どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.63~  拙者「ロウニンアジ」と申す素浪人でござる

-No.2091-
★2018年06月13日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 3017日
★ オリンピックTOKYOまで →  407日
★旧暦5月11日
(月齢9.7、月出14:41、月没01:38)





★刀傷なんぞなくとも…なるほど強面〔こわもて〕素浪人★

 風体…けっして尾羽うち枯らしてなんぞ…いない。
 それどころか、日本時代劇映画、随一の存在感といってよかった…あの三船敏郎〝然〟として、肩で風切る風情の男が、空っ風吹きすさぶ宿場町にブラリとやってくる…そんな風なのであった。

 その、実態、魚。
 成魚になると全長180cm、体重80kgになる、というから。
 栄養状態のいい現代人レベルでも、かなり体格のいい成人男子、マッチョ・クラスといってもいい。

 そんな大型魚が、水面下すれすれのところ、もしくは、ときにはジョーズ(サメ)のごとく突如、背鰭を波間にあらわしながら猛スピードで突進…突撃…狙った獲物に猛然と奇襲攻撃を仕掛ける。
 
 襲う獲物は、アジサシ。
 その名のとおりの「鯵刺し」、海中ではカツオやマグロなどの大型魚に追われる小魚を狙って、空から…翼をたたんで戦闘機のごとくに、切れあじ鋭いダイビングをみせる(突っ込む)海鳥の雄〔ゆう〕である。
 まぁ、喰われる小魚の側から見れば、おなじ天敵にちがいないのであるが……それにしても……

 凄まじいのは
 波間に浮いて休んでいるところを奇襲、慌てて翔びたとうとする水掻きの脚に噛みついて海中に引きずり込むこともある。
 しかも、それだけではない。
 むこうも、海面ちかくに浮いてきた小魚を狙ってであろう、低空に舞い降りてきたアジサシを、大胆にも豪快ジャンピング技で一発ゲットを目論む、こともある…のだった。

 その姿、ジャンプ力を生み出した尾鰭の跳ねた態〔さま〕は、体操競技床運動あるいは跳馬の空中姿勢に似て、態勢には美しい捻りさえ加えられていた、ではないか!

 この魚、名を「ロウニンアジ(浪人鯵)」。
 スズキ目アジ科。アジ類のなかではヒラマサに次ぐ大型魚で、大型ネライの釣り人には人気の高い魚だという…が。

 ぼくは、そもそも、人による他者の命名というものに、ときに感心したり、呆れたり、はたまた首をひねったりしてきた者だ、けれど。
 この「ロウニンアジ」にはマイッタ、脱帽である。
 ぜひ、名付け親の素顔を知りたい。

 その、(デコというのではないが…)頭部がいかつく張り出して、眼光…いかにも公安刑事のごとき鋭い風貌、まさしく〝素浪人〟。ほかにふさわしい名付など、ほとんど思いもよらない風情である。

 解説によれば、「単独行動する大型個体を浪人武士に見たてたもの」とおとなしい見解だが、異説「いかつい顔に入った前鰓蓋骨の線が切り傷痕のようにも見える」という方が、断然トウをエている。

  ……………
   
 この稿の見出しに「刀傷なんぞなくとも…」と書いたのは、実物にはお目にかかっていない所為でアル…おゆるしを願いたい。
 なお、ちなみに、ふつうには単独行動で知られるロウニンアジだけれど、西太平洋ミクロネシアパラオ諸島では集団になることもある…という。名付け親がそんなロウニンアジを見たら、どう言うのだろう!?

  ……………

 いわゆる解剖学的所見、によれば、体は側偏して(平べったく)体高たかく、頭部は口先の成す角度が鈍い(口が突き出していない)。小さな目、大きな顎はアジというよりマダイに近い顔つき。

 いちど見たら忘れられない<顔貌>だが、世界の海では主に赤道帯付近の海域に棲息するそうで。

 そういえば水族館が好きで、よく水槽を覗きに行くぼくも〝コレ〟と見た覚えがなく。
 日本近海にも若魚の来ることはあるが繁殖には到らない、つまり冬の寒さには耐えられない〝死滅回遊魚〟である、とのこと。
 (はて…面妖な!)

 ぼくが観た映像も、インドのセーシェル諸島でとらえられたものだった。
 そこはアジサシの繁殖地として知られるところである。

 ぼく思うに、ふだんは小魚やエビ・カニ、タコ・イカなどを捕食していたロウニンアジが、鳥を襲うようになったのは、幼鳥が最初であったろう。
  
 繁殖地の島の付近の海で、まだ飛び方の訓練をはじめたばかりの幼鳥は、疲れやすいため、ひんぱんに波間に下りて体を休める、そいつをちょこっとチョウダイしてみたら、羽がじゃまっけではあったが…まぁ、味はわるくない、イケル。
 それなら、というので肉もタップリ喰いでのある成鳥を狙うようになったものに、違いない。

  …………

 最近の考古学研究成果によれば、現生人類にも「縄文のDNA」が10%はのこっている、という。
 ときに、ふと原始の血が騒ぐように思われることがあるのも、無理からぬこと…らしい。

 …が、このロウニンアジに関しては、このお魚だい好き人間のボク、そのビッグファイトには驚いても、いっこうに「このサカナ果たして喰って美味いものかな?」とは、毛ほども思いはしなかったのが、フシギといえば不思議で。

 しかし、それは見た目「固くて不味そう」だったばかりではない。

 このロウニンアジ、大型になった成魚の身肉にはシガテラという毒が含まれることがあるのでキケン…なのだそうでアル。
 喰い気を誘われなかったのも…ひょっとして〝縄文の血〟の知らせやも知れぬ。