どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北2018さんりく巡礼 / <報告記48>-号外①厚真町-北海道胆振東部地震「山体崩壊」

-No.2113-
★2018年07月05日(金曜日)
★11.3.11フクシマから → 3039日
★ オリンピックTOKYOまで →  385日
★旧暦6月3日、三日月・眉月・若月
(月齢2.7、月出06:52、月没21:12)














厚真町役場/2018年9月7日(金)昼頃

 2018年9月7日。
 6日未明(3時8分頃)発生の「北海道胆振東部地震」から一夜明けた朝。
 ぼくはまず、とるものもとりあえず、コンビニで〝道新〟(北海道新聞)の朝刊を手に入れた。

 1面と最終面の見開きトップに「厚真〔あつま〕震度7 北海道で初」の大見出し、ぶち抜きで。
 ヘリ撮影の写真が、烈しい「土砂崩れ(というより〝山体崩壊〟の惨状)」現場の惨状を伝え……

 その他のページも含めて、下記のような見出し・小見出しが状況を報告していた。
 〈5人死亡3人心肺停止〉〈29人安否不明 大規模土砂崩れ〉
 〈全道295万戸停電 全面復旧に1週間〉
 〈JR全線運休/新千歳閉鎖/1891校休校〉
 〈食糧確保や情報収集 助け合って〉〈「通電火災」に要注意〉
 〈土砂集落襲う 強い地震続く恐れ〉
 〈石狩断層帯 活発化か〉〈1週間は警戒必要〉〈「表層崩壊」の可能性、台風で表土不安定に〉
 〈崩れるや山 民家下敷き〉〈札幌 地盤陥没 液状化か〉
 〈震源域に最大火発 停電 生活まひ〉〈病院 外来診療中止も〉〈食糧確保へ店に列〉
 〈停電 経済に大打撃〉〈工場停止 物流は混乱〉〈北電 苫東厚真 災害リスクの教訓生かせず〉

  ……………

 いつもなら、《11.3.11》被災地東北巡礼「うちあげ」の日が、新たな地震被災地取材に「もうひと踏ん張り」の1日になった。

 GSの給油制限があって、長距離移動の不安をかかえ、やむなくボクらは自動車専用道を行かず、一般道を走りながら小刻みに、GSを見つけては少しずつ車のタンクを充たして行く。
 そのたびに、20~30分の行列待ち。

 そうして苫小牧の街に入ると、早速に港から急行してきた模様の、災害救助犬を乗せたレスキュー隊の車両に出逢い、優先の道を譲る。
 結局、レスキュー隊の後を追うようにして、厚真町役場に着く。

 台風通過にともなう雨のあと、道のあちこちに泥濘〔ぬかるみ〕がのこるなか、町役場玄関前の円庭に報道各社の記者たちが散在して、電話取材や記事送信に余念がない。

 近くの公園に、自衛隊災害派遣部隊が宿営の準備。
 災害のたびに、なじみの光景がくりかえされる、その頻度つみかさなるばかりの、この国であった。
 





厚真町新町・中郷/2018年9月7日(金)午後

 土砂崩れ現場の吉野地区には、まだ近づけないらしい。
 とりあえず、役場に近い周辺部を訪ねて見る。

 新町では住宅地の、街路のアスファルトがあちこちで捲〔めく〕れ上がり、家の門扉が捻じれたり、崩れたり…明らかな油断は、北国では必需の暖房ストーブ用、家庭備蓄タンクが至る所で倒れ、ひっくり返っている。ブロック材半分のお粗末な足場にのっただけでは、ひとたまりもない。

 指摘すれば、例によって「想定外」の返答であろう…が。ガソリンスタンド(GS)の非常用電源未設置とか、この家庭備蓄タンクの明らかな不見識、お手軽・気軽さは、てんで〝災害立国〟の立場をわきまえてもいない。

  ……………

 中心地から少し離れた中郷地区に行くと、災害応援の非常用大規模電源車が送電線に電気を供給しており…近くの避難所には、救護・援護する人々と、たくさんの茫然とする人々の姿が、綯い交ぜになっており。
 ぼくたちは、また、《11.3.11》被災地での体験をくりかえす。

 「地域密着コンビニ」と称賛されることになった「セイコーマート」の、品揃えもさることながら、温かい店員の対応に、冷えかかった心もちを慰められた。
 (このセイコーマートについては、もういちど稿をあらためて、とりあげたい)






厚真町新町・美里/2018年9月7日(金)午後

 〈北の大地〉らしい広い田園を徐行して、しばらく走ると美里地区。
 その行く手を、ふいに…なんの前ぶれもナシに遮られた。

 ほとんど(そりゃわるいジョーダン)みたいな感じで、1軒の建物がゴロンと舗装路に転〔まろ〕び出ていた。
 諸共に崩れてきたはずの、土砂がいち早く片づけられていたせいか、場違いに置かれたセットみたいにキョトンと、道を塞いで。その下を地割れがはしっている。

「なにがなんだか…わからんかったんだワ」
 被災した農家の主人の表情が、それこそ〈きつねにつままれた〉よう。
 近所の農婦だろうか、怖々とその脇を通り抜けながら、信じられない面持ちで、ひしゃげ崩れた家屋の窓を見上げていた……

 畑地など辺りに広がる地面の色は、全体に赤茶けて見える。
 このたびの地震は、粘土状のハロサイト土壌の上を、毛布のように覆った火山灰や軽石の表層が崩れたものだ…という。これは別に珍しいものではなくて、北海道・東北・東関東など日本の地層のほぼ半分を占める土壌とのこと。
 柔らかく脆い土壌が、台風の雨と地震動の複合によっ土砂崩れしたもの、ということであれば、これは日本のどこで起きても不思議はない災害…にちがいない。

 この地震による人的被害を、土砂崩れのあった厚真町に絞って見ると、死者36人(男性20人・女性16人)の死因は、窒息死が8割、外傷性が2割ということで、ここにも火山灰土の影響がうかがえる。
 いっぽう、死者の年齢を見ると60~80代が8割弱を占めて、高齢化社会と災害弱者の現状まざまざ、この傾向はこれからもつづくことになるのだろう。

  ……………

 しかし、ぼくたちの持ち時間も、「これまで」であった。
 予約しておいた帰宅のフェリーは、この日の夕刻便。
 そのフェリーの港にも、急遽〈離道〉を急ぐ人たちのキャンセル待ちが列をなしているにちがいなかった……