が多いことで有名でしたが、ことしの箱根でも、この高価なシューズがコースをほとんど席捲していました。
 ほかの競技にくらべれば、用具のシンプルなことが大きい陸上競技でしたが…これからは、経済力の差が選手の成績を左右する時代になっていきそうな趨勢。
 箱根駅伝〝勢力図〟も、〝下剋上〟の烈しい時代がつづいていきそうです。
















※(写真=上段左→右)13位/中大、14位/順天大、15位/日大、(写真=中段左→右)16位/法大、17位/神奈川大、18位/日体大、(写真=下段左→右)19位/筑波大、20位/国士大、OP/関東学生連合