どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

TOKYOパラ、プレ・イベント〈19.8.25〉-①-/ 走り幅跳び&100m

-No.2221-
★2019年10月21日(月曜日)
★11.3.11フクシマから → 3147日
★ オリンピックTOKYOまで →  277日
★旧暦9月23日、下弦の月
(月齢22.7、月出22:41、月没12:29)













◆〝オリ〟ンピアンを超えた〝パラ〟リンピアン

 ドイツの陸上競技に、マルクス・レーム(31歳)という、超人〝義足ジャンパー〟がいる。
 彼は、走り幅跳びで8m48という〝パラ〟世界記録をもち、パラリンピックではロンドン大会(2012年)・リオデジャネイロ大会(14年)を金メダル連覇。

 もっとスゴイことに、彼は、ドイツの陸上競技大会(パラの大会ではない)で優勝し「オリンピアンを超えたパラリンピアン」と讃えられたこともあり。
 ぼくに「オリンピックとパラリンピックの同時開催」を発想させたアスリートだ。

 ちなみに、走り幅跳びの世界記録は8m95(マイク・パウエルアメリア/1991年)。
 日本記録は、城山正太郎の8m40(ゼンリン/2019年)である。

  ……………

 そのレームが、2019年8月25日、「東京2020パラリンピック1年前カウントダウンイベント」に来日。デモンストレーションで彼の走り幅跳びが見られる、というので出かけて行った。

 会場は、前回1964年東京パラ大会のメイン会場になった代々木公園、陸上競技場。
 (今回2020東京パラ大会のメイン会場は、新国立競技場…隔世の感がある)

 オリンピックに連動するかたちで、マスコミにとりあげられる頻度もかなり上昇してきたパラリンピックではある、けれども…やっぱり、まだまだ。
 地下鉄・千代田線「代々木公園」駅から歩く人は少なく。関心をもつ層がかぎられている…ことを痛感させられた。

 それでも、陸上競技デモンストレーションの始まる11時半が近づくと、観客席に人が集まりはじめ、それより熱気をおびた報道陣、取材カメラの多さが注目に値した。

 走り幅跳びは、レームのひとり舞台。
 彼の右足に装着されたカーボン繊維製〝義足〟の前に、着地する競技場砂場の方が貧相に見えたくらいだった。
 この日にそなえて彼は、きちんとトレーニングに励んできたのであろう、招待選手というメンタル面の充実もあったにちがいなく、ウォーミングアップのときから調子は良さそうに見えた。

 ゲストの武井壮(タレント、元陸上十種競技日本チャンピオン)による紹介セレモニーがあって、すぐ、助走路に立ったレームは、スッと構えるが早いか、疾走し、弾けるように跳〔は〕ね跳〔と〕んで、魅せ。
 隣りで、かみさん、「さすがゲルマン…って感じネ」ため息をもらす。

 砂場からはみ出してしまうのではないか…と思われるほどの超迫力ジャンプ、3本のうち1本に、すかさず武井から「これは!…超えたんじゃない」、昂奮ぎみの声があがる。
 計測の結果は、8m50。自身がもつパラ世界記録(8m48)を軽く超えて、なお余裕あり、と見えた。

 デモンストレーション終了後、観客席にやってきた気さくなレームと握手して、彼のもつアスリートとして恵まれた、類い稀な素資質・体格を直に感じさせてもらった。
 彼は、ウエイクボード(水上スポーツ)の選手だった少年時代、練習中の事故で右脚を膝下から失い、手術後に復帰した、なるほど根っからのスポーツ〝選手〟である。

 しかし、〝健常〟者に混じっての陸上競技大会、走り幅跳びでチャンピオンの座を奪取すると同時に、彼は「ジャンプに有利な義足は違反だ」といった、ほとんどバッシングに近い非難の声に曝された、という。
 障害をのりこえた精進・努力を一顧もせずにダ。

 酷〔ひど〕すぎるクレームは、もっとも露骨なかたちでの差別意識のあらわれでしかない、が。
 それほど秀でた〝パラ〟アスリートの証拠…でもある。
 少なくとも、もうじき、〝パラ〟というスポーツのありかた自体が、変革を迫られるに違いない。

 じつは、ほかにも。
 なかには素晴らしい〝パラ〟競技を見つけて、〝健常〟者が参加を希望するケース(車いすバスケなど)もでてきている。

  ……………

 陸上競技デモンストレーションは、この日、ほかに男子100m走も行われ。
 招待アスリートは、ダービット・ベーレ(ドイツ、両足義足、リオ・パラ金メダリスト)、井谷俊介(SMBC日興証券)、吉田知樹(日体大)の3選手がスプリントを競い。
 いずれも、それぞれの障害クラスの自己記録(井谷はアジア記録)を更新。
「~ みんなのスポーツ×ファンフェスティバル ~」のお祭りムードが背中を押したようだ。

 もうひとつ。
 さっきの走り幅跳びの場面で、山本篤(2016年リオ・パラ走り幅跳び銀メダル、400mリレー銅メダル)が、この日は別メニューへの出演だったにもかかわらず、レーム選手が跳ぶ砂場の整備に進んで協力していた姿が、好印象ナンバー・ワンであった。
 みごと義足をワガモノにして、健常(?)サポーターをリードする身のこなしは、スポーツのもつ爽やかさを炎天に輝かせていた!