どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北2018さんりく巡礼 / <報告記43>-風間浦村-下風呂温泉で…台風をやりすごす

-No.2096-
★2018年06月18日(火曜日)
★11.3.11フクシマから → 3022日
★ オリンピックTOKYOまで →  402日
★旧暦5月16日
(月齢14.7、月出19:48、月没04:57)






◆台風一過…下風呂温泉の朝

 ぼくたちは、六ケ所村を後に一路ひたすら、(津軽)〝海峡の湯処〟下風呂温泉を目指した。
 
 青函トンネルが海峡を掘り抜け、国鉄青函連絡船が姿を消してからは、本州と北海道を結ぶ海峡航路は民間フェリーの2つだけ。
 ふだんなら、便数も多く便利な青森-函館便を利用。
 下北半島を経由するときには、大間-函館便に身をあずける。

 そうして、《11.3.11》東日本大震災・被災地東北、ぼくたち二人旅の訪問地に北海道伊達市宮城県亘理町のいちご農家が移住して生産)が加わってからは、津軽海峡越えのルートが定番となり。
 しかも、福島第一原発・爆発事故後の将来を考えるとき、六ケ所村と東通村大間町3つの関連施設を立地させる下北半島は、避けて通ることができなくなった。

 したがって、下風呂温泉も定宿地となり、このたびの宿「おおぎや旅館」もこれで2度目の投宿。
 しかし…こんなに差し迫った状況での宿りは、さすがに、これまでになかった。

 四国高知に上陸した台風は、いつものようにスピードをあげて日本海沿いに北上、今夜半あたりに最接近、通過するだろう予報であった。
 
 強酸性硫黄泉、乳白に濁った湯に旅の汗を流し、サッシの小窓を小さく開けてみたら、海峡からの風がドッときた。港には、もちろん人影ひとつない。
 海峡の宿の名物料理は、いうまでもないイカに、近年はアンコウ料理が加わり、いずれにしても、いうまでもない海の幸ばかり。

 こんな状況にはあっても…いや…こんな状況なればこそ、あれこれ案じたところで、どうにもならない。
 運を天にまかせて、酒を友に箸をとる。

 旅人にとって、港町でなによりコワイのは船便の欠航だったけれど、これも心配したからどうなるものでもなかった。
 布団に入ってから、いちど海峡側の窓から海を覗いて見たけれど。
 ただ、烈しい雨脚が岸壁の街灯に浮き上がって強調されるばかり。

  ……………

 翌早暁。
 窓の外が、妙にシンと感じられて目が覚めた。
 どうやら台風は、海峡の日本海側入口を掠めて過ぎ去ったとみえる。
 
 明るむのを待って窓を開けると、海峡の空には、黒雲の帯の間から薄い陽ざしがのぞいていた。
 - 状況はいちおう…台風一過 -
 しかし
 
 ふだんなら見られない光景は、外洋航路の大型船が、風除けで沖合に船足をやすめる姿。
 岸から見たのではわからないけれども、沖の方はまだ波が荒れているらしく、港には漁船のうごきも人のうごきも、いっさいない。

 念のため、大間の港に問いあわせてみる…が、やっぱりフェリーは休航中。
 ぼくらが乗る予定だった午後便も出ない、という。
 
 やむをえず、翌朝便に予約変更(同時に函館泊予定のホテルもキャンセル)して、宿を出る。
 早朝便に乗るには、大間港に宿をとっておいた方がいい。
 つまり、宿替えのメンドウはあるものの。

 さて
 きょう1日は、オヤスミだ!




◆尻屋崎の寒立馬たち

 海峡の沖の大型船は、まだ動かない…けれども天気の快復傾向は明らかだった。
 太平洋側、東の青空を目指して尻屋崎へ。

 そのカタチから「斧」に譬えられる下北半島、その斧の頭部エッジと言えばいいのか。
 ともあれ、左車窓にずっと津軽海峡を眺めて、50kmほどの好天潮風ドライブは〝爽快〟の一語に尽きる。

 いうまでもない、寒立馬〔かんだちめ〕に逢いに行く。
 寒立馬の名は、つよい風吹きつのる岬にふさわしく、風景としても天然記念物に値する…が。
 野生馬ではなく南部馬系の農用馬で、ずんぐりした体型と短くがっしりした脚とが、そこはかとない〝郷愁〟を誘う。

 草を食〔は〕む場所を選ぶ自由は馬たちにあるから、訪れる行楽客たちの方が馬を追うことになり、ときたまには<欠席>もあるが、それも<無断>であるところがワイルドだった。

 きょうは、馬たちが道路に近く群れて、岬への車路をふさいでおり。
 ぼくたちは<おウマ優先>とこころえ、車を路側に寄せて、風情を愉しむ。
 その脇を、後から来た車が通りすぎ、馬たちを追い退けるようにして走り去る。
 寒立馬も馬体は大きく、性格は優しいとはいえ、いわゆる〝馬力〟の持ち主である。
 (なにしに来たのやら)と思いつつ、ぼくたちは、そのクソ度胸のよさにも呆れた。




 尻屋崎からは、いつもより、いっそう濃い藍色の海の向こうに北海道、恵山岬の山影まではっきり見とおすことができた。

 ……………

 ここ東通村には、しばらく南に走れば東京電力東通原発がある。
 まだ建設中だった原発自体は、〝フクシマ〟のことがあって中断しているが、村には、新しくなった役場と交流センターや小学校など、電源立地交付金にうるおう様子が見られるのだ…けれども。
 そのほかには、これといって見るべきものとてない。

 それに、このたびは、どうも2~3日前から、旅中たよりのスマホの動作がオカシイ。
 陸奥湾岸の半島中心地、むつ市に行けばサービス・ショップがあって、いまどきは大都会と同様のサービスやメンテナンスが受けられるので、カーナビにはそちらを目的地に指示。

 むつ市街には、おどろくべきことに(市民の皆さんにはシツレイながら…)車の渋滞が見られ。
 この半島内の原発に万が一のことがあれば、避難に難渋するにちがいないことは、前にも報告したとおり。
 市内に抱える使用済み核燃料、中間貯蔵施設の運用をめぐる心配もつきない。

 ただ、最近の町のうごき〔・・・〕には、ホッとこころ和むものもあって。
 それは、いちご栽培。
 ぼくも、じつは、ソレ(農業なら付加価値ハウス栽培)を待っていた。

 ハウス栽培とはいえ、ほんらい涼気を好む作物のイチゴは、夏場に品不足する。
 それが、ここ下北半島の気象条件では、逆に有利に働く。つまり、品薄になる夏場に出荷できるメリットが生かせる。
 いま、下北では、むつ市を中心に、いちご栽培の機運が盛り上がりつつあるという。
 キタイ、したい。