どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.96~  「銀ひらす」…を初めて食す

-No.2270
★2019年12月09日(月曜日)
★11.3.11フクシマから → 3196日
★ オリンピックTOKYOまで →  228日
★旧暦11月13日、十三夜の月
(月齢12.9、月出14:41、月没03:16)


※先週の土曜7日は、七十二候の「閉塞成冬(天地の気が塞がって冬になる頃)」でした。横浜にも「初雪」が舞ったようです。

国境なき医師団中村哲さんが、支援するアフガニスタンでテロリストの銃撃の倒れ、8日の日曜日、無念・無言の帰国しました。現地の一部には、いまも、生まれたときから銃とともにある生活があたりまえ…の人々がいる、といいます。広い世界を「知らない」ことの、哀しさを思い知ります。「ほかからマナぶ」ことがないと、ヒトは無知の殻から出られず、閉じこめらてしまう。少なくともニッポンからは、そんな不幸な人々がなくなってほしい…と切に願います。






★透明感のある美味そうな身肉であった★

 その切り身は、仕入れのいい(…とボクが認める)、いつものデパ地下の鮮魚売り場で香油漬けになっていた。ぼくにとっては、初もの。

 初ものなら、まずはナマ(刺身)で身肉の味わいを確かめるのがボクの流儀だから、ふだんなら切り身から入門することはないし。
 西京の味噌漬けとか、粕漬の魚もそれなりに旨いことは認めるが、その趣向、もともとが〝魚臭さ〟をなくすか、おさえることにあるせいか、味に〈芯〉がなくて好かない。

 したがって、このとき、ぼくの購買意欲につよく訴えたのは、まず「呼び名」。
 名札に「銀ひらす」とあって、店の人に尋ねると「シルバーとも呼びます」とのこと。
 ついでに並んだ切り身を見ると「平たい魚」の輪切りで、「ひらめ」が連想される透明感のある白身であった。
 これだけで(食べてみよう)気になった。

 ちなみに、ぼくは「銀(シルバー)」が好みであった。
 なるほど「金」も佳い…が、「金キラ金」になっちまうと胸糞が悪いばかり。
 若い頃から「いぶし銀」趣味にハマっていた。

 銀は汚れに弱い…そんなところにも、純な男の生粋〔きっすい〕といったような心情の投影を見ていた。
 さすがに、自身が「シルバー」と見られる年頃になってからの「銀」を見る目はシブくならざるをえなかった、けれど。
 「白金」や、ましてや「プラチナ」なんぞに鞍替えする気は毛頭ない。

 …ともあれ「銀ひらす」。
 焼いて食べたら、これが「すこぶる」つきの旨さで、ペロッと皿がきれいになってしまった。
 (おかげで…料理写真を撮っておくのも忘れちまったぃ)
 ほとんどクセのない身質で、加熱しても硬くはならず、それでいて魚の味わいがないわけではないし、いい脂の、のりもある。

 あとで調べたら、「銀ひらす(シルバー)」はスズキ目イボダイ科。
 なるほど、「イボダイ」の脂、同じ仲間うちの「目鯛」にも似ていた。
 (上掲写真は、左が「銀ひらす」、右が「イボダイ」)

  ……………

 ちょと、話しが横丁に入るが。
 「イボダイ」は関東や伊豆では「エボダイ」。
 この魚、ぼくには苦い思い出があって、最初に出逢った魚体の脂がつよすぎて好ましからず。おまけに呼び名に品がないので、すっかり嫌気がさした覚えがある。

 じつは、この呼び名、魚体の鰓ぶた脇にある黒っぽい斑点が、お灸をすえた痕(これを〈いぼお〉というそうな)に似ていることによる、というのを後で知った…が。
 ぼくのなかで名誉を回復するのに、かなりの時を要することになったお魚ちゃんなのだった。

  ……………

 「銀ひらす」は、オーストラリアやニュージーランドといった南半球に主に棲息する魚種なので、日本では、いまはほとんど輸入物。
 ついでに、もっぱら加工(漬け魚)用で、市場などで見かけるとしても、たいがい「ヘッドレス(頭なし)」だそうな。
 …というのが、ちょっぴり気のどくなくらいカワイイ。

 似合いの調理法も、イボダイや目鯛と同じで、ムニエルや煮魚、照り焼き(イボダイの英名はバターフィッシュ)がよく。
 なかでもフライは絶品とのこと、次のチャンスにはぜひ食してみたい。

 なお、「ひらす」といえば、西日本あたりじゃ「ヒラマサ(平政)」のこと。
 「ひらたく」て、素直な身肉が「柾目」のようだからヒラマサ…と言われるくらいで、いうまでもない気っ風の佳さで寿司職人に人気がたかい。

 ぼくも、その歯ごたえと潔い身質を愛する者だ、けれど。
 だから、しかし、「銀ひらす」が「ひらまさ」の代用にもされる…という話しには〈眉に唾〉。
 その味わいのチガイに気づかないようじゃ、とても「魚喰い」とは言えない。