どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.94~  ハチクマの秘術、スズメバチの猛攻を掻い潜る

-No.2260
★2019年11月29日(金曜日)
★11.3.11フクシマから → 3186日
★ オリンピックTOKYOまで →  238日
★旧暦11月3日、三日月・若月・眉月
(月齢2.9、月出08:51、月没18:46)




◆「ハチクマ」をご存知か!?

「八つぁん」「熊さん」の「くま」では…もちろん、ない。
 その姿クマタカに似て、主食を「ハチ(蜂)」とする、人間の目から見れば変わった習性の鳥だ。

 60センチくらいの大きさで、体色は背の方が暗褐色で、腹の方は淡い褐色が多い、が。
 個体差が大きい鳥で、性差を見分けるイチバンの方法は、目の色がオスは黒、メスは黄色、だそうな。

 首のあたりを見るとよくワカル特徴は、細かく硬い羽毛が鱗のごとくに、みっしりと厚く密生。これが全身にわたっているおかげで、蜂の針の攻撃から身を守って、滅多には刺されない。
 
 渡りをするものは、北方で繁殖、冬季に南下して東南アジアあたりで越冬。
 日本で見られるクマタカは、初夏に夏鳥として渡来し、九州以北の各地で繁殖するという…が。

 ざんねんながら、ぼくはまだお目にかかったことがない。
 というより、バード・ウォッチャーではないので、たまたま空にその姿を見かけても認識はしていない、だけかも知れない。

 ……………

 それにしても、蜂を主食にするなんぞは「もの好きな」と…思われるかも知れないが、それも違って。
 野生の世界では、生物は皆、食餌と環境に依存して、細かく巧妙に〈棲み分け〉ており、これは雑食である人間世界における「偏食」とは事情がまったく異なる。

 しかも、甘く栄養価もたかい蜂蜜を人が喜ぶように、ハチクマにとっては蜂の巣の中の幼虫が堪〔こた〕えられな栄養食なのであった。
 とうぜん、大きなスズメバチなんかの方が、より魅力だ。

 スズメバチというと、日本では樹上の枝、ときには人家の軒下などに大きな巣を構えて迷惑がられるけれど。
 ハチクマは、こんな空中の要塞を襲うばかりでなく、地中に営巣するスズメバチの巣も遠慮なしに狙い、猛禽類のなかでも大きな足で掘り起こし、蜂の巣の基盤ごと咥え出す。

 記録映像で見ると、これも迫力のあるシーンだったが、やっぱり、樹の枝から釣り下がった巣に挑みかかる空中戦の方が超弩級の大迫力。

 しかも、なかなかの智慧巧者ぶりで、仲間を集めた波状攻撃を得意とする。
 はじめは先陣が、巣の近くの枝にとまって見せる。
 すると、いうまでもない、これも攻撃的なスズメバチたちは「憎っくき敵奴が!」とばかりに、色めき立ち、防戦に勇み立つ。
 スズメバチどもの、この群がり出ての防衛作戦はさすがに五月蠅〔うるさ〕いと見えて、先陣のハチクマは辟易の態で逃げ出す…ところを。
 ヤルもんだ、蜂たちしつこく追いまわす。

 ハチクマ仲間は、なにくわぬ顔で、この偵察をしばらく繰り返し、やがて、頃合いを見て指導役の1羽が、決然とした飛翔で巣に掴みかかり、鋭い鉤爪で入口付近の壁を破壊、突破口を開く。
 以降、続々とハチクマ仲間の共同作戦がつづくうちに巣の中の幼虫のベッド、基盤あらわになって、つぎつぎと突つき啄〔ついば〕まれ、ついに、哀れスズメバチの巣は、やがて廃墟に……

(ちなみに、野生の生物世界では珍しく、ハチクマに餌を独占しようとする癖はなくて、仲間と協働する意識からか他の個体が吾が餌場に来ることを拒まない、という)
 いうまでもなく、巣を放棄させられた蜂たちは、別の場所に移って、また営巣を始めることになる。

  ……………

 想えば、生物学(生態学)というのも裾野の広い研究分野で、おそらく目ぼしい(?)生物には、それぞれに、世界に少なくとも1人以上の研究者がいる、であろう。

 なかで、スズメバチは魅力ある研究対象のひとつ、これはまちがいなく。
 その研究の成果も、日々新たに、更新されており。
 
 それによると、ハチクマの「スズメバチの巣、争奪大作戦」も、けっして〈力ずく〉だけではない、とのこと。
 なぜなら
 はじめこそ、外敵ハチクマに敢然かつ猛然と立ち向かっていたスズメバチ軍団が、あるときから〈敵意〉・〈戦意〉を失っていく様子が見てとれる…といい、なるほど映像がその態を実証して見せる。

 ハチクマが巣に飛来しても、スズメバチは立ち向かわないどころか、まるで〈茫然〉の態というか〈心ここにあらず〉で。
 これが、スズメバチがやがて巣を放棄する、前兆にもなっているらしい。

 研究者の指摘するところによれば、どうやらこれはハチクマが、スズメバチのしつこいまでの攻撃性を奪ってしまうフェロモンのようなものを発散しているのではないか…という。
 う~む(深いなぁ)……

  ……………

 もうひとつ
 ハチクマの興味深い行動は、渡りのルートどりにもあって。

 たとえば、同じ鷹の仲間のサシバのように、列島づたいに沖縄から東南アジアに向かう…わけではなく。
 
 五島列島から、いったん台湾や中国大陸に寄ってしばらく羽を休めてから南下する。
 この遠まわりルートにもワケありで、そこで蜂からの栄養を補給。
 日本には、初夏に渡ってくるのも、蜂の巣が活発に育つ時期に合わせており、愛情にプラスたっぷりの栄養をそそいで子育てしているのだ、そうな。

 そんなハチクマだから、人の営みなんかも、ちゃあーんと見て御座る。
 養蜂家がハチミツを集める場所を訪れ、採蜜後の捨てられた基盤をちゃっかりチョウダイしている。
 それだって、結構、まだまだ栄養豊富な食品であることを、ハチクマは知っているのだった。
 ふ~む(知恵者よのぉ)……

 なお
 ハチクマにだって、自然の子、やっぱり、くるしい季節はあって。 
 蜂類の活動が少なくなる秋から冬場にかけては、昆虫や小鳥、カエル・ヘビなども捕食して凌いでいるのであった。