どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ぽっかり浮かんだ…『星めぐりの歌』

-No.2310-
★2020年01月18日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 3236日
★ オリンピックTOKYOまで →  188日
★旧暦12月24日
(月齢22.09、月出00:07、月没11:43)


※「初雪か!?…」の予報、ざんねんながら東京南西郊では、どうやら霙〔みぞれ〕氷雨でおわりそうな……
※昨日17日は、阪神淡路大震災から25年
 あの日のことは、いまもハッキリ記憶にある。会社に出勤の、かみさんを車で駅まで送ったあと、母を南伊豆の保養の宿まで連れて行くことになっていた日の、朝7時頃。
 聞きなれたラジオ放送『山谷親平のお早ようニッポン』にスウィッチを入れると、「きょう早朝、関西・神戸地方にかなり大きな地震があった模様です」と一報が入った。いまから思えば信じられないほど、東京-関西という日本の大動脈圏間でありながら、遅すぎる通信のまだるっこさだった。
 それから伊豆半島南端の下田まで、3時間あまりの途中。切れ切れに断片的な情報は随時入ってきても、まるで雲をつかむようにもどかしいまま。ただ、どえらいことなっているらしい…とばかり。
 結局、大地震の全容はその夜、宿のテレビに映し出された特報番組の映像を見るまで、明らかにはならなかった。
 その日、保養の宿に集った母の姉弟たちは、いずれも関東大震災を乗り越え、生きのびてきた世代。
 その誰もが、すべて、あの世へと旅立って、いまはもう亡い……
 ぼく自身は、帰京するとすぐ、わが編集プロダクションのスタッフ糾合して、小いさくてもボランティアの一隊を率い、支援に行きたいと願ったのだ…が。
 じつは、その頃がいちばん仕事に責任のおもい頃でもあり、どうスケジュールを調整しても、ついに都合がつけられなかった。あれだけの大災害があっても、(広域の神戸圏を除けば…)世の中の歯車は少しも狂うことがなかった(いい、わるい…ではない、ただ〝非情〟そのものであった!)。
 だからこそ、それから16年後の《11.3.11》東日本大震災に、烈しく心身を揺さぶられたときには、もう抑えることができずに駆けだしたのでもあった……

 



◆あの調べは…なんだっけ…

 揺蕩〔たゆと〕うように…玉響たまゆらのごとくに……
 あれは去年の、秋頃からだったろうか。
 ひとつの旋律が、五音音階の。
 無邪気で、ひたすらに、ひたむきに、ただただ懐かしいばかりのメロディーが、ぼくの脳裡をかすめたり、ちらと、のこり香の風情ですれちがっていったりした。

 それが、いつのまにか、ぼくの意識に深く、清〔す〕まし出し汁みたいに染みたのは、精進な年明け膳のせいかも知れなかった。

 昨年の暮れまでは、無理には知りたいとも思わずにすごした楽曲、その調べ。
 ふと、その正体が無性に知りたくなって、五音の音階くちずさみつつ。
 たしかに…あるにはある…のだけれども、もやもやの靄の向こうを、なかなか、はなれてくれずに。
 たぐる記憶の緒〔いとぐち〕を見つけられないでいた、ところが……

 新年の松も明けた頃に、ひょっこり、あの調べがながれてきた。
 (あっ…これ、これ…)
 テレビのCMソングだった。
 生命保険会社の名など明かさずとも、『星めぐりの歌』と言えば、すっかり明らかだろう。

 『星めぐりの歌
 宮沢賢治作詞作曲の、歌詞

  〽あかいめだまの さそり
   ひろげたわしの つばさ
   あおいめだまの 小いぬ
   ひかりのへびの とぐろ
   
   おりおんは高く うたい
   つゆとしもとを おとす
   アンドロメダの くもは
   さかなのくちの かたち

   大ぐまのあしを きたに
   五つのばした ところ
   子ぐまのひたいの うえは
   そらのめぐりの めあて

 この詞は、賢治童話『ふたごの星』のなかにあるし、『銀河鉄道の夜』の結びにもでてきた。

 楽曲のメロディーはJR釜石線新花巻駅、SL銀河が通るときに聞いてもいる。

 ただ…それらの記憶、ざんねんながら、いまは遠い。
 べつに年々、遠くなるわけでもない、のだけれど。
 なにしろ、もやもやと…遠い。

 CMで歌っているのは、シンガーソング・ライターの優河。
 (ちなみに、女優・原田美枝子の娘さん)
 と知れても、まだ、〝もやもや〟は晴れてくれない。

 それは

◆唄っていたのは別の人…

 …のイメージが、まぶたの裏あたりに、ゆらゆらしているから、だった。
 しかたがないので、ウェーブにキーワードをタイピング、検索キーを叩いたら、たちまち、もやもやが晴れた。

 そうだ!
 その調べは、映画のなかで田中裕子さんが口遊〔くちずさ〕んでいたのだった。
 映画は『あなたへ』(12年東宝、降旗康夫監督)。高倉健さん最後の出演作品で、降旗監督と組んで20作目の映画でもあった。
 亡くなった妻(田中裕子)の故郷を訪ねて、北陸富山から九州へ、長崎平戸まで旅をする刑務所指導教官(高倉健)の話し。

  ……………

 いわば初老の人生ロードムービーでした。

 その劇中に挿入されていた唄が、田中裕子さん独得の、ほのぼのイメージをともなって、ぼくの記憶に染みこんでいたからです。

 ぼくには、こうした記憶の襞の底から、ときどきに、ポワ~ンと浮かび上がってくる歌が少なくありませんが。
 この『星めぐりの歌』は、はからずも、ぼくの記憶の底を遊離するタイミングぴったりに、誘発されたものかも知れません……