どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.53~  映画『マイ・ブックショップ』

-No.2057-
★2018年05月10日(金曜日)
★11.3.11フクシマから → 2983日
★ オリンピックTOKYOまで →  441日
★旧暦4月6日
(月齢5.6、月出09:03、月没23:44)




◆ひさしぶりに〝静謐〟な映画空間をあじわう

 妙な言い方になる、けれども。
 シンと閑まった空間に、音声と映像がときが粛々とながれていく。
 ……そこは客席100にも充たないごく小さな映画館……
 映像の光の束を光源へと辿っても、映写室に人影なく。
 ぽつぽつと席をうめているほかの観客も、嵌め絵の小片みたいに存在の肉感がない。

 ときは19世紀半ば。
 そこは、書店など1軒もない、イギリスの、とある海辺の小さな町。
 そこは、古いだけが取り柄といったふうの、しかし居心地はよさそうな小さな邸。
 そこに、ひとりの女が書店をひらく。

 戦争で亡くなった彼女の夫は、生前、あれやこれやの本を読み聞かせてくれたものだった。
 <マイ・ブックショップ>は、そんな亡き夫の夢であり、同時に彼女の夢でもあった。

 小さな町は、保守的で、冷ややかなものだ。
 女性が開く本屋に対しても、町は冷ややかだった、が。
 本屋は、町じゅうの人にとって意想外な、軌道にのる。

 彼女の気もちの支えは、ひきっ籠りの読書人である老紳士と。
 もう1人、「本を読むのは嫌い」だけれど、しっかり者のお手伝いの少女。

 これで、いい。のに
 なぜか人の世は、それを、さまたげる。

 彼女をこころよく思わない、町の有力者が<マイ・ブックショップ>邸の、のっとりを策し。
 保守的な司法のはたらきもあって、彼女は<マイ・ブックショップ>を失って、町を立ち退く。
 
 ……と同時に、<マイ・ブックショップ>のあった邸は焼けて灰燼に帰し。
 ……そうして後、「本を読むのは嫌い」だった、あの少女が長じて本屋をひらく。

 おはなしは、たゆとう波のごとく。
 映画は、またとない憩いのときをすごして、光の束をおさめ。
 気がつくと、ぽつぽつと席をうめていた人たちの口から、閑かに「ほ~~っ」と読後のためいき……

  ☆     ☆     ☆     ☆

 原作は、イギリスの文学賞ブッカー賞」を受賞したペネロピ・フィッツジェラルドの小説。
 監督は、『死ぬまでにしたい10のこと』『しあわせへのまわり道』のイザベル・コイシュ。
 主演は、『メリー・ポピンズ リターンズ』のエミリー・モーティマ―。
 スペイン映画、112分。